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吹く風は冷たいものばかりとなり、その寒さに身を竦めながら、今日もギルドへと足を運ぶ冒険者たち。
昨年の冬に広まりだした、雪が振り出す前に咲く花は、雪前花という名前で売り出されており、ちらほらと花を買っていく人が目に入る。
雪が降るほど寒くなるのを少しでも早くにわかれば、対応を取ることが出来なくはないのだ。
「こうして売られるようになったのは、リベルテさんも嬉しいだろうな」
つい独り言を言ってしまうのは、寂しいからかもしれない。
マイが薬師になるために、リベルテの家を出て、ソレの下で住み込みながら勉強している。
タカヒロとてレッドたちと関わってきている人間ではあるが、一人でリベルテの家に残り続ける気にはなれなかった。一人だと言う事を考えると、遠慮を覚えてしまったのだ。
それに、タカヒロとて二十歳を過ぎている大人である。
リベルテの家で世話になっているばかりではダメだと思い、今は一人で宿暮らしをしていた。
同じ家で他の人たちと生活していた後だけに、一人の宿暮らしになると、寂しさを覚えるし、不便な生活になったことも実感している。
それでも、戻ることは格好悪いし、戻る理由も無い。
タカヒロたちは違う世界から来た人間であり、レッドたちとは家族でも無いのだ。
「あの二人の間に僕一人とか、お邪魔虫以外の何者でも無いじゃないか……」
リベルテの家を出ると決めたのは、他の誰でもなく自分なのである。
だからこそ、続く独り言は不満と言うわけではなく、自分自身への言い訳であり、言い聞かせでもあった。
「はぁ……」
タカヒロは、歩きながらため息を吐いてしまう。
一人で歩いていると、話をする相手が居ないので、どうしても考え事をしてしまうのだ。
何故この世界にいるのだろうか。この世界に居る理由がわからない。
考えてもわかるはずのないことだから、その理由については考えないようにしている。
考えるのは、この世界に来る前と、そして来た直後のことだった。
この世界に来る前、タカヒロはインフルエンザに罹っていた。
たぶん、それがこの世界に来ることになった引き金だろうと思っている。
おそらく、向こうでも一人暮らしだったため、誰も気づかず、助けてもらえず、死んでしまったのだろう、と。
悲しくなる結末であるが、今はこうして違う世界と言えども生きている。
向こうの世界で終わりを迎え、こちらの世界で生き直していると思えて、前の世界に帰らなきゃ、という思いは浮かばなくなっていた。
亡くなったのであれば、戻る場所など無いのだから。
この世界で最初に目を覚ました日、タカヒロは見たことが無い景色に、これは夢だ、と思った。
なんとなくイメージにあるような神様っぽい相手に会って、何かいろいろと言われた気がするのだが、それはもう覚えていない。それも夢だからだと思えた。
何せ、魔法が使えると言うこともなんとなくわかっていたのもあったのだ。
本当に、今考えると、どれだけ能天気だったのかと自分自身に苦笑いが漏れてしまう。
そんな夢だと思っていたタカヒロは、魔法が使えると分かっていたから、早速どれくらいのものかと、試すことにした。
風を起こせと念じて腕を振れば、鋭い風音が木々をなぎ払っていき、その威力に驚いた。
土で大穴を開けると念じて手を動かせば、地面が陥没し、その広さに感動した。
火よ立ち上れと念じて腕を振り上げれば、あたり一面が燃え上がり、その危険さに慌てた。
水で火を消すと強く念じて手を振り下ろせば、火を消した水が開けた穴に流れ込み、湖のようになってしまい、笑うしかなかった。
あまりのスケールに、さすがは自分の夢だなと思えたのだ。
夢の中なのに、はしゃぎすぎたせいか疲れを覚えて、近くの岩に背中を寄りかからせて休むことにした。
陽は少し眩しいが、穏やかな風でとても気持ちがよく、夢だけに都合が良いなと言う思いを強めていく。
しばらくしていると、少し遠くに人が歩いているのが見えてきた。
斧を持っているようだったので、樵なんだなと、何とはなしに思う。
斧で木を切り倒すなんて、現実ではほぼ無くなってるため、直近でそんな本を読んだかな、と考えてもみたが、覚えが無かった。
だからこそ、自分の夢の中ではどうなんだろうと、興味本位でその樵の様子を見ることにした。
