再び出会うその日まで

機内にアナウンスが流れると、私はそっと窓の外へ視線を向ける。
雲を抜け、懐かしい故郷が目に映ると、胸がジワリと熱くなった。
懐かしい、3年ぶりだなぁ。
長かったような短かったような……。

高層ビルが立ち並ぶ風景を並べる中、思い出がよみがえると、私はそっと息を吐き出した。
3年前のあの日、正直に全てを話していれば、何かが変わったのだろうか……。

到着口へやってくると、人がごった返している。
私は避難するように隅へと移動すると、近くにあったカフェへと入って行った。
壁にもたれかかり一息ついていると、ふとラジオの音が耳にとどく。
懐かしい日本語にそっと耳を傾けると、DJのイキイキした声が響いた。

「本日初めのリクエストは、3年前輝かしいデビューを飾った大人気バンドグループ(スターズ)のデビュー曲。みんな知っての通り、卒業シーズンにピッタリの別れの曲だね。それでは【it's time to say goodbye】お聞きください」

ラジオから流れるその曲に、3年前……彼らと過ごした日々がよぎると、私は聞き入るように瞳を閉じた。


3年前、とあるバンドに所属していた少女のお話です。

※なろうでも投稿しております。
24h.ポイント 0pt
10
小説 195,735 位 / 195,735件 恋愛 58,114 位 / 58,114件

あなたにおすすめの小説

友達の結婚式からの

詩織
恋愛
学生時代の友達の結婚式に出席。 私の過去の思い出が走馬灯のように思い出される。 そして、現在今でも変わらず!?

一目惚れ

詩織
恋愛
恋も長くしてない私に突然現れた彼。 でも彼は全く私に興味なかった

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

大人な軍人の許嫁に、抱き上げられています

真風月花
恋愛
大正浪漫の恋物語。婚約者に子ども扱いされてしまうわたしは、大人びた格好で彼との逢引きに出かけました。今日こそは、手を繋ぐのだと固い決意を胸に。

生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します

桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。 天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。 昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。 私で最後、そうなるだろう。 親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。 人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。 親に捨てられ、親戚に捨てられて。 もう、誰も私を求めてはいない。 そう思っていたのに――…… 『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』 『え、九尾の狐の、願い?』 『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』 もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。 ※カクヨム・なろうでも公開中! ※表紙、挿絵:あニキさん

恋と嘘と真実と。

もーもん
恋愛
市川梨果(りか)は姉を亡くして傷つきながらも、 大好きな友達、彼氏、幼馴染みに恵まれて 毎日充実した日々を過ごしていた。 あの日から1年。 ずっと知らなかった"何か"を知ることになる…ーーー

【詩集】主観恋愛

松野井奏
恋愛
奔放な愛の詩。