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俺の幼馴染で婚約者が可愛すぎて辛い6

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もう、死のう。
死ぬしかない。

昨日、目の前で千歳が一回りも年上の男に恋に落ちた。

その男は千歳の叔母さんの旦那さん。
俺から見たらヨレヨレでクタクタの、ただのオッサン。

最愛の妻を失くし、俺たちの目も憚らず、むせび泣く姿は痛々しいものがあったけど。

俺も千歳がいなくなったら、こんな感じ?
いや、きっと、もっと、ヤバいんだろうな。

想像しながら千歳を見遣ったら、瞬きもせずにオッサンのことを見ていた。
そしてその目は、これまで見たことのないような色を帯びていて。

途端に胸が嫌な音を立ててざわつき始める。

嘘だろ?
まさか…な。

冷や汗まで背中を伝い始めた。
引き摺るようにしてマンションを後にしたものの、明らかに様子のおかしい千歳に、動揺を隠しきれなかった。

我慢できずに高架下で足を止める。

「…惚れたんじゃないよな?」

頼むから、違うと言ってくれと願いながら問う。

せめて、頬を赤らめられた方がまだましだった。
単なる憧れ、ちょっとした気の迷い、そんな言葉で片付けられたから。

図星を突かれ、青ざめた顔をした千歳は、俺から顔を背け小刻みに肩を震わせている。

まずい。
これ、本気マジだ。
何とかして止めないと。

「何考えてるんだよ!?相手は叔父だぞ!!?それも、千歳が大好きだった永美さんのダンナだぞ!?」

焦る気持ちから、つい追い詰めるような言い方になってしまうと、

「そんなこと!分かってる…分かってるよ!!」

俺の言葉を遮るように、千歳がヒステリックに叫んだ。

「…でも、好きになっちゃったんだもん」

消え入りそうな声で思いを明かす顔は、完全に、恋する女のものだった。

なんで。
なんでなんでなんでなんで!!?

俺じゃなくてあの男なんだ!!
あんな男のどこがいいんだ!?
俺のほうがずっと前から千歳のことが好きなのに。
千歳のためにずっとずっと努力してきたのに。

喉元まで出かかった言葉を飲み込んだのは、今の千歳には絶対に俺の気持ちなんて届かないという確信があったから。

ずっと見たかったはずの感情なのに、俺に向けられたものではないということだけで頭がガンガンする。

本当は、千歳はあの男とは血の繋がりもないし、別に禁忌タブーでも何でもない。

それでも───

怒りと嫉妬とやるせなさで全く感情の制御ができなくなった俺は、千歳の気持ちを雁字搦めにする言葉を放っていた。

「そんなの…赦されないからな…。神も仏も、世間も、永美さんも…俺も!千歳があの男に思いを伝えるなんて、絶対に赦さない!!」

千歳は小さく息を飲むと、一層青ざめた顔で俺に約束した。

「…わない、絶対。ったりしない」

──後から思えば、これが間違いだった。
行き場のない思いは消化されることなく、体内に蓄積され続けることを、俺は身を持って知っていたのに。

早く告白させて、振られさせておけば、あんなことにはならなかったのに─
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