24 / 111
波乱の同居生活4
しおりを挟む
羽立くんは、私の背後にあったタオル掛けからバスタオルを掴み、背中にふわりと掛けてくれた。
「あ、ありがとう」
タオルの端と端を身体の前で合わせて、ギュッと握りしめる。
助かった。
これで何とかこれ以上の丸見えの刑は避けられた。
「俺の方こそありがとうございました。でも…このまま奏音さんに鼻押さえてもらってても止まりそうにないので、リビングに戻ってますね」
「え?あ、ごめんね。押さえ方足りなかった?付け根のところ、しっかり押さえて、安静にしててね」
羽立くんが頷いて出ていくと、私はその場にしゃがみこんだ。
見られた。
全っ部見られた。
あー。もうお嫁に行けない!!って…一応行けるわけだけれども。
でも、結婚相手の羽立くんは、私の裸を見ても眉一つ動かさなかった。
そりゃそうだ。この結婚は、ある種の契約結婚なんだから。
分かっていたことだけど、凹む…。
今さら、私ばかりが羽立くんを好きなのだと思い知らされて苦しくなる。
初日からこんな調子でやっていけるんだろうか。
深いため息を吐きながら、濡れたティッシュで床の血をきれいに拭い取った。
そして、乱されまくった心が落ち着くまで、ドライヤーでしっかりと髪を乾かし、一度自分の部屋に寄って着替えてから、羽立くんのいるリビングに戻った。
一難去ってまた一難。
私は今、羽立くんの部屋のベッドと壁の隙間で、地蔵の様に固まっています。
だってしょうがないじゃん!
自慢じゃないけど、私28で処女だし!!
父親と弟以外の男の人となんて寝たことないし!!!
おまけに相手、羽立くんだよ?
それもただの羽立くんじゃなくて、お風呂上がりで信じられないくらいいい匂いさせて、パジャマの第二ボタンまで外してる、色気全開の羽立くんだよ!!?
このポジションをキープしておかないと、無理やり襲いかねない。
もちろん、私が。
羽立くんを。
そんなことになったら、嫌われて婚約解消どころか、父の会社への援助も引き上げられてしまう。
最悪、警察沙汰。
そこに発動される、優しい羽立くんの甘い誘惑。
「奏音さん、そんな端っこにいたら落ちますよ…って、ほとんど落ちてるじゃないですか!」
「わ、私はここで大丈夫だから!!」
「ダメですって!もっとこっちに来てください!!」
見かけよりずっと力強い手で肩を掴まれ、身体の向きをごろんと変えさせられてしまった。
広いベッドのお陰で、私達の身体は、どこも触れ合ってはいない。
でも、眼の前には、羽立くんの美しすぎる顔面。
匂いを嗅がないよう、反射的に息を止めた。
「これで大丈夫ですね」
全然大丈夫じゃない!息できない!!
ダメダメダメダメ!!
ムリムリムリムリ!!!
窒息しそうな上に、ドキドキしてどんどん頭に血が上っていく。
このままだと顔、赤いのバレちゃう。
もう、限界!!!
というところでー
「じゃ、電気消しますね。おやすみなさい」
羽立くんはサイドテーブルに置いていたリモンコンで照明を落とすと、すぐに寝息を立て始めた。
間一髪…。
できる限り静かに元の位置に戻って地蔵に徹するうちに、私は眠りに落ちていた。
「あ、ありがとう」
タオルの端と端を身体の前で合わせて、ギュッと握りしめる。
助かった。
これで何とかこれ以上の丸見えの刑は避けられた。
「俺の方こそありがとうございました。でも…このまま奏音さんに鼻押さえてもらってても止まりそうにないので、リビングに戻ってますね」
「え?あ、ごめんね。押さえ方足りなかった?付け根のところ、しっかり押さえて、安静にしててね」
羽立くんが頷いて出ていくと、私はその場にしゃがみこんだ。
見られた。
全っ部見られた。
あー。もうお嫁に行けない!!って…一応行けるわけだけれども。
でも、結婚相手の羽立くんは、私の裸を見ても眉一つ動かさなかった。
そりゃそうだ。この結婚は、ある種の契約結婚なんだから。
分かっていたことだけど、凹む…。
今さら、私ばかりが羽立くんを好きなのだと思い知らされて苦しくなる。
初日からこんな調子でやっていけるんだろうか。
深いため息を吐きながら、濡れたティッシュで床の血をきれいに拭い取った。
そして、乱されまくった心が落ち着くまで、ドライヤーでしっかりと髪を乾かし、一度自分の部屋に寄って着替えてから、羽立くんのいるリビングに戻った。
一難去ってまた一難。
私は今、羽立くんの部屋のベッドと壁の隙間で、地蔵の様に固まっています。
だってしょうがないじゃん!
自慢じゃないけど、私28で処女だし!!
父親と弟以外の男の人となんて寝たことないし!!!
おまけに相手、羽立くんだよ?
それもただの羽立くんじゃなくて、お風呂上がりで信じられないくらいいい匂いさせて、パジャマの第二ボタンまで外してる、色気全開の羽立くんだよ!!?
このポジションをキープしておかないと、無理やり襲いかねない。
もちろん、私が。
羽立くんを。
そんなことになったら、嫌われて婚約解消どころか、父の会社への援助も引き上げられてしまう。
最悪、警察沙汰。
そこに発動される、優しい羽立くんの甘い誘惑。
「奏音さん、そんな端っこにいたら落ちますよ…って、ほとんど落ちてるじゃないですか!」
「わ、私はここで大丈夫だから!!」
「ダメですって!もっとこっちに来てください!!」
見かけよりずっと力強い手で肩を掴まれ、身体の向きをごろんと変えさせられてしまった。
広いベッドのお陰で、私達の身体は、どこも触れ合ってはいない。
でも、眼の前には、羽立くんの美しすぎる顔面。
匂いを嗅がないよう、反射的に息を止めた。
「これで大丈夫ですね」
全然大丈夫じゃない!息できない!!
ダメダメダメダメ!!
ムリムリムリムリ!!!
窒息しそうな上に、ドキドキしてどんどん頭に血が上っていく。
このままだと顔、赤いのバレちゃう。
もう、限界!!!
というところでー
「じゃ、電気消しますね。おやすみなさい」
羽立くんはサイドテーブルに置いていたリモンコンで照明を落とすと、すぐに寝息を立て始めた。
間一髪…。
できる限り静かに元の位置に戻って地蔵に徹するうちに、私は眠りに落ちていた。
0
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる