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8話
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ダスティンは父親から話があると呼び出され、書斎へと向かった。
父親は厳しい表情でダスティンを待ち構えており、その目には失望が宿っていた。
ダスティンは何か良くないことでもあったのかと考え、父親の前に立った。
「ダスティン、お前には失望したよ」
父は冷静に言い放った。
「どうしてでしょうか?」
「マリエルと婚約解消したことだ。本当に婚約を解消してしまうとはな……」
ダスティンにとっては父親の許可を得たという解釈だった。
反対されなかったのだから許可されたと思い込んでしまったのだ。
「父上が認めたのではありませんか?」
「違うな。私はダスティンの好きにしろと言ったのだ。それには当然当家のことも含めて結論を出さなくてはならない。そのことは理解していなかったのか?」
「……はい、そこまでは考えが及びませんでした」
言われて気付いたダスティンは素直に認めた。
「ならば理解できるだろう? マリエルとの婚約を解消したことで当家が得られる将来の利益がなくなった。それは許しがたい行為だ。ましてや愛人に入れ込んだ結果だからな」
「……」
「お前は愛人が大切なのだな?」
「はい、そうです」
「それでマリエルとの婚約を解消したのだな?」
「……はい」
「ということは、これからの人生をエレナと共に過ごすことを決めたのだな?」
「はい」
父親の問いかけに、ダスティンは肯定の返事をした。
父親は彼の返事に満足そうに頷いていた。
ダスティンは父親の狙いが分からずに困惑していた。
「そこまでの覚悟があるなら認めざるを得ない。だがダスティンよ、お前の行為が家名を傷つけ家族の名誉を汚すことになったのだ。それは理解できるな?」
「……はい」
改めて言葉にされたことで、ダスティンは自分がとんでもない行為をしたのだと気付いた。
そこまで大きな問題だと考えが及ばなかった。
全てはエレナへの愛で判断力がなくなった結果だった。
「ならば処分を告げる。お前とは親子の縁を切る。当家から追放する。これからは平民としてエレナと一緒に生きろ」
「待ってください! それはあまりにも重い処分です!」
「そうか? それだけのことをお前はしてしまったのだ」
はっきりと言われてダスティンも自分の過ちに気付いた。
だが気付いたところでもうどうにもならない。
「近いうちに荷物をまとめて出ていけ。いいな」
「はい」
ダスティンは父親の言葉を受け入れざるを得なかった。
当主は父親なのだ。
その意向に従わなければならない。
それに逆らいマリエルとの婚約を解消したのはダスティンだった。
今度こそ父親の意向に従って追放されなくてはならない。
追放されることが決まったダスティンはエレナにもそのことを告げなくてはならない。
「エレナ、追放が決まった。もう顔を会わせることもないだろう」
「本当なの?!」
エレナはマリエルの追放が決まったのだと思い込んで笑顔を見せた。
「これからはずっと一緒だよな?」
「もちろんよ。どうかしたの?」
「いや、エレナの気持ちを聞けて嬉しかったよ。それで今度遠くへ行こうと思うんだ。一緒に行くよな?」
「もちろんよ。旅行? どこにいくの?」
「決めてはいないが遠くだな」
「楽しみね」
エレナはダスティンが親子の縁を切られ追放されたことをまだ知らない。
ダスティンが全てを失いエレナの夢も潰えたことを知るのは数日後のことだ。
父親は厳しい表情でダスティンを待ち構えており、その目には失望が宿っていた。
ダスティンは何か良くないことでもあったのかと考え、父親の前に立った。
「ダスティン、お前には失望したよ」
父は冷静に言い放った。
「どうしてでしょうか?」
「マリエルと婚約解消したことだ。本当に婚約を解消してしまうとはな……」
ダスティンにとっては父親の許可を得たという解釈だった。
反対されなかったのだから許可されたと思い込んでしまったのだ。
「父上が認めたのではありませんか?」
「違うな。私はダスティンの好きにしろと言ったのだ。それには当然当家のことも含めて結論を出さなくてはならない。そのことは理解していなかったのか?」
「……はい、そこまでは考えが及びませんでした」
言われて気付いたダスティンは素直に認めた。
「ならば理解できるだろう? マリエルとの婚約を解消したことで当家が得られる将来の利益がなくなった。それは許しがたい行為だ。ましてや愛人に入れ込んだ結果だからな」
「……」
「お前は愛人が大切なのだな?」
「はい、そうです」
「それでマリエルとの婚約を解消したのだな?」
「……はい」
「ということは、これからの人生をエレナと共に過ごすことを決めたのだな?」
「はい」
父親の問いかけに、ダスティンは肯定の返事をした。
父親は彼の返事に満足そうに頷いていた。
ダスティンは父親の狙いが分からずに困惑していた。
「そこまでの覚悟があるなら認めざるを得ない。だがダスティンよ、お前の行為が家名を傷つけ家族の名誉を汚すことになったのだ。それは理解できるな?」
「……はい」
改めて言葉にされたことで、ダスティンは自分がとんでもない行為をしたのだと気付いた。
そこまで大きな問題だと考えが及ばなかった。
全てはエレナへの愛で判断力がなくなった結果だった。
「ならば処分を告げる。お前とは親子の縁を切る。当家から追放する。これからは平民としてエレナと一緒に生きろ」
「待ってください! それはあまりにも重い処分です!」
「そうか? それだけのことをお前はしてしまったのだ」
はっきりと言われてダスティンも自分の過ちに気付いた。
だが気付いたところでもうどうにもならない。
「近いうちに荷物をまとめて出ていけ。いいな」
「はい」
ダスティンは父親の言葉を受け入れざるを得なかった。
当主は父親なのだ。
その意向に従わなければならない。
それに逆らいマリエルとの婚約を解消したのはダスティンだった。
今度こそ父親の意向に従って追放されなくてはならない。
追放されることが決まったダスティンはエレナにもそのことを告げなくてはならない。
「エレナ、追放が決まった。もう顔を会わせることもないだろう」
「本当なの?!」
エレナはマリエルの追放が決まったのだと思い込んで笑顔を見せた。
「これからはずっと一緒だよな?」
「もちろんよ。どうかしたの?」
「いや、エレナの気持ちを聞けて嬉しかったよ。それで今度遠くへ行こうと思うんだ。一緒に行くよな?」
「もちろんよ。旅行? どこにいくの?」
「決めてはいないが遠くだな」
「楽しみね」
エレナはダスティンが親子の縁を切られ追放されたことをまだ知らない。
ダスティンが全てを失いエレナの夢も潰えたことを知るのは数日後のことだ。
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