だって私たち運命のふたり。

その後編5

村から家に帰りつくと、ソレルに、泣きながら、今日あった出来事を報告して相談してみましたが、特に反応が返ってくることはなく、わかっているとはいえ、少し落ち込みました。

母の問題は、私では、もうどうにもできないことだけれど、なんだか、私が悪いような気持ちでした。

ならば、私はどうすればよかったのでしょうか。

恋に憧れることなどせず、森のそばでひっそりとひとりぼっちで生きていくべきだったのでしょうか。

今のこの悩みを相談したくても、相談相手も、慰めてくれる相手もいない。

それでも、とにかく今、私が最優先して考えるべきことは、お腹の子も含めて3人分の食費を稼ぐ方法だと、言い聞かせ、水で顔を洗い、気持ちを奮い立たせました。


行商人が来るのは1週間後だそうですが、少しずれることもあるのを知っていたので、仕事を探すなら早い方がいいと判断して、明日の早朝に町へ行ってみることに決めました。

そして、次の日の早朝、ソレルを長時間ひとりにするのが心配ではありましたが、簡単に水と食料をテーブルの上に用意して、「お腹が空いたら食べてね」と話しかけて、家を出ました。


前にこの国の地理を勉強したときに、私の住んでいる村の近くに町があることは確認していましたが、簡単な方角がわかる程度で、道は地図を持っていないので、よくわかりませんでした。

だから、私は仕方なく、いつも行商人が通ってくる少し地面が整備がされている馬車道に沿って歩いていきました。

道幅は広いし見通しは良かったのですが、とにかく遠く、長い道のりで、馬車でも1時間以上かかるところを、徒歩で4時間かけて隣町に辿りつました。


町は、住んでいる村よりは発展していましたが、王都をみてきた私からすると、小さな町でした。

運の良いことに、予想よりも仕事はすぐに決まりました。

町の職業案内所に行くと、すぐに町で唯一の医院での手伝い人の求人をおすすめされ、その日の内に面接を受けて採用されたのです。

採用が早く決まった理由は、完璧に読み書きができ、簡単な計算がこなせ、さらには、帝国の言葉も少しわかるということだったようなので、つまりは、勉強を教えてくださった先生達のおかげで就職できたようなものでした。

先生達には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

明日の朝から来るように、とのことだったので、私は急いで家に帰りました。