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新しい社と新居
しおりを挟む「邪魔するぞー」
「なら帰れ」
「断る!」
「なんなのだお前は…」
こんな軽口が叩けるほどには仲良く?なったかと愛枝花はしみじみとした気持ちになった。というのも、あれから車道が出来て工事の手配も無事に終わり。数ヶ月の時を経て、無事に社が再建出来たのだ。
真新しい木の香り漂う、風光明媚《ふうこうめいび》(自然の眺めが清らかで美しいこと)な景色が素晴らしい社の姿を取り戻せた。
工事に関わる作業員たちと一緒に疾風も働き、それは通常の人間の五倍の働きぶりで。おかげで思ったよりも早く再建出来たことは言うまでもない。
新しい社の見取り図は、まず真正面から見て右側に新しく二車線ほどの車道が出来た。
きちんとガードレールとミラーも設置されて、そうでなくとも安全面で配慮された道になっている。
そして向かって左側には以前からある長い石段があるのだが。ふもとにある一つ目の鳥居も新しくしたが、石段の一つ一つを広めのスペースで作り直したのだ。狭い階段は、今どき不評を買うばかりでよろしくない。雨が降っても滑りにくいように加工もしており、手すりも配置済みである。
そしてどちらの道から上っても、まずは地面に石畳が敷き詰められた大きな広場に到着する。そこに手水舎(参拝者が身を浄めるために手水を使う施設のこと)があるので、そこを利用してから二つ目の鳥居をくぐる。
鳥居を抜ければ参道を歩き、しばらくすると右側に舞殿(神社の境内に設けた、舞楽を行うための建物)が見えてくる。左側には社務所(お守りが買えたり、御朱印をいただける神社の事務所)がある。
さらに奥に進めば、ようやく拝殿(神官が祭典を執行したり,参拝者が拝礼したりするための建物。神社本殿の前におかれる)が見えてくる。
そして、社の神を祀る最も神聖な場所。本殿が最奥に鎮座する。ちなみに愛枝花たちの居住区は、本殿の左側に建てられていて。和室洋室揃った8LDK(露天風呂付き)だった。
社が立派で荘厳な造りなのは良いとして。なぜ愛枝花の家がこんなに広くて立派な物になったのかといえば…それは疾風が「せっかくだから広くて大きな家を作ろうぜ!」などとのたまった為である。
掃除も大変だというのに、なぜこじんまりとした家で満足しないのだと言えば。わざわざ最新家電一式に、一通りの家具や新しい食器に衣類などを買いそろえ愛枝花に見せてきたのだ。
これで家事は楽になるし、疾風も負担はかけずに手伝うと言うので。丸め込まれた感はいなめないが。
ともかく、大きな屋敷とも言える家での二人の生活はスタートした。
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