107 / 212
いざ、ルークとともに新しい旅路へ!
一緒に狩りに行こうぜ!
しおりを挟む「ルーク!!お願いだからあんたも手伝ってよっ!!!」
「がんばって~~♪」
「!!??」
汗だくになりながら足元の悪い岩場を全力疾走で逃げているクローディアの後ろから、耳が痛くなるほどの大きな鳴き声が響く。
そして、その後ろから前世において図鑑や映像でしか見たことのない肉食恐竜のような巨大ドラゴンがクローディアを食べようと、その鋭い牙を見せながら勢いよく襲いかかってきていた。
その体は全身がありとあらゆる濃さの緑の鱗で覆われており、ところどころエメラルドの宝石を思わせる輝きを放っている。
「い、い、いやぁぁぁーーーーーーーっ!!!」
リアルジュラシックパークの世界を絶叫で駆け抜けているクローディアに、少し離れた高台の岩場に座りこんでくつろいでいるルークは、ニコニコしながらがんばれ~と心のこもらない応援をしているだけだった。
なぜいきなりこんなことになっているのかといえば、詳しい話はこの少し前に遡る。
ルークから聞いた情報によると、闇の神殿に入るにはある重要アイテムが必要だとのことで、王都を出た私達はそのアイテムをまず手に入れなければならないとのことだった。
ゲームによくある、ダンジョンにまず入るための冒険をしなくてはいけない。
しかもそのアイテムの在り処はすでに分かっているとのことで、ルークに連れて行かれたのは王都から西にある大きな街『ローバーン』の裏街道にある、色んなものが正規の取引である法をくぐり抜けて物々交換が行われる闇市場。
ここに連れて来られた時点で、もうすでにやばいと思いました。
昨日の夜は、中身は三十路の女が学生の恋愛のように恋する人を想って泣いて少女漫画してたのに、あの乙女の平和な時間は一体どこにいったのでしょう?
ここでは戦の場から拾われたり、奪ったり盗んだりした武器や防具、遺跡からは国を通さずに勝手に発掘したレアアイテムなどが各自の責任において物々交換が行われている。
だから、目に入る武器や防具には血の跡があちこちについていてその匂いも正直すごかった。
人間の血だけではなく、モンスターの血肉が腐った臭いだ。
まことに残念ながら、この世界にファ○リーズがない。
「・・・・・・うっ」
確かにゲームの中でも裏街道は出てくるし怪しげな店もたくさんあるが、そこでやり取りされる武器はプレイヤーには見た目も臭いも全く関係ない。
デザインと武器防具の機能数値、そしてそこに性能の内容のレベルが高ければ見た目や出所がどんなものでも気にせず私自身も遠慮なく使っていた。
だが、実際の裏街道は色んな危険の溜まり場で先ほどから下卑た笑みを浮かべる男達の値踏みをされているような、足元から頭上まで舐め回すように動く目線がとても気持ち悪い。
今すぐその足元から燃やしてしまいたい!!
というこの思考は『普通』だろうか?
「フフ・・・・裏に来るのは初めてだよね?大丈夫?」
ルークはといえば予想通りかなり慣れた様子で、かなり入り組んだこの道の中を何の迷いもなく進んでいる。
さらにここでも有名なのか、通り過ぎる人の中にはルークだと分かると怯えて姿を隠すものがいるくらいだった。
一体何をやらかしてここまで怯えられているのやら。
「全然大丈夫じゃないです。いやそれよりも、まだその例の店とやらにつかないの?」
周りの人に聞こえないよう、私からルークへ話しかける時はヒソヒソ話くらいの小さな声で答える。
裏に住む人達にとっては、そんなことしても無駄なことだと分かってはいても堂々とはできません。
ちなみに、この裏街道に足を踏み入れてからかなり奥の方まで細い道を右へ左へと移動して歩いてきている。
途中で今すぐ逃げ出したい気持ちに何度もかられたが、1人で元の道へ帰れる自信は全くない。
いざとなったら、マーズを呼んで空中に逃げてやる!!
