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モブ女子、他キャラとそれ以外の色々な出逢い
魔法使いに転職しようと思います!
しおりを挟む「ねぇ、君は自分で魔法を唱えて見たいとは思わない??」
「えっ?」
いつまでも人様のベットを借りているわけにもいかないと布団から出た私は、寝ていた部屋の隣にあるこれまた部屋中に怪しげな薬や道具が置いてある、天井がやたらとものすごく高い部屋へと通された。
っていうか高いにもほどがあるよね。
この螺旋階段、何段あるの?
その高い天井の上の方にも歩いて行けるようで、ぴったりと壁にそってくっついて作られている螺旋階段がかなり上の方まで続いていた。
私はその家の主であるルークとともに、その部屋の一番下にある場所で丸いテーブルを挟んで座らせてもらっている。
そして目の前に出された、見た目は普通のなんら他と変わらないお茶は今飲むかどうか本気で悩み中だ。
クソッ!!
これがグレイさんの入れてくれたものだったら、何にも考えないでおいしく頂けるのに!!
「何をたくらんでるの?」
「なにかあることが前提なんだ?僕って信用がないなぁ~~♪」
だって、あっちの世界での『私』は、ルークに大層ひどい目に合わされたのだ。
たとえば親切に道を教えてくれたと思ったら、凶暴なモンスターが多数徘徊する獣道だったりとか!
えぇ、一撃即死でした。
たとえば、ピンチに陥った時に助けに来てくれたと思ったら、そのまま奴隷商人に売られてしまってのバッド・エンドよこんにちは♪だったりとか!!
某RPGの主人公様のようには、耐えられません。
他にも色々たくさん、バッドという名の死のフラグがあちらこちらに渚のエトセトラ。
そりゃあゲームの『ルーク』だし、別人かもしれないのに疑ってしまうのが悪いことだとは分かってはいるのだが、選択の失敗が決してできない今の状態では身体が勝手に身構えてしまう。
「ご、ごめん」
「フフ・・・・怯えている生き物の側にいるのは、とても心地いいけどね♪」
「ひいっ!」
あなたのこういうところが、疑われてしまう原因だと思います!!
「それで、魔法を扱う力は欲しい?」
「!?」
「それとも、そんな力は少しも君にはいらない?」
ニッコリ♪
「!!??」
ルークの聞き方はずるいと思う。
魔力を使う力である魔法を私が決していらない!とは言いきれないのを、この人は知っているんだ。
あの人を守れる戦力となるならば、なんだってすると決めた!
魔法なんて現代では妄想の産物でしかなかった夢のような力なら、喉から手が出るほど欲しいに決まってるじゃないか!!
「・・・・っ!」
それに今の自分じゃ私の意思を大分無視して、勝手に癒されて助けられる力が一応はあるかもしれないが、それはいざという時にコントロールできないものかもしれない。
某漫画で、どんな大きな傷もすぐさま回復できるキャラが仲間にいる中でも関わらず、大好きなあのキャラが死んでしまった時は泣きに泣いた。
当時まだ小学生だったのに、たかだか漫画のキャラでしょ?と母親に言われてもやっぱり1日中涙が止まらなかった。
そしてサブキャラである為、その回復するキャラの気持ちにはその時多くのスポットが当てられてはいなかった。
でも今覚えばどんな気持ちでその時にいたのか、今は主人公達よりもそこが気になってならない。
「ーーーーーーしい」
それに私は守られてるだけじゃなくて、大事なヒーローと一緒に戦える、むしろ戦いの場の前線で大活躍してしまうようなヒロインが私は好きだ!大好きだ!
まぁちょっと夢中にやりすぎて、ヒロインのポジションや肩書きがなぜかいつもおかしいことになってしまうんだけど。
ちなみに最強ステータスに育て上げた、ヒロインの力・体力Maxの肉体は、実際どんな感じなんだろうか?
って今考えるのは肉体改造じゃなくて、これから魔法使いに転職するかどうかだ!
攻撃・回復と両方できるようになれば、魔法使いから上級の賢者に転職できるかもしれないし!!
よしっ!!!
転職できる神殿はどこですかっ?!
「魔法の力が私は欲しい!」
「フフ・・・・そうこなくっちゃ♪」
私の返事に、ルークは嬉しそうになんか少しルンルンしてる?様子で席を立つと、こっちだよと手招きしてなんとあの天井まで続く螺旋階段を軽やかに登り始めた。
「え?まさか、そこ登るの?」
「もちろん」
「あの、エスカレーターかエレベーターは?」
「フフ・・・・・なにそれ?」
「ですよね」
分かってますよ。
もちろんないですよね。
現代が生み出した天下無敵のエレベーター!!なんて。
毎日当たり前のように使ってたけど、本当になんて素晴らしい世界だったのか!!
だってこの螺旋階段、何段あるとおもってる??
ざっと見ただけでも、これ1000段は絶対軽くあるよね?!
これも転職への修行ですか??
レベルがたりてないですか?
でも私は魔法使いに転職するのであって、筋肉ガチムチの戦士や武闘家になるわけじゃないですよ!!