タカヒロが魔法が使えるからとやってしまった、この惨状を見て飛び上がるように驚いて、町か村に走って戻る話なんだろうな、と思っていた。樵はこの状況を見て、確かに驚いていた。
だが、驚いて逃げるように走り去るのではなく、ただ呆然と、立ち尽くすだけだったのだ。
その姿に、タカヒロには、樵が絶望していることがわかってしまった。
木を切り、その木を加工することで生計を立てていたのだろうが、今日、いつもと変わらないつもりで来てみたら、木の全てが無くなって、湖になっていたのだから、途方にくれるしかない。
これからどうやって生活していけばいいか、わからないのだ。
「あれは悪いことしたよなぁ……。就職して翌日出社したら、会社が夜逃げしてたようなものだものな」
樵のその姿を見て、タカヒロは気づいた。
夢じゃないんだ、と。
魔法を使い過ぎたせいで疲れているし、今見た樵は、夢とは思えないほどに人間らしい表情を見せている。
夢なら、その夢を見ている人に都合の良い内容になるはずだし、そうでなくとも、話は繋がらずにあちこちに飛んだりもするはずなのだ。
しかし、そんな様子は無い。陽を眩しいと感じられるのも、そもそもおかしかったのだ。
だから、タカヒロはその場から慌てて逃げ出した。
どこに向かえばいいのかわからないし、どうしたらよいかもわからない。
それでも、あのまま、あの場所に留まり続けることだけは、まずいことになる。
それだけはわかっていた。
近くの村か町に入りたかったのだが、この世界のお金なんて持っていないし、町の入り口に警備なのだろう人が立っていて、言葉が通じるかも分からない状態で町に入る勇気は持てなかった。
自分が誰でどういった人間であるか、証明できる物が何も無いのだ。
町に入る前に、警備の人が何かを確認していたのが見えて、町に入れないことを実感する。
物語では、証明する物を持っていなくても気軽に入れてくれるが、そんなわけが無い。
そんな怪しい人を入れさせてくれるなら、入り口で検査などする必要は無いのである。
町に入れないタカヒロは、より一層、どこに行けばいいのかわからない。
何を食べて大丈夫なのか木々の中を隠れるように歩いていても分からない。
現代社会で生活していたら、山菜だとか食べられる草などの知識は、趣味人でなければ覚えることも無い。当ても無く歩き、さ迷い続け、そしてタカヒロは倒れた。
その倒れた先で、マイと会ったのだ。
同郷の人間であることを知って、お互いに、きっと他の誰にも分からないほど、安堵した。
そして、マイも逃げ回って、この村に身を置いていることを教えてくれた。
お互い嬉しくて、安心して、いろいろと話をしたことは、今でも忘れられない。
そして、マイのことを知っていたレッドたちに会って、村よりは王都の方が分かることが多いだろうと連れて行ってもらうことにしたのだ。
こうして生活出来る様になったけれど、少し後悔していることもあったりはする。
「冒険者って、夢が無いよねぇ……。ギルドって日雇いのハロワのようなものだもんなぁ」
元々、他の職業に就けなかった人たちのための職だとレッドに言われ、がっくりとしたことを思い出す。その話もまた、今となっては良い思い出だ。今でも少し笑えてきてしまう。
教えてもらって理解したことが多い。
農家だとか、兵士になればいい、だなんて簡単に考えたこともあるが、簡単な話では無かった。
農家が増えれば畑を増やすことが出来、その分、国は食料が増えるので良いことだと思えたのだが、量が多くなっていくと、境を切っ掛けにして値は落ちる。
国が買い上げてはいるが、価値が下がったものを今までの値で買い続けるの事はない。値が下がっているのだから、国が払う金額も当然同じ金額になる。
国だって、無限にお金を持っている分けではないのだから、値が下がっているのに高い額で支払うわけが無いのだ。
国は食料だけでなく、兵にもお金がかかる。
兵の給与に装備。モンスターや敵国と戦い、命を掛けることもあるのだから、ケチるわけには行かない。
安い給与しか払わなければ、兵士になりたいと志願してくる者は出てこないし、強制的に兵にしたとしても、そんな兵たちがいざと言う時に、命をかけて戦おうとするとは到底思えない。
数を揃えても何にもならず、何も出来なければ、国を守ることなどで気はしないのだ。