「もうすぐ・・・・・あぁ、この店だよ♪」
「この店って、ここってバー?」
「そう、この下に店があるんだ」
もちろん、お酒を飲む方のBARだ。
かなり廃れた入り口と内装であちこちには壊されたのだろう場所が見受けられ、中にいるのは屈強な体格&強面の全身に傷跡のある目つきの悪いゴロツキばかり。
一斉に視線がこちらに向けられた瞬間、私の顔の表情も一気に引きつりました。
その方々と目が決して合わないように目線をそらせつつ、ルークの後を必死に早歩きで追いかける。
ルークとともに螺旋の階段を降りていくと、そこには今にも雪崩が落ちそうなほどあらゆる書物や物が溢れ返った小さなお店に出た。
魔法院のルークの部屋によく似ている。
そこには色んな魔法薬?なのか、レアなアイテムなのか?よく分からない物がたくさんごった返していた。
暗い部屋には、部屋のあちこちにあるオレンジ色のランプが淡く辺りを照らしている。
ちなみに、そのランプの周りには小さな虫が飛んでます。
部屋の入り口には、大きな木で出来た看板が付いておりそこには『よろず屋・カチャンダール』と書かれていた。
「・・・・カチャン、ダール?」
「ふぇっふえっふえっ!なんじゃ客人か?」
「ひいっ!?」
突然、誰もいなかったはずの店の入り口には腰がかなり曲がりクローディアの半分ほどしか背丈のない、顔中がしわくちゃのおばあちゃんが木の杖をついて現れる。
短く真っ白なくせのある髪に、ルークのように深い紺のローブを頭から被ったその人の、シワのあるやせて骨ばった手にはキレイな石のついた指輪がいくつもつけられ、その胸元にはおそらく何らかの骨で作られたネックレスをつけていた。
「お久しぶりです、ヴァレンティーナ」
「ふぇっふえっふえっ!なんじゃ、ルーク=サクリファイスかえ?これは珍しい。今度は何が欲しいんじゃ?一瞬で殺せる猛毒つきのナイフか?それとも、離れている相手でも呪い殺せる強力な魔具かえ?」
「・・・・・そんなのばっかり、買ってたわけですか」
裏の世界に来るからにはそういうのが主なのだろうけれど、何に使ったのかは怖くて聞けない。
「ふぇっふえっふえっ!しかもなんじゃ、今回はずいぶん毛色の面白い娘を連れておるではないか!」
あの、外見のみで面白いって褒め言葉じゃないですよね?
「一応ぼくのつれなんで、攫ったり食べたりしないでくださいね?」
「!!??」
「ふぇっふえっふえっ!それはつまらんのぉ~」
「っ!!」
さ、攫うだけならまだしも、食べたりっ何っ?!
お、お、おばあちゃん!
残念そうにため息ついてるけど、さりげなくその手に持ってるそれって包丁ですよねっ!?
しかも普通の包丁じゃなくて、かなり大きい出刃庖丁っ!!
ぎょろり、と出目金みたいな大きな目に見つめられて、真っ青な顔になった私は思わずルークの背中にしがみつく。
「ひいぃぃぃっ!!」
「ヴァレンティーナ、この店に太陽の鍵があると聞いてきたんです」
な、なるほど!
それが闇の神殿に入る為のレアアイテムなんですね!
「ふぇっふえっふえっ!太陽の鍵ならほれ、ここにあるぞえ?」
ヴァレンティーナがすぐそばの引き出しの中から、黄金でできた淡い光を放つ鍵をその手に持つ。
鍵の上の部分には赤い石が埋め込まれていて、その石を囲むようにして何かの古代文字のようなものが刻まれていて、王冠のデザインになっていた。
すごい!
さすがはルーク!冒険に必要なレアアイテムがこんなに簡単に手に入った!