「わ、私、下で待ってようかな~」
「君は何のために魔法の力が欲しいんだっけ?」
「うっ!!」
「そんなものだったんだ~君の想いは♪」
「よ、喜んで、行かせて頂きます!」
「・・・フフ♪」
あぁ~~~くそっ!!
女は度胸だ!!
これもあなたを助けるための試練と思えば、安いもんでしょうが!!
体力が10代で本当によかった!
身体がアラサーのままだったら、確実に死んでるよわたし。
「・・・・・ぜぇ、ハァ!!ぜぇ、ハァ!!」
「まだ半分ほどだよ、クローディア」
「う、嘘、でしょッ!?」
300段・400段まではなんとか数えてたけど、500段辺りを超えてから太ももとふくらはぎがかなり悲鳴を上げてきた。
階段の上り下りなんて中学の部活動の筋トレ以来、こんなにたくさんお世話になったことがない。
しかもこれで半分って、私は室内にいたんですよね?
山登りでも、崖登りでもありませんよね??
しかも、ルークさん。
あなたなんでそんな軽やかに登ってんですかッ!!
「今日はいつにも増して、身体がかるいんだ♪不思議だよね~~~」
「そういう、ことか!」
謎は全て解けた!!!
いや、不思議でも何でもあるか!!!
って、これ本気でずるくないですかッ???
常に体力・気力を自動回復されてれば、きっと負担的にはこんな階段は平らな道を歩いてるのと同じことだよね?
っていうか、なんだか能力持ち主の私だけがすごく損してる能力じゃない??
同じ体を使ってるんだから、どうか私にも優しくしてください!
これからのためにも、おたがいに仲良くしようよ!
「お疲れ様。ここが、目的の一番上にある部屋だよ♪」
「ゼェーーーハァッ!!ゼェーーーハァ!!」
頭の先から足の先まで汗でびっしょりと濡れ、登りきったと同時に私は床に膝をつきそのまま勢いよく倒れ込んだ。
疲れすぎて、思考がおかしいことになってしまっている。
誰か!!
誰か、助けてください!!
酸素をッ!!
酸素を私にくれ!!
あと、水!!
ウォーター!!
ギブミーウォータァーー!!
キブミーラブ&ピーーーーース!!!
「フフ♪いろいろ面白いことになってるけど、大丈夫??」
「う!うる、さい!だ、だ・・・・ゼェーーーハァ!大じょう、ぶなわけ、ない、でしょっ!!」
これ以上はないっていくらい、心の底から怒りと憎しみを込めて睨みつけてやるが、ルークは変わらず涼しい感じでニッコリ笑顔のまま。
本当に殺意だけで人を殺せたら、この短時間で何回殺せたことか!!
心配は絶対してないだろうけど、心配するそぶりをしてるぐらいな今すぐに水をくださいッ!!
「はい、お水♪」
「ーーーーーーー」
わぁい♪
ナチュラルに心を読んでくれてのすばやい対応、どうもありがとう!
もうどこから出てきたの?とか考えるのも面倒くさい。
もう、いちいち突っ込む気力もない無くなってきました。
そしてその水にも、絶対何か入ってるんでしょうね。
「またその顔♪たまには信じてくれてもいいんじゃない??」
「ーーーーーーー」
どの面下げて、そんなことを言いやがりますか!!
だって、だって普通のお水はこんな禍々しい色はしてません!!!
あれかッ!?
某テニスの、○汁かッ!!!
どこから貰ってきた!?
今すぐ、本来のあるべき場所に戻してらっしゃいッ!!!
「どうぞ♪」
「ーーーーーーーッ!!」
危機感はしっかりと本能で感じつつ、それでも喉と生命活動が限界を感じた為、私は怪しさ満点のルークじ、、、ってそれは何か違う!
とにかく変なジュース?をどうにでもなれ!!と腹を決めて、口に入れた。
「・・・・・・・アンギャァァァーーーーーッ!!!」
本当にお約束通りの、何の期待も裏切らない展開をありがとうござます。
えぇ、真剣に死ぬかと思いました。
今一瞬、遠くにあるお花畑で幼い頃になくなったおばあちゃんが手を振ってるのが見えましたよ。
ってか、なんなのこの味!?
何を入れ合えばこんな殺人凶器物がこの世に生まれるんですかッ!!
「でも、体力が一気に回復したでしょ??」
「・・・・・ソウデスネ」
えぇ。おかげさまでフラつかずに立ち上がれるくらいには、なぜか体が回復しましたよ。
でも、もっと飲む人の気持ちを考えて作って下さい。
相手の身になって考ることって、大事ですよね??
一歩間違えば毒死してましたよ、私。
知らぬ間に死亡フラグが何本もたってるんですが、どうやったら全部折れますか?
「これからが本題だよ♪」
「うぅ、本気で逃げたい」
どうせ、『逃げる』を選んでもすぐにまわり込まれて先制攻撃されて終わるんでしょうが!
それでも『逃げる』を連打してしまいたい!!
私の長い長い1日は、
まだまだ続くーーーーーーーーーらしい。
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