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2話
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残された時間は限られている。
デイジーは友人のジャスミンを訪ねた。
「大変よ、ジャスミン! ついにニコラスが離婚を切り出したの!」
「もう?! まだ準備は終わっていないわ?!」
何よりも先に重要なことを伝えた。
予想外のことにジャスミンも慌てた。
「でも大丈夫、浮気相手の名前は分かったから。ケイトよ」
「ケイトね。調べておくわ」
「助かるわ」
ジャスミンはデイジーの状況を知っており、ニコラスへの制裁に協力を約束してくれていた。
それで浮気相手の女性を調べていたところだったのだが、ニコラスからの離婚の申し出が予想よりも早かったことで、まだ調べは済んでいない。
「それで、離婚することまでは同意したけど、まだ手続きが終わっていないの。手続きが終わるまでの間に何かできるかと思ったけど、良い案はある?」
デイジーは少し考え込んだ。
「手続きが済んでいないなら、まだ正式に離婚はしていないわよね? それで他の女性と一緒にいれば浮気よね。その現場を抑えられたら面白いとは思わない?」
「面白いかも。言い逃れできないもの。できれば第三者にも一緒にいてほしいけど……」
「それなら任せて。私に考えがあるの」
「いいの? なら甘えるとするわ」
「ふふ、いいのよ。私だってニコラスには仕返ししたいと思うもの。デイジーを裏切ったのだから容赦しないわ」
「ありがとう、ジャスミン」
ジャスミンは今までも何度もデイジーの力になってくれた。
同じようにデイジーもジャスミンの力になったこともあり、お互いに助け合ってきた関係だ。
それにジャスミンには謎の伝手や顔の広さがあり、思いがけないことをすることだって何度もあった。
だから今回もきっとどうにかしてくれるだろうとデイジーはジャスミンを信頼した。
「それよりも気分を変えたいわ。いつものカフェに行かない?」
「え、いいけど……」
「なら決まりね」
ジャスミンの突然の提案にデイジーは戸惑った。
今は時間が惜しいはずなのに、あえてこういった提案をするということは意味があってのことに違いないとデイジーは考えた。
二人はカフェに移動し、普通に注文し、雑談に興じた。
「で、いったい何を企んでいるの?」
カフェラテを飲み終わり、デイジーは切り出した。
「ちょうど良かったわ。目当ての人が来たみたい」
ジャスミンは店に入ってきた人物を確認し、手を振った。
その人物は中年の男性だったが、普段から鍛えていることがよく分かる体つきだった。
男性はジャスミンを確認し、二人の席に近づいてきた。
「やあジャスミン、久しぶりだね。元気にしてた?」
「お陰さまで」
「そちらのお嬢さんは?」
「私の友人よ」
「はじめまして、デイジーと申します」
「私はバーナード。詳しい立場は秘密にさせてくれ」
ジャスミンはバーナードに席に座るよう促した。
「バーナードさんには協力をお願いしているの。ニコラスの浮気相手はケイトという名前よ」
「そうか、情報提供感謝する」
デイジーは彼がジャスミンの伝手だと察した。
デイジーは友人のジャスミンを訪ねた。
「大変よ、ジャスミン! ついにニコラスが離婚を切り出したの!」
「もう?! まだ準備は終わっていないわ?!」
何よりも先に重要なことを伝えた。
予想外のことにジャスミンも慌てた。
「でも大丈夫、浮気相手の名前は分かったから。ケイトよ」
「ケイトね。調べておくわ」
「助かるわ」
ジャスミンはデイジーの状況を知っており、ニコラスへの制裁に協力を約束してくれていた。
それで浮気相手の女性を調べていたところだったのだが、ニコラスからの離婚の申し出が予想よりも早かったことで、まだ調べは済んでいない。
「それで、離婚することまでは同意したけど、まだ手続きが終わっていないの。手続きが終わるまでの間に何かできるかと思ったけど、良い案はある?」
デイジーは少し考え込んだ。
「手続きが済んでいないなら、まだ正式に離婚はしていないわよね? それで他の女性と一緒にいれば浮気よね。その現場を抑えられたら面白いとは思わない?」
「面白いかも。言い逃れできないもの。できれば第三者にも一緒にいてほしいけど……」
「それなら任せて。私に考えがあるの」
「いいの? なら甘えるとするわ」
「ふふ、いいのよ。私だってニコラスには仕返ししたいと思うもの。デイジーを裏切ったのだから容赦しないわ」
「ありがとう、ジャスミン」
ジャスミンは今までも何度もデイジーの力になってくれた。
同じようにデイジーもジャスミンの力になったこともあり、お互いに助け合ってきた関係だ。
それにジャスミンには謎の伝手や顔の広さがあり、思いがけないことをすることだって何度もあった。
だから今回もきっとどうにかしてくれるだろうとデイジーはジャスミンを信頼した。
「それよりも気分を変えたいわ。いつものカフェに行かない?」
「え、いいけど……」
「なら決まりね」
ジャスミンの突然の提案にデイジーは戸惑った。
今は時間が惜しいはずなのに、あえてこういった提案をするということは意味があってのことに違いないとデイジーは考えた。
二人はカフェに移動し、普通に注文し、雑談に興じた。
「で、いったい何を企んでいるの?」
カフェラテを飲み終わり、デイジーは切り出した。
「ちょうど良かったわ。目当ての人が来たみたい」
ジャスミンは店に入ってきた人物を確認し、手を振った。
その人物は中年の男性だったが、普段から鍛えていることがよく分かる体つきだった。
男性はジャスミンを確認し、二人の席に近づいてきた。
「やあジャスミン、久しぶりだね。元気にしてた?」
「お陰さまで」
「そちらのお嬢さんは?」
「私の友人よ」
「はじめまして、デイジーと申します」
「私はバーナード。詳しい立場は秘密にさせてくれ」
ジャスミンはバーナードに席に座るよう促した。
「バーナードさんには協力をお願いしているの。ニコラスの浮気相手はケイトという名前よ」
「そうか、情報提供感謝する」
デイジーは彼がジャスミンの伝手だと察した。
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