「ふぇっふえっふえっ!これと交換するアイテムの条件は、いくらお主でも妥協はせぬぞ?」
「はい、分かってます♪」
「・・・・・・・え?条件?」
ゲームの中で、よく道具のトレードで特別なSランクの道具を得る場合、同じランクの道具かもしくはその下のランクの道具いくつか交換する場合が多い。
聞けば今回の『太陽の鍵』はまさにそのSSランク並のスペシャルアイテムだそうで、ヴァレンティーナは交換の条件を5つのおそらくはSランクアイテムを指定してきた。
1.火鳥の鎧
2.月のしずく草
3.大地の腕輪
4.エメラルドドラゴンのウロコ
5.水神の盾
「い、5つもあるのっ!?」
「ふぇっふえっふえっ!もし、その宝の在り処が分からなければ、場所だけはわしが教えてやろう」
「フフ・・・水神の盾は、噂の幽霊船ですよね?」
「ゆ、幽霊船っ!?」
「ふぇっふえっふえっ!そうじゃ!その船のどこかにあると言われておる!」
「ありがとうございます♪それじゃ、行こうか?クローディア」
「へっ!?お、お化けは私ちょっとにが・・・・・ッ!!??」
私の言葉が言い終わるまえに、元から書かれていたらしい何かの魔方陣の描かれた床が突然光だし、その中心にいたクローディアとルークを光で包み込んだまま消えさる。
「ふぇっふえっふえっ!大サービスで、その場所までは送り届けてやるぞい!」
視界を覆っていた光が消えたクローディアの目の前に現れたのは、ボロボロの船の上で動く全身が骨だけの骸骨と、肉がまだ残ってるゾンビ、骨すらもなくなり亡霊として現れる幽霊の3タイプ。
空は暗雲が立ち込め、雨が降り出している。
それと同時に風が強くなり、波が大きくうねるたびに舟が揺れた。
ここは荒れる海の上。
そして、目の前の敵キャラを見る限り、間違いなくヴァレンティーナとルークが話していた『幽霊船』。
「・・・・・・・・」
どなたでもご自分が好きなタイプのホラー映画に、に仕上げられます!
ちなみに私は、ホラー全般が大嫌いです。
「じゃ、ぼくは船内で水神の盾を探してくるから、君はお化けたちをどうにかしてね?」
「・・・・・・・ッ!?」
水神の盾がどんな物なのかも全く知らないクローディアは敵の囮になってその注意を引きつけておくことしか出来ず、木の船の上で炎を使うことは危険な為に氷の魔法を駆使してお化け達に立ち向かうこととなった。
ゾンビはまだいい。
何度も彼ら?とは戦った経験があるし、多少は心も慣れてる。
次に骸骨。
ここは理科室、あれは標本!と言い聞かせてなんとか乗り切った。
魔法で凍らせてしまえば、しばらくは動きも止められる。
問題は3タイプ目の、幽霊。
実態のない彼らには魔法が効かず、かといって物理攻撃も効かず、ただクローディアが目の前の恐怖とひたすら戦うことが強要された。
一言つけたそう、海賊の幽霊である。
海賊同士の戦でやられたものや海賊に殺された街や村の人など、その無念や後悔・怨念のようなものまで叫んでくるものもあり気が狂いそうだった。
ようやくルークが船底から『水神の盾』を見つけて、クローディアの元へ戻ってきたときはあまりの恐怖に耐えかねて気絶する寸前で、ルークの姿に思わず安心したクローディアはそのまま泡を吹いて意識を手放しぶっ倒れた。
次に目覚めた時には一度ヴァレンティーナの店を経由したらしいが、『水神の盾』を渡した後で『エメラルドドラゴンのウロコ』があるこの岩場に魔方陣で飛ばされたというわけです。
ウロコがあるということはその本体がいるということで、現在そのウロコを少しだけ拝借しようと奮闘中。
しかもこのウロコ、エメラルドドラゴンが死んでからだとその輝きを無くしてしまい何の価値もないただの『竜のウロコ』になってしまうらしい。
魔法もウロコが傷ついたら価値が薄くなる為に使えない為、エメラルドドラゴンの隙をついてそのウロコを小さなナイフと素手で取るしかないとのことだった。
岩場についた途端にルークが緑に光る岩を壁に見つけて、わざわざクローディアにそれを知らせて触らせたあげく、実はそれこそがエメラルドドラゴンの尻尾の先端で、本来眠っていたはずのドラゴンが怒りに起きてクローディアに襲いかかってきたわけです。
