Wizard or Joker

与太郎

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第10話 First work

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第4小隊のアジトの後方の空き地で弾丸の音が聴こえる。音の主はマロとマロの愛銃「ビアンコ」である。的代わりの瓶を撃ち、練習に励んでいる。
しかしマロの表情は穏やかではない。
(もっと強くならないと、1人でも戦えるくらい強くならないと)
BANG!!銃声が響く。
練習を終えシャワーを浴びてマロはリビングに戻るそこには第4のみんなが居た。
レオンは書類を見ている。
「どうしたの?みんな集まって」
今は18時、普段ならまだみんな各自の部屋に居るのだが今日はみんなリビングに居る。しつもんしたマロだがおおよそ検討は着く。
「マロ、座れ仕事の話だ」
案の定、予想どうり。
マロはソファに腰掛けるとレオンは咳払いをして話し始める。
「ノアとは関係ない仕事だが、オークションだ」
オークション、普通の人間ならば特段怪しいものでも空気のピリつくものでもない。しかしながら
マフィアにとってはそれは闇取引を指す。
「この仕事は顔を割れていないお前に頼む」
視線はマロの方に向けられる。マロは突然の事で驚きが隠せない。
「えっ私?」
にこやかにレオンは笑うがマロは穏やかでは居られない、やけに冷たい汗がほおを撫でる。
「勿論、お前1人じゃないカルロ、同行頼む」
軽く頷きマロの顔を見て、カルロは大丈夫だよと微笑む、少しマロの胸に少しの安堵が生まれる。
レオンはそれを見て安心したように笑う。
「それでレオ君、僕達はなにをすればいいの?」
「お前達には138番の品物の破壊だ」
なかなかにイレギュラーな仕事だ。神妙な顔になるのも致し方ないと言えるだろう。
「破壊....?」
「そうだ場所は港町のクロムの超高層ビル 摩天楼」
「わかった」
2人は仮面とスーツを身にまとい、車に乗って海風の吹く港町に向かった。
「マロちゃんはレオ君が居ない中での仕事は初めてだねー」
カルロはいつまでも朗らかだ。
「は、はい」
当然緊張は抜けない。ローズの言葉を思い出すがそれでも手は震える。
「マロちゃん魔法がまだ分からないんでしょ?」
「はい....」
気にしている話題に眉をしかめる。
「僕の魔法は『ファンキーロボット』って魔法なんだけどね、僕意識無いんだ」
ハハッと笑うカルロだが話はだいぶ重要な話だ。
「それって...どういう」
「魔法を使って体が機会になった途端、僕は意識を失う。その間はブリキってやつが俺の体を使う。そして目的が達成できたら魔法が解ける
ヘンテコでしょ?」
「......」
マロは思わず言葉を失う。
「けどね僕はこの魔法大好きなんだ。」
「なんでですか?」
カルロはニカッと笑う。
「仲間のために動けるから!」
「...!」
「魔法を使ってる時の僕が僕じゃなくても、僕が大好きなみんなを守れる。マロちゃん?重要なのは魔法を使える事じゃない、自分の我儘や意見や考えを押し通す力だよ」
カルロなりの鼓舞はマロの心に熱いなにかを持たせた。
「さぁ着いたよ頑張っていこう」
「はい!」

港町クロムは観光で栄えるいい街である。しかしその中には闇取引をたびたび行う、ビルがある。
それが高層ビル摩天楼、高さ900m広さ半径780m
超巨大なビル。
2人が中に入るとそこには仮面をつけた人間がわんさか居た。どうやら他のファミリーやゴロツキが、集まっているようだ。そして今も現在進行形でオークションは続いている。
「次!137番の超古代のサソリの骨格です。無論本物そしてなにより欠損は皆無でございます。
さぁ2000万から始めましょう」
みるみる家に数十センチの骸の価値が上がっていき最終的に1億8000万で落札された。
品物が出されるよりも前にカルロは合図をする。
「マロちゃん、次だよ計画通りにね」
計画はマロが天井のライトを銃撃で落とす。幸いブレーカーが停電時、速やかに動けるようにオークション会場から見える位置にある。
闇に紛れ品物をカルロが硬いケースごと破壊する。
さぁ売り手が目を光らせ、品物を出す。
「さぁ!本日の大目玉!!!魔神2人を宿した指輪でございます!!!」
カチャと銃を構えてブレーカーを狙い弾丸を放出した。
しかしその弾丸はキン!という高い音と共に弾かれた。
「何やつでござるか」
弾丸を弾いたのは鎖鎌を持つ男だった。
オークション会場の視線はこちらに一気に集中し辺りは静寂に包まれる。
「ごめんなさい....」
「大丈夫だよ!パワープレイは得意分野だ!マロちゃんは指輪を!!」
カルロの体が急激に巨大化しロボットの鋼の肉体となる。
「デリート   デリート」
ブリキは力任せに辺りの人間を投げ飛ばす。
そんな暴力を極めるカルロを鎖鎌の男は止める。
「やめやがれでござる」
鋼鉄の剛腕を、黒く光沢する鎖で止める。そんななか周りの人間は逃げ回ってくれるが、オークション側の用心棒達はそうもいかない。
「ヤマトが相手してるデカブツは後だ!あのアマ潰せぇ!!!」
「..っ!」
大男達が臆するマロへと血眼で駆ける。マロは震える手で銃を構え、引き金を引く。
いくつかの断末魔が聞こえるが、多いわけでも大きい訳でもない。撃たれていない者は勿論、撃たれてもなおマロの元へ走る者達がマロの恐怖と焦燥感を肥えさせる。
「潰せぇ!」「殺せぇ!」「ガキィ!!!」
先日の仕事とはレベルが違う、人の量も質も段違いだ。
怖い.....死ぬ....今?なんで?私はまだ生きたいのに、生きたいと思えるのに!!!やっと思えたのに
その時、指輪が

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