「冒険者になって、レッドさんたちにいろいろと教えてもらえたこと、連れまわしてもらえたことは本当に助かったなぁ。……大変だったけど」
また独り言でため息をついてしまう。
魔法を使える人は、少なくは無いが多くも無い。どんな力を持ってるのか、見せたり言わなければ、他の人にはわからないからである。
しかし、力を持っている人たちであるため、国は積極的に雇い集めている。
魔法は、その力の内容によっては、戦況を大きく変えることが出来るかもしれないし、生活の向上に役に立つかもしれないからである。
魔法を使える人の多くは、魔法研究所に集められており、力の解明と発展に尽くしているらしいそうだけど、未だに魔法がどのようなものか解明されていない。
いろいろと、自論や自説を述べているらしいのだが、だれもそれを証明できていないそうである。
「『ステータス』とかあればわかることもあるんだろうけど、あったらあったで怖いよねぇ……」
魔法が使えるかどうかは、自分で試してみる以外に無いのが現状である。
魔法を使える人が、いくらか経験則で使える使えない、どんな系統かわかると言われていたりするが、タカヒロにすれば、何も解明できていないのだから、信じられない話でしかない。
タカヒロ自身、少しは魔法を使ってきた者であるが、他の人を見ても、そんなことはわからないのである。
「マイの言葉が真実でもあるよなぁ」
タカヒロは、マイと二人の時に、能力について話をしたことがある。
数値で見られるものが無いのが不便に思っていると言ったら、マイは数値で力が表される方が怖いと言ったのだ。
マイの考えを聞いて、タカヒロは改めてマイと出会えたことに感謝している。
「そうだよねぇ……。誰かを雇うとした時、数値がより高い人を選ぶことになるわけだからなぁ。やりたいことがあったとしても、対象の能力の数値が低かったら、諦めないといけないことになるもんな。便利かもしれないけど、数値に縛られる人生になっちゃうよなぁ」
はぁ……、っと空に向かって白い息を吐く。
「そもそも、その数字の基準がわからないよねぇ。1の差がどれくらいなのかわかんないし」
それが怖い、ともマイは言ってくれた。
女性の方がシビアに世界を見ていると言える。
タカヒロはそのことに気づけたし、まだまだこの世界を軽く考えていたことにも気づくことが出来たのだ。その気づきは、今の生活に馴染むのに一役買っている。
物語のように甘いものではないと考えられるようになれば、向こうの世界で生活していたのと大きく変わらないのだ。
マイに助けられてきたことが多く、同じ同郷の人と言う事もあって、マイへは想いを寄せている。
だからタカヒロは、リベルテの家を出た今、マイの仕事場に少しでも近い宿を借りてる。
これはマイには前もって話をしていて、タカヒロはマイを心配してと言うのもあったしいくらこの世界での生活に慣れてきているとは言え、お互い知らない人たちの中で生活していくのが心細いと言うこともあった。
お互いに知ってる人が近くに居てくれる方が、気が楽なのである。
しかし、タカヒロがマイの仕事場近くに宿を取ったのは他にも理由がある。リベルテに頼まれもいたのだ。
リベルテたちが以前にメレーナ村に行った際に、マイが借りていた家の裏手に、複数の足跡があったらしいことを聞かされたのだ。
誰かが家の様子を窺っていて、レッドとリベルテが大怪我を負った事件も、最初からマイを狙っていたことも関係しているかもしれない、と教えられた。
あの襲ってきた者とメレーナ村で借りていた家を監視していた者が同じかは分からない。
他にもまだ居るのかもしれないため、マイの近くに居て護って欲しいと頼まれたのだ。
マイもタカヒロも、レッドたちにとって警戒すべき『神の玩具』のはずだった。
だけど、近くに居て、共に行動するに連れて、仲間だと思ってくれるようになったことがはっきりと言葉にしてもらい、それがとても嬉しかった。
「なるべくレッドさんたちの力にならないとな。お世話になったのもあるし」
独り言を言いながらであったので、仕事への気合を入れなおそうとして、タカヒロはギルドに見える人影に、上げようとした気分が再び沈んでいくのを感じていた。
「やっときた。待ち合わせするにも連絡の取り様が無いってのは不便すぎる。この世界は遅れすぎじゃないか?」
タカヒロに気づくなり、近寄ってきたのはハヤトであった。顔を合わせて話が出来た『神の玩具』である。
「何の用ですか?」