「お、お願いだから、1枚だけ譲ってェェェーーーーーー!!!」
「グオォォォーーーーーー!!!!」
エメラルドドラゴンの吐く炎のブレスは、ボルケーノの加護もあって熱さもダメージもない。
要は気絶させて意識を失っているあいだに一枚だけ、輝く光を放つ鱗の部分をちょっと拝借させて頂きたいのだ。
その力加減がクローディアには難しく、うっかりやり過ぎてしまえばこのドラゴンの命を奪いかねない。
エメラルドドラゴンは世界にほんの一握りしかいない絶滅危惧種らしく、もしその命を奪ってしまったら死刑は免れないとのことだった。
かといって、手加減した魔法ではとてもこのドラゴンに何の効き目もなくその足を止めることすらできない。
「ルークのバカッ!!私にどうしろって言うのよ!!」
「グオォォォーーーーーー!!!」
「はんぎゃぁぁぁーーーーーーーっ!!!」
およそ、乙女とは思えない太い叫び声をあげながらクローディアは岩場の中をとにかく走って逃げまくった。
不意をつくにしても、まずはエメラルドドラゴンの視界から姿を消さなきゃいけないのに、このドラゴン体が大きいのにメチャクチャ足が速い。
ついには行き止まりの岩場にまで追い詰められ、背水の陣となってしまった。
「ど、ど、どうしよう・・・ッ!」
「グオォォォーーーーーー!!!」
クローディアの姿を捉えたエメラルドドラゴンの大きな咆哮が、空一体に響き渡る。
「フフ・・・・大丈夫?このままだと、君死んじゃうよ?」
「!?」
エメラルドドラゴンの少し先にある岩場の上に、ニコニコ笑うルークが見えた。
たぶん彼は見てるだけで、一切の手助けしてくれないだろう。
ジリジリと近づいて来るエメラルドドラゴンの恐怖に耐えかねたクローディアはーーーーーーーーキレた。
「ふ、ふ、ふざけんじゃねェェェーーーーーー!!!!こんなわけのわからないところで死んでたまるかぁぁぁーーーーー!!!!」
ゴオォォォッ!!
燃え盛る炎がクローディアを中心にエメラルドドラゴンの周り現れ、壁をつくる。
以前ブラックドラゴンを焼き殺した神炎と同じだが、殺さないように円形で距離を保ちながらくるんで逃げられないように囲むだけ。
「・・・・ちょっと痛いだろうけれど、我慢してねドラゴンちゃんっ!!!!」
炎に戸惑うエメラルドドラゴンの目の前には、炎の鳥に乗り空に浮いたまま自分の体の何倍も大きな氷の塊を両手で抱えてそれを今まさにこちらへ投げつけてくる獲物が映る。
「グオォォォーーーーー!!!」
その氷の塊はエメラルドドラゴンの頭部に強くぶつかり、その衝撃の強さに叫び声をあげながらそのまま意識を失って横の壁へと倒れこんだ。
「フフ・・・・・お見事♪」
その様子を、嬉しそうな表情でルークが手をパチパチたたきながら賞賛する。
そんなルークにクローディアは何も言わずにものすごい顔で睨みつけてくるが、その眼差しですらルークには心地が良い。
「あと、3つだね♪」
小さく呟くと、ルークはその美しい指を素早く動かして何かの呪文を唱えた。
すると、倒れたエメラルドドラゴンの足にいつ間にかついていた古代文字の羅列が消えていく。
クローディアは知らない。
幽霊船の時も今回も、実はこの魔導師に影からしっかりと手助けをされていたことを。
幽霊は彼女の周りを浮遊し脅すことはするものの、決して危害を加えて来なかったのはそれが『できなかった』から。
そんな2人の旅は、まだまだ始まったばかりだ。
0
お気に入りに追加
850
あなたにおすすめの小説
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
ファーストカット!!!異世界に旅立って動画を回します。
蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)
BL
トップ高校生we tuberのまっつんこと軒下 祭(のきした まつり)、17歳。いつものように学校をサボってどんなネタを撮ろうかと考えてみれば、水面に浮かぶ奇妙な扉が現れた。スマホのカメラを回そうと慌てる祭に突然、扉は言葉を発して彼に問い掛ける。
『迷える子羊よ。我の如何なる問いに答えられるか。』
扉に話しかけられ呆然とする祭は何も答えられずにいる。そんな彼に追い打ちをかけるように扉はさらに言葉を発して言い放った。
『答えられぬか…。そのようなお前に試練を授けよう。…自分が如何にここに存在しているのかを。』
すると祭の身体は勝手に動き、扉を超えて進んでいけば…なんとそこは大自然が広がっていた。
カメラを回して祭ははしゃぐ。何故ならば、見たことのない生物が多く賑わっていたのだから。
しかしここで祭のスマホが故障してしまった。修理をしようにもスキルが無い祭ではあるが…そんな彼に今度は青髪の少女に話しかけられた。月のピアスをした少女にときめいて恋に堕ちてしまう祭ではあるが、彼女はスマホを見てから祭とスマホに興味を持ち彼を家に誘ったのである。
もちろん承諾をする祭ではあるがそんな彼は知らなかった…。
ドキドキしながら家で待っていると今度は青髪のチャイナ服の青年が茶を持ってきた。少女かと思って残念がる祭ではあったが彼に礼を言って茶を飲めば…今度は眠くなり気が付けばベットにいて!?
祭の異世界放浪奮闘記がここに始まる。
【完結】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから
SKYTRICK
BL
凶悪自由人豪商攻め×苦労人猫化貧乏受け
※一言でも感想嬉しいです!
孤児のミカはヒルトマン男爵家のローレンツ子息に拾われ彼の使用人として十年を過ごしていた。ローレンツの愛を受け止め、秘密の恋人関係を結んだミカだが、十八歳の誕生日に彼に告げられる。
——「ルイーザと腹の子をお前は殺そうとしたのか?」
ローレンツの新しい恋人であるルイーザは妊娠していた上に、彼女を毒殺しようとした罪まで着せられてしまうミカ。愛した男に裏切られ、屋敷からも追い出されてしまうミカだが、行く当てはない。
ただの人間ではなく、弱ったら黒猫に変化する体質のミカは雪の吹き荒れる冬を駆けていく。狩猟区に迷い込んだ黒猫のミカに、突然矢が放たれる。
——あぁ、ここで死ぬんだ……。
——『黒猫、死ぬのか?』
安堵にも似た諦念に包まれながら意識を失いかけるミカを抱いたのは、凶悪と名高い豪商のライハルトだった。
☆3/10J庭で同人誌にしました。通販しています。
婚約者様は大変お素敵でございます
ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。
あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。
それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた──
設定はゆるゆるご都合主義です。
【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました
木嶋うめ香
恋愛
政略で嫁いだ相手ピーターには恋人がいたそうです。
私達はお互いの家の利益のための結婚だと割りきっていたせいでしょうか、五年経っても子供は出来ず、でも家同士の繋がりの為結婚で離縁も出来ず、私ダニエラは、ネルツ侯爵家の嫁として今後の事を悩んでいました。
そんな時、領地に戻る途中の夫が馬車の事故で亡くなったとの知らせが届きました。
馬車に乗っていたのは夫と女性と子供で、助かったのは御者と子供だけだったそうです。
女性と子供、そうです元恋人、今は愛人という立場になった彼女です。
屋敷に連れてこられたロニーと名乗る子供は夫そっくりで、その顔を見た瞬間私は前世を思い出しました。
この世界は私が前世でやっていた乙女ゲームの世界で、私はゲームで断罪される悪役令嬢の母親だったのです。
娘と一緒に断罪され魔物に食われる最後を思い出し、なんとかバッドエンドを回避したい。
私の悪あがきが始まります。
第16回恋愛小説大賞 奨励賞頂きました。
応援して下さった皆様ありがとうございます。
本作の感想欄を開けました。
お返事等は書ける時間が取れそうにありませんが、感想頂けたら嬉しいです。
