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「晴臣!!ひ、久しぶり。元気だった?」

「誤魔化すなよ。今アイツの名前呼んでただろう?あれだけ痛い目に合わされたのに、何普通に連絡取ってんだよ!?」

言いながら、晴臣はしゃがんだままの私の首根っこを掴んで立ち上がらせた。

ああ、最悪だ。
感動の再会も何もあったもんじゃない。

「と、取ってないし。今日遼平くんに会ったの、三年ぶりだし!」

「会った?今日!?…ってことは…」

晴臣の顔から一気に血の気が引き、その表情が憤怒から絶望と苦悶に満ちたものに変わる。
もっと怖くなって、ジリジリと後ずさりすると、さっき隠れていた柱に背中がぶつかり、逃げ場を失ったところで、やっと晴臣が再び口を開いた。

「………もうアイツに抱かれたのか?」


え?
抱かれた??
いつの話よ???


「ちょ、ごめん。…何の話か全然分かんない」

「俺は…、俺は、手塚が『このままいつまでもちーちゃんのことを放ったらかしにする気なら、ちーちゃんの初めては今度こそ僕がもらう』って言ってるって聞いて飛んで帰ってきたんだよ!!」

妙に歯切れが悪いと思っていたら、遼平くんの伝言って、これだったのか。

ということは、やっぱりあの夜、最後までしてなかったってこと?

でも、遼平くんの伝言の内容で明らかになった事実よりも、それを聞いた晴臣が文字どおり飛んで帰ってきてくれたことのほうが、何倍も嬉しい。
さっきまでの心配や不安が嘘のように消え去り、思いを伝える勇気に変わった。

「誰にも…あげるわけないじゃない。ずっとあのマンションで、一人で晴臣のこと待ってたんだから」

心の底から絞り出すと、晴臣の表情がふと和らいだ。

それを見た途端、今度は三年分の寂しさと恋しさが一気にこみ上げてきて、晴臣の体に思い切り抱きついた。

「…おかえり、晴臣」

しばらく棒立ちだった晴臣の手が、ぎこちなく私の背中に回ると、痛い程強い力で抱きしめ返された。

千日以上待ち焦がれた温もりが、心と身体を満たしていく。

「ただいま…ただいま、千歳」

少し遠回りしたけれど、こうして私達は、やっと『感動の再会』を果たすことができた。
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