少し冷たい口調になっていることに、言ったタカヒロ自身も驚いてしまう。
「冷たいねぇ……。何? 生活大変なの?」
このハヤトと言う男は、冒険者がどういう生活なのか調べてもいないらしい。
別に知らないと言うことは仕方のないことで、タカヒロにしても気に障ることでも無いはずなのだが、このハヤトからは知りたがっている感じも受けない。
どちらかと言うと、すでに知っていて、その上で見下してきているように感じてしまうのだ。
ハヤトは今、魔法研究所で彼が作った魔道具の指南をしているらしい。
国の機関であるために給与は良いようで、こうしてタカヒロに会いにくるくらい余裕もある生活のようだった。
「その日暮らしなもんで」
思わずハヤトを見る目が、睨むものになってしまったのには、嫉妬があるのかもしれない。
だが、そんなタカヒロの目に何も感じていない様子のハヤトには、やはりタカヒロを見下しているようであった。
「まぁ、これも先見性の違いだ。違う世界に行くって話なんだから、手堅く、そして楽に生きられる力を望まないと。戦う力なんて野蛮なだけさ。第一、強すぎる力ってのは、他の人からは嫌われるものぜ?」
先見性だと言った所で、自分の頭を人差し指で軽く突き、他と頭の出来が違うと示し、野蛮なだけだと言った所で、大仰に手を開いて肩を竦める。
その仕草に、力以外にも嫌われる要因は世の中にある、とタカヒロは心の中で強く思った。
ハヤトに会いに行った際、リベルテへの態度からマイに会わせたくないと決めていた。
絶対にハヤトはマイに手を伸ばすはずである。断言できてしまうほどであり、それもハヤトを嫌う要因に繋がっていた。
「まぁ、僕はこれからいろんな物を作って稼ぐし、そんな道具を作ったという名誉も得る。この国で重要なポジションにも就けるだろうな」
ギルドに来ている他の冒険者たちは、ハヤトに構わない。
少し目を向けるが、その後すぐ目を外し、関わらないように去っていくのだ。
関わりになりたいと思えないのだろう。それより依頼を探す方がよほど大事である。
ハヤトと同類に見ないでほしい、と強く思う。言葉に出して言いたいのを我慢しているのが、タカヒロの手を見ればわかるほどであった。
タカヒロの様子に気づいたギルドの職員が、タカヒロに対して痛ましそうな目を向けているほどに……。
タカヒロの様子を省みること無く、ハヤトは本題だとばかりに話を切り出してくる。
「ああ、それでね。多少なりとも、君の方がここの世界に詳しいと思うから、教えて欲しいんだ。奴隷って何処で買える?」
「は?」
タカヒロは、まったく理解できない言葉を言われたかのような反応を返してしまう。
他に反応のしようが無かった。
「こんな世界ならあるだろ? だったら買わないと。若い女性が良いよな。裏切る心配も無いし、好きに出来るし。多少良い生活させてやれば、お互いに良いことしかない。あっちの世界の女のような面倒さは無いだろ?」
レッドたちも自分たちのことを、最初はこう思っていたのかもしれないと思い、タカヒロは額に手を当てる。
この世界を自分の都合の良いものにしか考えていない。
何故、この世界に来て、国の機関に入ったのに調べたりしないのか。
タカヒロは呆れた目をハヤトに向ける。
「奴隷なんて無いですよ。そもそも認められいるわけがない。アホなこと言うのは止めた方がいいですよ。この世界で生きるって言う事をちゃんと考えた方が良い」
タカヒロがそう言い返すと、ハヤトはつまらないものを見たと言う態度になり、ギルドをサッサと出て行ってしまう。
タカヒロはまたため息を吐いてしまう。今日一番のため息だった。
「なんかレッドさんたちと会いたいな……。居ないかな?」
レッドたちはウルクまで護衛の依頼を受けていて、しばらく王都に居ないことを知って、肩を落とす。
「せめて、なんか美味しいのを食べたい」
お金の入った皮袋を触るが、贅沢したいという思いを霧散させるものでしかなかった。
今日はタカヒロにとって、厄日だったのかもしれない。
数日後、戻ってきたレッドたちが、ウルクで脂の乗った美味い魚を食べてきたと自慢げに話をしてきた、
タカヒロは消化できなかった不満をぶちまけ、レッドたちにご飯をたかってしまう。
普段見なかったタカヒロの行動に、レッドたちは押されるようにタカヒロと食事に行って、おごってくれたが、レッドたちの家から離れて生活することになったことを、またここでも後悔していた。
