上 下
3 / 14

3怒り

しおりを挟む
これが始まりだった。
最初はよくわかっていなかった。
翌朝目覚めたら彼はいつも通りで……何もなかったみたいに接してくる。
だけど下半身の痛みが夢ではないことを証明していた。
私は戸惑いながらも昨日の話を彼に振り、どうして女の私が学園にいるのかを説明する。
言わないでほしいと念押ししてみると、彼は快く協力してくれると言ってくれた。

公爵家セスが味方になってくれるなんて、これほど心強いことはない。
けれどその対価は私の体。
彼が求めたらすぐに差し出さなければいけない。
絶対服従、拒否は許されない、けれどこれさえ守ればいいのだと安易に考えていた。

元より好きな人なんていないし、セスは良い人で尊敬できる。
知らない人に抱かれるよりはずっといい。
今まで面倒だからだと令息を避けていたけれど、体の関係のみだからあと腐れもないはず。
女嫌いの彼がどうして私を求めるのかはわからない。
だけど弟や友人から聞いた話、お年頃になると我慢できなくなってくるのだとか……。
だから手軽で利用でそうな私が選ばれたのかな。

まぁ、女だとバレなければこの関係もばれない。
だから令嬢たちのやっかみを受けることもない。
それによくわからないけれど相性がいいのだろう……彼に触れらるととても気持ちよくて割り切れば問題ない、そう安易に考えていた。

セスは本当に今まで通りで、何もなかったみたいに友人として話す。
その方が私も有難くて、だけど最初はなかなか普通にできなかった。
だけど私も彼にあわせるように平常心を保とうとした。
時折何気なく触れる彼の手に反応していることがバレないように……必死だった。

最初の頃は寮へ戻ると彼のベッドで体を拓かれる。
服を脱がされ胸元の突起を摘ままれると、あっという間に硬くなった。
深いキスに翻弄され何も考えなくなっていく。
痛みはなくなり、次第に快楽が支配していった。

だけど校内や日常では普通に接していた彼がある日変わった。
私が他の令息と寮へ戻った日の事。
彼は怒った様子で私をベッドへ引きずり込み押し倒すと、私のネクタイを外し手首を縛り拘束した。
シャツのボタンが外され唇が触れると、チクッと小さな痛みを感じる。
視線を下ろし見てみると、そこには真っ赤な花びらが散っていた。
これってもしかして……ッッ

「セス……ッッ、ダメッ、痕をつけないで、あぁん」

必死に身をよじらせるが、手首を縛られ上手く動けない。
赤い花びらがいくつも散っていく中、セスは股の間へ手を伸ばすと、溢れた愛蜜を指先でかき混ぜる。

「どうして嫌なんだい?こっちは嫌だと思っていないようだけど」

セスはわからせるように、愛蜜をグチュグチュかき混ぜ音を出した。
股の突起を指先でつまむと、私を詰るように責め立て始める。
いつもの彼ではない、苛立っているのがわかる。
だけどどうして苛立っているのか皆目見当もつかない。

今日の朝は普通だった。
いつも通り一緒に登校して授業を受けて……何もなかったはず。

「ああああぁん、ふぅん、それッ、あぁぁん、つよぃッッ、セス、はぁ、ぃやぁ、どうして……ッッあぁん、怒ってるの?……ッッ」

虚ろな視界で彼を見つめると、瞳に怒りが浮かんでいた。

「怒ってなんていないよ。ただ気に食わないだけ……」

セスは光の無い瞳を浮かべぼそりと呟くと、ズボンを下ろし蜜壺へ竿を一気に突き上げた。

「あぁぁぁん、まだダメッ、そんなッッ、あぁぁぁぁん、うぅぅん、あぁあっぁん、あぁあああああ」

何が気に入らなかったのか、問いかけたいがそんな余裕はない。
股の突起を強く刺激しながらピストンが始まると、喘ぎ声が響き渡る。
そのまま何度も絶頂すると、気を失うまで抱きつぶされたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「君を愛さない」と言った公爵が好きなのは騎士団長らしいのですが、それは男装した私です。何故気づかない。

束原ミヤコ
恋愛
伯爵令嬢エニードは両親から告げられる。 クラウス公爵が結婚相手を探している、すでに申し込み済みだと。 二十歳になるまで結婚など考えていなかったエニードは、両親の希望でクラウス公爵に嫁ぐことになる。 けれど、クラウスは言う。「君を愛することはできない」と。 何故ならば、クラウスは騎士団長セツカに惚れているのだという。 クラウスが男性だと信じ込んでいる騎士団長セツカとは、エニードのことである。 確かに邪魔だから胸は潰して軍服を着ているが、顔も声も同じだというのに、何故気づかない――。 でも、男だと思って道ならぬ恋に身を焦がしているクラウスが、可哀想だからとても言えない。 とりあえず気づくのを待とう。うん。それがいい。

偽物令嬢〜前世で大好きな兄に殺されました。そんな悪役令嬢は静かで平和な未来をお望みです〜

浅大藍未
恋愛
国で唯一の公女、シオン・グレンジャーは国で最も有名な悪女。悪の化身とまで呼ばれるシオンは詳細のない闇魔法の使い手。 わかっているのは相手を意のままに操り、心を黒く染めるということだけ。 そんなシオンは家族から疎外され使用人からは陰湿な嫌がらせを受ける。 何を言ったところで「闇魔法で操られた」「公爵様の気を引こうとしている」などと信じてもらえず、それならば誰にも心を開かないと決めた。 誰も信用はしない。自分だけの世界で生きる。 ワガママで自己中。家のお金を使い宝石やドレスを買い漁る。 それがーーーー。 転生して二度目の人生を歩む私の存在。 優秀で自慢の兄に殺された私は乙女ゲーム『公女はあきらめない』の嫌われ者の悪役令嬢、シオン・グレンジャーになっていた。 「え、待って。ここでも死ぬしかないの……?」 攻略対象者はシオンを嫌う兄二人と婚約者。 ほぼ無理ゲーなんですけど。 シオンの断罪は一年後の卒業式。 それまでに生き残る方法を考えなければいけないのに、よりによって関わりを持ちたくない兄と暮らすなんて最悪!! 前世の記憶もあり兄には不快感しかない。 しかもヒロインが長男であるクローラーを攻略したら私は殺される。 次男のラエルなら国外追放。 婚約者のヘリオンなら幽閉。 どれも一巻の終わりじゃん!! 私はヒロインの邪魔はしない。 一年後には自分から出ていくから、それまでは旅立つ準備をさせて。 貴方達の幸せは致しません!! 悪役令嬢に転生した私が目指すのは平凡で静かな人生。

5度目の求婚は心の赴くままに

しゃーりん
恋愛
侯爵令息パトリックは過去4回、公爵令嬢ミルフィーナに求婚して断られた。しかも『また来年、求婚してね』と言われ続けて。 そして5度目。18歳になる彼女は求婚を受けるだろう。彼女の中ではそういう筋書きで今まで断ってきたのだから。 しかし、パトリックは年々疑問に感じていた。どうして断られるのに求婚させられるのか、と。 彼女のことを知ろうと毎月誘っても、半分以上は彼女の妹とお茶を飲んで過ごしていた。 悩んだパトリックは5度目の求婚当日、彼女の顔を見て決意をする、というお話です。

攻略対象≪公爵子息≫の母に転生しました

Na20
恋愛
親友から勧められ一度だけプレイした乙女ゲーム『キミトモ』の世界に転生してしまった私。転生したのは攻略対象である公爵子息の母、ルルーシュ。ルルーシュは公爵子息が七歳の時に死んでしまう設定だが、私は死にたくない。 せっかくの二度目の人生、可愛い息子と幸せに生きていきます。

【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!

さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」 「はい、愛しています」 「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」 「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」 「え……?」 「さようなら、どうかお元気で」  愛しているから身を引きます。 *全22話【執筆済み】です( .ˬ.)" ホットランキング入りありがとうございます 2021/09/12 ※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください! 2021/09/20  

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈 
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

偽りの婚約のつもりが愛されていました

ユユ
恋愛
可憐な妹に何度も婚約者を奪われて生きてきた。 だけど私は子爵家の跡継ぎ。 騒ぎ立てることはしなかった。 子爵家の仕事を手伝い、婚約者を持つ令嬢として 慎ましく振る舞ってきた。 五人目の婚約者と妹は体を重ねた。 妹は身籠った。 父は跡継ぎと婚約相手を妹に変えて 私を今更嫁に出すと言った。 全てを奪われた私はもう我慢を止めた。 * 作り話です。 * 短めの話にするつもりです * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...