瀧華国転生譚 ~処刑エンド回避のために幼い病弱皇子を手懐けようとしたら見事失敗した~
飛鳥えん
BL
【病弱捨てられ皇子(幼少期)と中身現代サラリーマン(外見・黒い噂のある美貌の文官青年)】
(中盤からは成長後のお話になる予定)
社会人の芦屋は、何の前触れもなく購買した乙女ノベルゲーム「瀧華国寵姫譚(そうかこく ちょうきたん)~白虎の章~」の世界に取り込まれていた。そのうえ、現在の自分の身上は悪役として物語終盤に処刑される「蘇芳」その人。目の前には現在の上司であり、のちの国家反逆の咎で破滅する「江雪(こうせつ)」。
このままでは自分の命が危ないことを知った芦屋は、自分が陰湿に虐げていた後ろ盾のない第3皇子「花鶏(あとり)」を救い、何とか彼が国家反逆の旗振りとならぬよう、江雪の呪縛から守ろうとする。
しかし、今までの蘇芳の行いのせいですぐには信用してもらえない。
それでも何とか、保身のため表向きは改心した蘇芳として、花鶏に献身的に尽くしつつ機をうかがう。
やがて幼い花鶏の師として彼を養育する中で、ゲームの登場人物としてしか見てこなかった彼や周りの登場人物たちへの感情も変化していく。
花鶏もまた、頼る者がいない後宮で、過去の恨みや恐れを超えて、蘇芳への気持ちが緩やかに重く積み重なっていく。
成長するに従い、蘇芳をただ唯一の師であり家族であり味方と慕う花鶏。しかしある事件が起き「蘇芳が第3皇子に毒を常飲させていた」疑いがかけられ……?
<第1部>は幼少期です。痛そうな描写に※を付けさせていただいております。
R18 サブタイトルも同様にさせていただきます。
(2024/06/15)サブタイトルを一部変更させていただきました。内容の変化はございません。
◆『小説家になろう』ムーンライト様にも掲載中です◆
(HOTランキング女性向け21位に入れていただきました(2024/6/12)誠にありがとうございました!)
【完結】呪われ王子は生意気な騎士に仮面を外される
りゆき
BL
口の悪い生意気騎士×呪われ王子のラブロマンス!
国の騎士団副団長まで上り詰めた平民出身のディークは、なぜか辺境の地、ミルフェン城へと向かっていた。
ミルフェン城といえば、この国の第一王子が暮らす城として知られている。
なぜ第一王子ともあろうものがそのような辺境の地に住んでいるのか、その理由は誰も知らないが、世間一般的には第一王子は「変わり者」「人嫌い」「冷酷」といった噂があるため、そのような辺境の地に住んでいるのだろうと言われていた。
そんな噂のある第一王子の近衛騎士に任命されてしまったディークは不本意ながらも近衛騎士として奮闘していく。
数少ない使用人たちとひっそり生きている第一王子。
心を開かない彼にはなにやら理由があるようで……。
国の闇のせいで孤独に生きて来た王子が、口の悪い生意気な騎士に戸惑いながらも、次第に心を開いていったとき、初めて愛を知るのだが……。
切なくも真実の愛を掴み取る王道ラブロマンス!
※R18回に印を入れていないのでご注意ください。
※こちらの作品はムーンライトノベルズにも掲載しております。
※完結保証
※全38×2話、ムーンさんに合わせて一話が長いので、こちらでは2分割しております。
※毎日7話更新予定。
転生腹黒貴族の推し活
叶伴kyotomo
BL
屈強な辺境伯爵家の三男に転生した主人公は、家族大好き!推しも大好き!
チート能力を自分の好きにしか使わないけど、案外努力系主人公です。
推し達の幸せの為なら、こっそりギルドにだって登録しちゃうし、嫌いな奴の婚約破棄に暗躍するし、ドラゴンだって仲間にするし、嫌な奴は叩き潰します!
一応R18ですが、それまで長いです。とてもとても長いです。やだもう長〜い。一応※を付けておきます。
そこからはどこそこ※になります。
エロは十分頑張ります。
※男性同士の結婚が普通にあります。
※男性の妊娠出産も普通にあります。
誤字や名前が違うぞ?とお気づきになられたら、ぜひ教えてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる