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それぞれのスタート

仕事の邪魔でしかない。(アサギリside)

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イヴの父君から、抗議文が届いた。



「貧困に喘ぐ領民を国の王太子が穀物類を取り上げているため、
筆頭公爵のリンフォードは抗議する。このまま我が領民を虐げるのであれば、
こちらはそれ相応の対応する」
つまり内紛を意味していた、国王は顔を真っ青にしている。
領民を思いやるリンフォード家は下層から上層に渡るまで支持率が高い。
ましてやこの抗議文は王のみに限らず、国中で広められた。


イヴの父君は豪胆でありながらも、先を読む力が強い。
それは娘であるイヴもまたその力は引き継いでいる、ますますこの親子は似た者同士でもある。


ましてや全国民にその内容が知れ渡ったのだから、王家は信頼などはガタ落ち。
穏やかな性格である王にもこれは青筋が立ったのを直に見た。


賢王である国王は第1王子のアルフォート殿下に見切りをつける、というものだ。
放逐という重い罪にさせて子どもが出来ようが出来まいが関係のないものとする、と。
そして全ての貴族は誰も相手にしないよう、友好関係である帝国までにも話していた。



アルフォート元殿下は顔を真っ青になっていたのを見て、やっと肩の荷が降りたと感じる。
第二王子であるシズク殿下が立太子となったのを安堵した。
シズク殿下は元々、アルフォート元殿下を毛嫌いしていて、
下層から上層までをルールを考えていたらしい。つまり身分差の出来るだけ無くしていく、
という強い意志を持って。


賢王になる素質は充分にある。後は臣下たちがサポートしていく。
勿論、宰相である私も反対などはなくシズク殿下に道を示すつもりだ。




だが!





「アサギリ様ぁ、こちらを見て下さいませ?」
アリス・グリンゼが執拗に迫ってくる始末だった。




臭い香水、濃い化粧、派手で品のないドレス。


『本当に性格も品がない』
と周りが囁きながらもいたから、私自身も内心は大きく頷く。


本当に面倒臭いが、情報を聞き出すため宰相である私が事実確認をする為に。
護衛もつけたというか、書記官もつけている。




もし何かあった場合、というかイヴに余分な不安視を残さない為。
記録していけば問題ないし、護衛も3人ついている。
見張りというか証人対策も。


有らぬ誤解は今のウチに無くしたいのだ。



というか28歳なのだからいい加減、社会を学んでもらいたい。




イヴでも17歳・・・もうじき18歳あるが、
貴族社会や領地経営など様々なものを吸収して次期公爵としているのに。

女なのにこうも違うのか、と思う。
10歳差でこんなにも


アリス嬢はもう腐ったものでしか見れないと私は思うし、
元王子殿下とこの女のせいで少しイヴとの結婚が遅れてしまうのだ。



本当に疫病神。




湖の女神と言われるイヴと疫病神と名付けた名ももう呼びたくない女。
私はため息を吐くしかない。

それによく分からない事を言っているのだ。


と。


転生者とは何だ?


「私はアルフォートと関係を良くしてきたのに、やっと結婚できるかと思ったのに、
脇役だった公爵令嬢のイヴリシアが出ばってくるから!
もう計画はめちゃくちゃ!あの女は悪役令嬢だったのよ!
断罪されるのはあの女よ、たかが「黙れ」え?」

「だから黙れと言っている。さっきからよく分からない戯言を言う口だな。
イヴは公爵令嬢ととして責務をはたしているのだ。
それなのに働きもせず、身分を弁えずいる女が言えるのか?
ましてやイヴは私の婚約者だ、彼女の侮辱は私に侮辱を言っているのも同義。

私は彼女との結婚をお前らのせいで遅れが生じている。

疫病神どものせいでな」


私はいつもならあまり喋らないが、今回ばかりは腹が立っている為、言葉が出る。
書記官や護衛たちも震えている。


もう彼女への侮辱が前からあったが、今回の事でキレている。


「や、疫病神、ですって!?」
「疫病神の他になにがある?それとも尻軽女か、ある事ない事を吹聴して周りを見ない。
嘘つきと学校中に言われていたしな?」
「な、なっ!」
私の言葉に女は返ってこない。つまり図星のようだ。



「貴族牢なんて生ぬるい。犯罪者用へ、いや・・・地下牢へと入れておけ。」
「ちょっと待ってよ、私にはアル、アルフォートととの子どもがいるのよ!?」
自分のお腹を触りながら女は反論してきたが、
私にはため息を吐くしかない。


「貴様は本当に何も知らぬのだな?元王子殿下は放逐。
つまり継承権は何も持たぬ、それに例えアルフォート元王子殿下のお子だとしても、
王はそれは認めていない。つまり平民の子供でしかない。」

「何よそれ!?そんな、だって!」
「とにかく、貴様と話すだけ時間の無駄だ。
おい、連れていけ。牢屋の門番にはこの女が何も言っても信じるなと言っておけ。
この女が処罰処置が終わり、戯言を信じず守れば私から金貨1枚やる。
これ以上、面倒事が起これば面倒くさい事を私が嫌だし、私の仕事が増えるからな。

そしてお前たちにもだ、きちんと仕事をこなせば褒美は金貨1枚だ、わかったな」
その言葉に皆が和気だち、女をガッチリ拘束した。

「はい、必ず伝えます!」
「「「失礼しました!!」」」

「もう貴様と話すのは疲れた、私は話の通じない頭がイカれた女と話す趣味はない。
永遠にサヨナラだ。」
それだけ去り際に伝えて女は騒いだようだったが、すぐに静かになった。
気絶させたのだろう、私は椅子に腰かけてため息つく。




「・・・イヴに会いたい」

心から思える言葉、まだ結婚までは数日ある。デートに誘ってみるべきだろうかと思った、

















続く















処罰は軽いけど、まだまだそれは序の口です。
次からは甘々モードに入ります。


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