昨年の冬に広まりだした、雪が振り出す前に咲く花は、雪前花という名前で売り出されており、ちらほらと花を買っていく人が目に入る。
雪が降るほど寒くなるのを少しでも早くにわかれば、対応を取ることが出来なくはないのだ。
「こうして売られるようになったのは、リベルテさんも嬉しいだろうな」
つい独り言を言ってしまうのは、寂しいからかもしれない。
マイが薬師になるために、リベルテの家を出て、ソレの下で住み込みながら勉強している。
タカヒロとてレッドたちと関わってきている人間ではあるが、一人でリベルテの家に残り続ける気にはなれなかった。一人だと言う事を考えると、遠慮を覚えてしまったのだ。
それに、タカヒロとて二十歳を過ぎている大人である。
リベルテの家で世話になっているばかりではダメだと思い、今は一人で宿暮らしをしていた。
同じ家で他の人たちと生活していた後だけに、一人の宿暮らしになると、寂しさを覚えるし、不便な生活になったことも実感している。
それでも、戻ることは格好悪いし、戻る理由も無い。
タカヒロたちは違う世界から来た人間であり、レッドたちとは家族でも無いのだ。
「あの二人の間に僕一人とか、お邪魔虫以外の何者でも無いじゃないか……」
リベルテの家を出ると決めたのは、他の誰でもなく自分なのである。
だからこそ、続く独り言は不満と言うわけではなく、自分自身への言い訳であり、言い聞かせでもあった。
「はぁ……」
タカヒロは、歩きながらため息を吐いてしまう。
一人で歩いていると、話をする相手が居ないので、どうしても考え事をしてしまうのだ。
何故この世界にいるのだろうか。この世界に居る理由がわからない。
考えてもわかるはずのないことだから、その理由については考えないようにしている。
考えるのは、この世界に来る前と、そして来た直後のことだった。
この世界に来る前、タカヒロはインフルエンザに罹っていた。
たぶん、それがこの世界に来ることになった引き金だろうと思っている。
おそらく、向こうでも一人暮らしだったため、誰も気づかず、助けてもらえず、死んでしまったのだろう、と。
悲しくなる結末であるが、今はこうして違う世界と言えども生きている。
向こうの世界で終わりを迎え、こちらの世界で生き直していると思えて、前の世界に帰らなきゃ、という思いは浮かばなくなっていた。
亡くなったのであれば、戻る場所など無いのだから。
この世界で最初に目を覚ました日、タカヒロは見たことが無い景色に、これは夢だ、と思った。
なんとなくイメージにあるような神様っぽい相手に会って、何かいろいろと言われた気がするのだが、それはもう覚えていない。それも夢だからだと思えた。
何せ、魔法が使えると言うこともなんとなくわかっていたのもあったのだ。
本当に、今考えると、どれだけ能天気だったのかと自分自身に苦笑いが漏れてしまう。
そんな夢だと思っていたタカヒロは、魔法が使えると分かっていたから、早速どれくらいのものかと、試すことにした。
風を起こせと念じて腕を振れば、鋭い風音が木々をなぎ払っていき、その威力に驚いた。
土で大穴を開けると念じて手を動かせば、地面が陥没し、その広さに感動した。
火よ立ち上れと念じて腕を振り上げれば、あたり一面が燃え上がり、その危険さに慌てた。
水で火を消すと強く念じて手を振り下ろせば、火を消した水が開けた穴に流れ込み、湖のようになってしまい、笑うしかなかった。
あまりのスケールに、さすがは自分の夢だなと思えたのだ。
夢の中なのに、はしゃぎすぎたせいか疲れを覚えて、近くの岩に背中を寄りかからせて休むことにした。
陽は少し眩しいが、穏やかな風でとても気持ちがよく、夢だけに都合が良いなと言う思いを強めていく。
しばらくしていると、少し遠くに人が歩いているのが見えてきた。
斧を持っているようだったので、樵なんだなと、何とはなしに思う。
斧で木を切り倒すなんて、現実ではほぼ無くなってるため、直近でそんな本を読んだかな、と考えてもみたが、覚えが無かった。
だからこそ、自分の夢の中ではどうなんだろうと、興味本位でその樵の様子を見ることにした。
タカヒロが魔法が使えるからとやってしまった、この惨状を見て飛び上がるように驚いて、町か村に走って戻る話なんだろうな、と思っていた。樵はこの状況を見て、確かに驚いていた。
