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3話

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それからジャスミンはバーナードに情報を伝えた。
バーナードはメモを取ったりはせず、必要な情報は全部記憶した。

「いやあ、助かったよ」
「別にいいのよ。私たちにもメリットがあるし。それで訊きたいのだけど、既婚者の騎士が浮気したらどうなるの?」
「かなりの罰が与えられるだろうね。最悪は騎士の身分を剥奪することになるけど、余程の事がない限りそうはならないだろう」

デイジーはニコラスの処分がどうなるのか気になった。
特に気になったのは余程の事という部分だった。
そのため思わず訊いてしまう。

「余程の事って?」
「浮気相手が他国のスパイだった場合とかかな。他にも犯罪者だったりすると厳しい処分になるだろう」
「もしかしてケイトは……」

デイジーは思わず口から出てしまった。

「可能性はゼロではないけど、ニコラスに近づいてもスパイとしてはメリットがないだろうね。こう言うのもどうかと思うけど、ニコラスは別に立派な騎士というほどでもないし」
「確かに……」
「それは心構えだけでなく実力もだ。浮気するような甘ったれだから鍛錬にも消極的だ。騎士になったら終わりとでも思っているのかもな。騎士は民を守ってこそだ。何よりも身近な女性を守らずしてどうするというのか」

憤慨するバーナードの様子から、デイジーは絶対に騎士団の関係者だと思った。
しかもそれなりに上の立場や役職に違いないと思った。
そのような彼が味方してくれるのだからニコラスは絶対に痛い目に遭うと確信した。

「おっと、少々話過ぎたな。私はそろそろお暇しよう。いろいろとしないといけないことがあるのでね」
「手間をかけるわ、バーナードさん」
「ははは、ジャスミンの頼みなら嫌とは言わないさ」

そう言ってバーナードは店を出ていった。

「あの人が協力してくれているのね」
「ええ、そうよ。彼に任せておけば必要な情報は得られるわ」
「そうだったのね。すごい人なのね」
「秘密の身分だけど察することはできたでしょう?」
「そうね」

身分を知っているであろうジャスミンが口に出さないのだから、デイジーも推測すら口には出さなかった。

「きっと明後日にはケイトのことも調べて連絡してくるはずよ。離婚はそれまで引き延ばせるわよね?」
「できるわ。もっと引き延ばしたほうがいい?」
「調べた結果次第ね。でも無理はしないでね」
「わかったわ」

こうして二人はまた雑談に戻った。
本来であればストレスで精神を消耗しているところだが、ジャスミンの気遣いによってデイジーはそこまで消耗していなかった。

美味しそうにパフェを食べるジャスミンを見るとデイジーの心も和んだ。



翌々日、予定通りにジャスミンはバーナードからケイトの情報を伝えられた。

「ふーん、これは面白いことになりそうね」
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