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羽立くんの事情2
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「だから、何でそうなるんだよ!?」
羽立くんのプロポーズに、私より先に返事(?)をしたのは宮本くんだった。
危ない。
うっかり「いいよ」って言いそうになった自分が怖い。
「お前、結婚するってどういうことか分かってるのか?同じ家に住んで、一緒に飯食って、一から家庭を築いていくんだぞ!できるのかよ!?」
そう!そうだよ!!宮本くんの言うとおり。
きっと、羽立くんは思いつきで言ってるだけ!
と、思っていたらー
「逆に、高校の時から、結婚するなら奏音さんしかいないって思ってました」
二度の軽いプロポーズなんかより遥かに私の胸に刺さる、衝撃の一言。
う、嘘!?
そんな話知らない!!
だって羽立くん、あの時は矢吹のことが好きだったんじゃないの!?
「俺のこと理解してくれてるし、真面目で、優しくて、バカが付くほどお人好しで…あと、料理も上手だし。だから、見合い写真の中に奏音さんを見つけたときは、本当に運命だと思いました。連絡とれなくなってた間に他の男に取られなくて、本当に良かった」
繰り出される、そんじょそこらの「自称アイドル」とは比べ物にならないほど、燦然と輝く笑顔。
ああ、まずい。
気づけば私、運命の落とし穴の縁に立たされている。
もう、そよ風が吹いても真っ逆さまに落ちそう。
そんな私の状態を、知ってか知らずか、羽立くんが突風を巻き起こした。
「そういえば、奏音さんの実家、何か困ってることがあるんでしたよね?俺で良ければ力になりますよ?」
精神世界の私が、足を踏み外し、音もなく穴底に落ちていく。
「…ふ、不束者ですが、よろしくお願いします…」
「…こんな、こんな結婚、俺は認めない!!」
またしても宮本くんが口を挟んだ。
「なんだ、晃。お前まだ居たんだ?奏音さんと俺が結婚することに合意したんだから、部外者にどうこう言われる筋合いないんだけど?」
応える羽立くんの声は、深い落とし穴の底にいても伝わって来そうなほどの冷気を纏っている。
「いいや、一応元恋人の俺にはある!お前たち、夫婦にとって一番肝心なこと見落としてるって!!」
「…両家の親とか?それなら本人たち以上に狂喜…」
「じゃなくて!セックスだよ、セックス!!お前、この女のこと抱けるのかよ!?」
宮本くんが二度発した、日常生活では言い慣れないし、聞き慣れない、しかし、必ず人間とともに在る「セックス」という言葉が頭の中をグルグル回り始める。
は、羽立くんと、私がセックス?
そんなの、一度たりとも想像したことがない。
だけど、「羽立くんのセックス」なら想像したことがある。
大学時代、頼んでもないのに、漫画好きの友達が貸してくれたBL本。
まだ羽立くんを上手に忘れられていなかった私は、持ち前の妄想力をうっかり駆使して、脳内で登場人物を羽立くんと矢吹に置き換えてしまったのだ(矢吹…本当にごめん)。
その時、いわゆる「攻め」は矢吹、「受け」は羽立くんだった。
羽立くんのプロポーズに、私より先に返事(?)をしたのは宮本くんだった。
危ない。
うっかり「いいよ」って言いそうになった自分が怖い。
「お前、結婚するってどういうことか分かってるのか?同じ家に住んで、一緒に飯食って、一から家庭を築いていくんだぞ!できるのかよ!?」
そう!そうだよ!!宮本くんの言うとおり。
きっと、羽立くんは思いつきで言ってるだけ!
と、思っていたらー
「逆に、高校の時から、結婚するなら奏音さんしかいないって思ってました」
二度の軽いプロポーズなんかより遥かに私の胸に刺さる、衝撃の一言。
う、嘘!?
そんな話知らない!!
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繰り出される、そんじょそこらの「自称アイドル」とは比べ物にならないほど、燦然と輝く笑顔。
ああ、まずい。
気づけば私、運命の落とし穴の縁に立たされている。
もう、そよ風が吹いても真っ逆さまに落ちそう。
そんな私の状態を、知ってか知らずか、羽立くんが突風を巻き起こした。
「そういえば、奏音さんの実家、何か困ってることがあるんでしたよね?俺で良ければ力になりますよ?」
精神世界の私が、足を踏み外し、音もなく穴底に落ちていく。
「…ふ、不束者ですが、よろしくお願いします…」
「…こんな、こんな結婚、俺は認めない!!」
またしても宮本くんが口を挟んだ。
「なんだ、晃。お前まだ居たんだ?奏音さんと俺が結婚することに合意したんだから、部外者にどうこう言われる筋合いないんだけど?」
応える羽立くんの声は、深い落とし穴の底にいても伝わって来そうなほどの冷気を纏っている。
「いいや、一応元恋人の俺にはある!お前たち、夫婦にとって一番肝心なこと見落としてるって!!」
「…両家の親とか?それなら本人たち以上に狂喜…」
「じゃなくて!セックスだよ、セックス!!お前、この女のこと抱けるのかよ!?」
宮本くんが二度発した、日常生活では言い慣れないし、聞き慣れない、しかし、必ず人間とともに在る「セックス」という言葉が頭の中をグルグル回り始める。
は、羽立くんと、私がセックス?
そんなの、一度たりとも想像したことがない。
だけど、「羽立くんのセックス」なら想像したことがある。
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