だが、驚いて逃げるように走り去るのではなく、ただ呆然と、立ち尽くすだけだったのだ。
その姿に、タカヒロには、樵が絶望していることがわかってしまった。
木を切り、その木を加工することで生計を立てていたのだろうが、今日、いつもと変わらないつもりで来てみたら、木の全てが無くなって、湖になっていたのだから、途方にくれるしかない。
これからどうやって生活していけばいいか、わからないのだ。
「あれは悪いことしたよなぁ……。就職して翌日出社したら、会社が夜逃げしてたようなものだものな」
樵のその姿を見て、タカヒロは気づいた。
夢じゃないんだ、と。
魔法を使い過ぎたせいで疲れているし、今見た樵は、夢とは思えないほどに人間らしい表情を見せている。
夢なら、その夢を見ている人に都合の良い内容になるはずだし、そうでなくとも、話は繋がらずにあちこちに飛んだりもするはずなのだ。
しかし、そんな様子は無い。陽を眩しいと感じられるのも、そもそもおかしかったのだ。
だから、タカヒロはその場から慌てて逃げ出した。
どこに向かえばいいのかわからないし、どうしたらよいかもわからない。
それでも、あのまま、あの場所に留まり続けることだけは、まずいことになる。
それだけはわかっていた。
近くの村か町に入りたかったのだが、この世界のお金なんて持っていないし、町の入り口に警備なのだろう人が立っていて、言葉が通じるかも分からない状態で町に入る勇気は持てなかった。
自分が誰でどういった人間であるか、証明できる物が何も無いのだ。
町に入る前に、警備の人が何かを確認していたのが見えて、町に入れないことを実感する。
物語では、証明する物を持っていなくても気軽に入れてくれるが、そんなわけが無い。
そんな怪しい人を入れさせてくれるなら、入り口で検査などする必要は無いのである。
町に入れないタカヒロは、より一層、どこに行けばいいのかわからない。
何を食べて大丈夫なのか木々の中を隠れるように歩いていても分からない。
現代社会で生活していたら、山菜だとか食べられる草などの知識は、趣味人でなければ覚えることも無い。当ても無く歩き、さ迷い続け、そしてタカヒロは倒れた。
その倒れた先で、マイと会ったのだ。
同郷の人間であることを知って、お互いに、きっと他の誰にも分からないほど、安堵した。
そして、マイも逃げ回って、この村に身を置いていることを教えてくれた。
お互い嬉しくて、安心して、いろいろと話をしたことは、今でも忘れられない。
そして、マイのことを知っていたレッドたちに会って、村よりは王都の方が分かることが多いだろうと連れて行ってもらうことにしたのだ。
こうして生活出来る様になったけれど、少し後悔していることもあったりはする。
「冒険者って、夢が無いよねぇ……。ギルドって日雇いのハロワのようなものだもんなぁ」
元々、他の職業に就けなかった人たちのための職だとレッドに言われ、がっくりとしたことを思い出す。その話もまた、今となっては良い思い出だ。今でも少し笑えてきてしまう。
教えてもらって理解したことが多い。
農家だとか、兵士になればいい、だなんて簡単に考えたこともあるが、簡単な話では無かった。
農家が増えれば畑を増やすことが出来、その分、国は食料が増えるので良いことだと思えたのだが、量が多くなっていくと、境を切っ掛けにして値は落ちる。
国が買い上げてはいるが、価値が下がったものを今までの値で買い続けるの事はない。値が下がっているのだから、国が払う金額も当然同じ金額になる。
国だって、無限にお金を持っている分けではないのだから、値が下がっているのに高い額で支払うわけが無いのだ。
国は食料だけでなく、兵にもお金がかかる。
兵の給与に装備。モンスターや敵国と戦い、命を掛けることもあるのだから、ケチるわけには行かない。
安い給与しか払わなければ、兵士になりたいと志願してくる者は出てこないし、強制的に兵にしたとしても、そんな兵たちがいざと言う時に、命をかけて戦おうとするとは到底思えない。
数を揃えても何にもならず、何も出来なければ、国を守ることなどで気はしないのだ。
「冒険者になって、レッドさんたちにいろいろと教えてもらえたこと、連れまわしてもらえたことは本当に助かったなぁ。……大変だったけど」
また独り言でため息をついてしまう。
魔法を使える人は、少なくは無いが多くも無い。どんな力を持ってるのか、見せたり言わなければ、他の人にはわからないからである。
しかし、力を持っている人たちであるため、国は積極的に雇い集めている。
魔法は、その力の内容によっては、戦況を大きく変えることが出来るかもしれないし、生活の向上に役に立つかもしれないからである。
魔法を使える人の多くは、魔法研究所に集められており、力の解明と発展に尽くしているらしいそうだけど、未だに魔法がどのようなものか解明されていない。
いろいろと、自論や自説を述べているらしいのだが、だれもそれを証明できていないそうである。
「『ステータス』とかあればわかることもあるんだろうけど、あったらあったで怖いよねぇ……」
魔法が使えるかどうかは、自分で試してみる以外に無いのが現状である。
魔法を使える人が、いくらか経験則で使える使えない、どんな系統かわかると言われていたりするが、タカヒロにすれば、何も解明できていないのだから、信じられない話でしかない。
タカヒロ自身、少しは魔法を使ってきた者であるが、他の人を見ても、そんなことはわからないのである。
「マイの言葉が真実でもあるよなぁ」
タカヒロは、マイと二人の時に、能力について話をしたことがある。
数値で見られるものが無いのが不便に思っていると言ったら、マイは数値で力が表される方が怖いと言ったのだ。
マイの考えを聞いて、タカヒロは改めてマイと出会えたことに感謝している。
「そうだよねぇ……。誰かを雇うとした時、数値がより高い人を選ぶことになるわけだからなぁ。やりたいことがあったとしても、対象の能力の数値が低かったら、諦めないといけないことになるもんな。便利かもしれないけど、数値に縛られる人生になっちゃうよなぁ」
はぁ……、っと空に向かって白い息を吐く。
「そもそも、その数字の基準がわからないよねぇ。1の差がどれくらいなのかわかんないし」
それが怖い、ともマイは言ってくれた。
女性の方がシビアに世界を見ていると言える。
タカヒロはそのことに気づけたし、まだまだこの世界を軽く考えていたことにも気づくことが出来たのだ。その気づきは、今の生活に馴染むのに一役買っている。
物語のように甘いものではないと考えられるようになれば、向こうの世界で生活していたのと大きく変わらないのだ。
マイに助けられてきたことが多く、同じ同郷の人と言う事もあって、マイへは想いを寄せている。
だからタカヒロは、リベルテの家を出た今、マイの仕事場に少しでも近い宿を借りてる。
これはマイには前もって話をしていて、タカヒロはマイを心配してと言うのもあったしいくらこの世界での生活に慣れてきているとは言え、お互い知らない人たちの中で生活していくのが心細いと言うこともあった。
お互いに知ってる人が近くに居てくれる方が、気が楽なのである。
しかし、タカヒロがマイの仕事場近くに宿を取ったのは他にも理由がある。リベルテに頼まれもいたのだ。
リベルテたちが以前にメレーナ村に行った際に、マイが借りていた家の裏手に、複数の足跡があったらしいことを聞かされたのだ。
誰かが家の様子を窺っていて、レッドとリベルテが大怪我を負った事件も、最初からマイを狙っていたことも関係しているかもしれない、と教えられた。
あの襲ってきた者とメレーナ村で借りていた家を監視していた者が同じかは分からない。
他にもまだ居るのかもしれないため、マイの近くに居て護って欲しいと頼まれたのだ。
マイもタカヒロも、レッドたちにとって警戒すべき『神の玩具』のはずだった。
だけど、近くに居て、共に行動するに連れて、仲間だと思ってくれるようになったことがはっきりと言葉にしてもらい、それがとても嬉しかった。
「なるべくレッドさんたちの力にならないとな。お世話になったのもあるし」
独り言を言いながらであったので、仕事への気合を入れなおそうとして、タカヒロはギルドに見える人影に、上げようとした気分が再び沈んでいくのを感じていた。
「やっときた。待ち合わせするにも連絡の取り様が無いってのは不便すぎる。この世界は遅れすぎじゃないか?」
タカヒロに気づくなり、近寄ってきたのはハヤトであった。顔を合わせて話が出来た『神の玩具』である。
「何の用ですか?」
少し冷たい口調になっていることに、言ったタカヒロ自身も驚いてしまう。
「冷たいねぇ……。何? 生活大変なの?」
このハヤトと言う男は、冒険者がどういう生活なのか調べてもいないらしい。
別に知らないと言うことは仕方のないことで、タカヒロにしても気に障ることでも無いはずなのだが、このハヤトからは知りたがっている感じも受けない。
どちらかと言うと、すでに知っていて、その上で見下してきているように感じてしまうのだ。
ハヤトは今、魔法研究所で彼が作った魔道具の指南をしているらしい。
国の機関であるために給与は良いようで、こうしてタカヒロに会いにくるくらい余裕もある生活のようだった。
「その日暮らしなもんで」
思わずハヤトを見る目が、睨むものになってしまったのには、嫉妬があるのかもしれない。
だが、そんなタカヒロの目に何も感じていない様子のハヤトには、やはりタカヒロを見下しているようであった。
「まぁ、これも先見性の違いだ。違う世界に行くって話なんだから、手堅く、そして楽に生きられる力を望まないと。戦う力なんて野蛮なだけさ。第一、強すぎる力ってのは、他の人からは嫌われるものぜ?」
先見性だと言った所で、自分の頭を人差し指で軽く突き、他と頭の出来が違うと示し、野蛮なだけだと言った所で、大仰に手を開いて肩を竦める。
その仕草に、力以外にも嫌われる要因は世の中にある、とタカヒロは心の中で強く思った。
ハヤトに会いに行った際、リベルテへの態度からマイに会わせたくないと決めていた。
絶対にハヤトはマイに手を伸ばすはずである。断言できてしまうほどであり、それもハヤトを嫌う要因に繋がっていた。
「まぁ、僕はこれからいろんな物を作って稼ぐし、そんな道具を作ったという名誉も得る。この国で重要なポジションにも就けるだろうな」
ギルドに来ている他の冒険者たちは、ハヤトに構わない。
少し目を向けるが、その後すぐ目を外し、関わらないように去っていくのだ。
関わりになりたいと思えないのだろう。それより依頼を探す方がよほど大事である。
ハヤトと同類に見ないでほしい、と強く思う。言葉に出して言いたいのを我慢しているのが、タカヒロの手を見ればわかるほどであった。
タカヒロの様子に気づいたギルドの職員が、タカヒロに対して痛ましそうな目を向けているほどに……。
タカヒロの様子を省みること無く、ハヤトは本題だとばかりに話を切り出してくる。
「ああ、それでね。多少なりとも、君の方がここの世界に詳しいと思うから、教えて欲しいんだ。奴隷って何処で買える?」
「は?」
タカヒロは、まったく理解できない言葉を言われたかのような反応を返してしまう。
他に反応のしようが無かった。
「こんな世界ならあるだろ? だったら買わないと。若い女性が良いよな。裏切る心配も無いし、好きに出来るし。多少良い生活させてやれば、お互いに良いことしかない。あっちの世界の女のような面倒さは無いだろ?」
レッドたちも自分たちのことを、最初はこう思っていたのかもしれないと思い、タカヒロは額に手を当てる。
この世界を自分の都合の良いものにしか考えていない。
何故、この世界に来て、国の機関に入ったのに調べたりしないのか。
タカヒロは呆れた目をハヤトに向ける。
「奴隷なんて無いですよ。そもそも認められいるわけがない。アホなこと言うのは止めた方がいいですよ。この世界で生きるって言う事をちゃんと考えた方が良い」
タカヒロがそう言い返すと、ハヤトはつまらないものを見たと言う態度になり、ギルドをサッサと出て行ってしまう。
タカヒロはまたため息を吐いてしまう。今日一番のため息だった。
「なんかレッドさんたちと会いたいな……。居ないかな?」
レッドたちはウルクまで護衛の依頼を受けていて、しばらく王都に居ないことを知って、肩を落とす。
「せめて、なんか美味しいのを食べたい」
お金の入った皮袋を触るが、贅沢したいという思いを霧散させるものでしかなかった。
今日はタカヒロにとって、厄日だったのかもしれない。
数日後、戻ってきたレッドたちが、ウルクで脂の乗った美味い魚を食べてきたと自慢げに話をしてきた、
タカヒロは消化できなかった不満をぶちまけ、レッドたちにご飯をたかってしまう。
普段見なかったタカヒロの行動に、レッドたちは押されるようにタカヒロと食事に行って、おごってくれたが、レッドたちの家から離れて生活することになったことを、またここでも後悔していた。
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