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6話
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「本気であろうが浮気は浮気だ! この馬鹿者が!」
バーナードが怒鳴りつけた。
ケイトは思わずニコラスにしがみつく。
ケイトの存在がニコラスを強気にさせる。
「なんだお前は?! まさかデイジーの浮気相手か?!」
「そのようなはずあるか! デイジー殿はお前たちとは違う!」
「偉そうに言うな! そもそもお前は誰なんだ?」
「私か? そうだな……」
バーナードは正体を明かすべきか考えた。
その隙を逃すノーギュストではない。
「言えないのか。ならば後ろ暗いということだな。お前に俺たちの関係に口出しする権利があるのか!」
「あるぞ」
「えっ」
「えっ?」
「えっ?!」
バーナードの答えはニコラスの予想とは違っていた。
相手よりも強い立場だから強く出ていたのであって、もし口出しする権利があるというのであれば不味い対応をしたことになる。
デイジーもある程度予想していたとはいえ、バーナードが自信をもって答えるものだから、想像以上にすごい人なのかと思ってしまった。
ケイトもバーナードがまさかそのような相手だと思わなかった。
ニコラスの騎士という立場が彼女にとって都合が良かったのであり、まさかそれに口出しできる立場だとは思わなかった。
これではニコラスの将来がどうなるか分からない。
ケイトもニコラスと結婚し安泰の生活を送る計画が失敗してしまうかもしれない。
「そんなはずは……。嘘に決まっている! ハッタリだ!」
「残念だがそれは違う」
「なら何だと言うんだ!」
「私は騎士団の監察官だ。規則に反した者がいないか、調査する立場にある」
「そんな……」
ニコラスはそれまでとは打って変わって力なく崩れ落ちそうになった。
相手が監察官だったのであれば強気だった分もマイナスに評価されてしまう。
ニコラスは自分が罰せられることを自覚した。
「分かっているとは思うが騎士には規則を守る義務がある。それを守れないようであれば騎士として相応しくない。ニコラス、罰を受ける覚悟はあるか?」
「……あります」
「よろしい。正式な処分は追って知らされるだろう」
ニコラスは完全に崩れ落ちた。
「大丈夫?! ねえ、ニコラス、しっかりして!」
「もうだめだ、俺は罰を与えられるだろう……」
「そんなことで諦めないで! 私のためにがんばって!」
ケイトも必死だった。
ニコラスの妻になれなければ計画が台無しになってしまう。
せっかく苦労してここまで状況を整えたというのに、それがひっくり返されてしまった。
「どうしてなの、ニコラス……」
「浮気は騎士にとって許されるものではない。それを知らなかったのか?」
ケイトのつぶやきに答えたのはバーナードだった。
既にケイトの精神はボロボロだが、そこに追い討ちをかける言葉にデイジーもジャスミンも思うところがあった。
だがケイトはニコラスの浮気相手だ。
これくらい容赦なく対応したほうがいいのではないかと考えた。
「知らなかったの! 私はニコラスと結婚したかったのよ!」
「ならすればいい。それは自由だ」
「えっ?!」
バーナードの冷静な答えにケイトは困惑した。
「いいの?」
「デイジー殿と離婚した後であれば結婚するのに問題なかろう? あくまでも既婚者が浮気したことが問題なのだよ」
「そう……なの……?」
絶望していたケイトの目に力が戻った。
バーナードが怒鳴りつけた。
ケイトは思わずニコラスにしがみつく。
ケイトの存在がニコラスを強気にさせる。
「なんだお前は?! まさかデイジーの浮気相手か?!」
「そのようなはずあるか! デイジー殿はお前たちとは違う!」
「偉そうに言うな! そもそもお前は誰なんだ?」
「私か? そうだな……」
バーナードは正体を明かすべきか考えた。
その隙を逃すノーギュストではない。
「言えないのか。ならば後ろ暗いということだな。お前に俺たちの関係に口出しする権利があるのか!」
「あるぞ」
「えっ」
「えっ?」
「えっ?!」
バーナードの答えはニコラスの予想とは違っていた。
相手よりも強い立場だから強く出ていたのであって、もし口出しする権利があるというのであれば不味い対応をしたことになる。
デイジーもある程度予想していたとはいえ、バーナードが自信をもって答えるものだから、想像以上にすごい人なのかと思ってしまった。
ケイトもバーナードがまさかそのような相手だと思わなかった。
ニコラスの騎士という立場が彼女にとって都合が良かったのであり、まさかそれに口出しできる立場だとは思わなかった。
これではニコラスの将来がどうなるか分からない。
ケイトもニコラスと結婚し安泰の生活を送る計画が失敗してしまうかもしれない。
「そんなはずは……。嘘に決まっている! ハッタリだ!」
「残念だがそれは違う」
「なら何だと言うんだ!」
「私は騎士団の監察官だ。規則に反した者がいないか、調査する立場にある」
「そんな……」
ニコラスはそれまでとは打って変わって力なく崩れ落ちそうになった。
相手が監察官だったのであれば強気だった分もマイナスに評価されてしまう。
ニコラスは自分が罰せられることを自覚した。
「分かっているとは思うが騎士には規則を守る義務がある。それを守れないようであれば騎士として相応しくない。ニコラス、罰を受ける覚悟はあるか?」
「……あります」
「よろしい。正式な処分は追って知らされるだろう」
ニコラスは完全に崩れ落ちた。
「大丈夫?! ねえ、ニコラス、しっかりして!」
「もうだめだ、俺は罰を与えられるだろう……」
「そんなことで諦めないで! 私のためにがんばって!」
ケイトも必死だった。
ニコラスの妻になれなければ計画が台無しになってしまう。
せっかく苦労してここまで状況を整えたというのに、それがひっくり返されてしまった。
「どうしてなの、ニコラス……」
「浮気は騎士にとって許されるものではない。それを知らなかったのか?」
ケイトのつぶやきに答えたのはバーナードだった。
既にケイトの精神はボロボロだが、そこに追い討ちをかける言葉にデイジーもジャスミンも思うところがあった。
だがケイトはニコラスの浮気相手だ。
これくらい容赦なく対応したほうがいいのではないかと考えた。
「知らなかったの! 私はニコラスと結婚したかったのよ!」
「ならすればいい。それは自由だ」
「えっ?!」
バーナードの冷静な答えにケイトは困惑した。
「いいの?」
「デイジー殿と離婚した後であれば結婚するのに問題なかろう? あくまでも既婚者が浮気したことが問題なのだよ」
「そう……なの……?」
絶望していたケイトの目に力が戻った。
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