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もう一つの落とし穴5
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やっと開放され、クタクタの身体を広いバスタブに浸けると、一気に疲れが押し寄せてきた。
無理もない。
昨日は円香と飲みに行き、帰ってから羽立くんとのあれやこれやであまり寝てない。
今日は今日で、久々に足立さんにみっちりしごかれたし。
中でも一番消耗させられたのはやっぱり矢吹の件だ。
時間が経つにつれ、バレなくて良かったという安心感より、今後バレたらという不安の方が大きくなっていく。
ダメだ。ネガティブになってる場合じゃない。
とにかくバレない方法を考えないと。
足立さんの話だと、明日には正式に新プロジェクトメンバーの発表と顔合わせが控えていて、矢吹との接触はどうしても避けられなさそうだ。
でも、それもきっとこのプロジェクトに携わっている間だけのこと。
終わってしまえば、今までどおり一課との接点もなくなるはずだ。
と、いうことは、プロジェクトの間だけでも、家で羽立くんと一緒にいる時間を減らせば、ボロが出る可能性も低くなるんじゃないだろうか。
朝はお互い忙しいから大丈夫。
問題は、夜だ。
正確には寝る時。
何せ羽立くんは頗る勘がいい。
昨日みたいに触れらながら厳しく追求されたら、隠し通せる自信がない。
…なんて、そんないやらしい場面を想像してしまったら、一気に来てのぼせたらしい。
頭がクラクラする。
まずい。
目の前真っ暗…
*
意識が戻った時、私はバスローブ姿で脱衣所の床に寝かされていた。
「羽立…くん?」
「奏音さん!大丈夫ですか?気分は!?」
「ちょっと頭痛い…けど、大丈夫」
額に手を当てると、冷えたタオルが乗せられていた。
心地よさにハーッと息を吐くと、羽立くんが同じタイミングでため息を吐いた。
「心配かけてごめんね」
これ以上のお小言は勘弁して欲しいな、と内心怯えていると、羽立くんはこれまたしっかり冷えたスポーツドリンクの蓋を開け、ストローを刺し、私に手渡しながら言った。
「考えたんですけど…寝室、しばらく別々にしましょうか?」
「えっ!?」
正に倒れる直前まで考えていた、願ってもない申し出に、思わず目を輝かせてしまう。
「倒れたの、俺のせいですよね?昨夜も無理させたし…」
しゅんと下がった眉に、つい、「全然平気だよ」と言ってしまいそうになる口を、ぐっと引き結んだ。
「でも俺、隣に奏音さんが寝てるのにちょっかい出さない自信0です。…さっき裸も見ちゃったし」
「!!み、見たの!?」
「ツルッツルの下半身まで余すことなく…って、純粋な人命救助の合間にですけどね」
遂に…遂にアレを見られてしまった…!!
恥ずかし過ぎて、またのぼせそうになり、手に持っていたスポーツドリンクを急いで吸った。
「これから式の準備で週末も忙しくなるだろうからその間だけです」
「もしかして、日取り決まったの?」
「はい。今日母から連絡がありました。十月の一週目の土曜だそうです」
無理もない。
昨日は円香と飲みに行き、帰ってから羽立くんとのあれやこれやであまり寝てない。
今日は今日で、久々に足立さんにみっちりしごかれたし。
中でも一番消耗させられたのはやっぱり矢吹の件だ。
時間が経つにつれ、バレなくて良かったという安心感より、今後バレたらという不安の方が大きくなっていく。
ダメだ。ネガティブになってる場合じゃない。
とにかくバレない方法を考えないと。
足立さんの話だと、明日には正式に新プロジェクトメンバーの発表と顔合わせが控えていて、矢吹との接触はどうしても避けられなさそうだ。
でも、それもきっとこのプロジェクトに携わっている間だけのこと。
終わってしまえば、今までどおり一課との接点もなくなるはずだ。
と、いうことは、プロジェクトの間だけでも、家で羽立くんと一緒にいる時間を減らせば、ボロが出る可能性も低くなるんじゃないだろうか。
朝はお互い忙しいから大丈夫。
問題は、夜だ。
正確には寝る時。
何せ羽立くんは頗る勘がいい。
昨日みたいに触れらながら厳しく追求されたら、隠し通せる自信がない。
…なんて、そんないやらしい場面を想像してしまったら、一気に来てのぼせたらしい。
頭がクラクラする。
まずい。
目の前真っ暗…
*
意識が戻った時、私はバスローブ姿で脱衣所の床に寝かされていた。
「羽立…くん?」
「奏音さん!大丈夫ですか?気分は!?」
「ちょっと頭痛い…けど、大丈夫」
額に手を当てると、冷えたタオルが乗せられていた。
心地よさにハーッと息を吐くと、羽立くんが同じタイミングでため息を吐いた。
「心配かけてごめんね」
これ以上のお小言は勘弁して欲しいな、と内心怯えていると、羽立くんはこれまたしっかり冷えたスポーツドリンクの蓋を開け、ストローを刺し、私に手渡しながら言った。
「考えたんですけど…寝室、しばらく別々にしましょうか?」
「えっ!?」
正に倒れる直前まで考えていた、願ってもない申し出に、思わず目を輝かせてしまう。
「倒れたの、俺のせいですよね?昨夜も無理させたし…」
しゅんと下がった眉に、つい、「全然平気だよ」と言ってしまいそうになる口を、ぐっと引き結んだ。
「でも俺、隣に奏音さんが寝てるのにちょっかい出さない自信0です。…さっき裸も見ちゃったし」
「!!み、見たの!?」
「ツルッツルの下半身まで余すことなく…って、純粋な人命救助の合間にですけどね」
遂に…遂にアレを見られてしまった…!!
恥ずかし過ぎて、またのぼせそうになり、手に持っていたスポーツドリンクを急いで吸った。
「これから式の準備で週末も忙しくなるだろうからその間だけです」
「もしかして、日取り決まったの?」
「はい。今日母から連絡がありました。十月の一週目の土曜だそうです」
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