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遼平くんが最初に車を走らせた先は、近郊でも指折りのイルミネーションスポットだった。
映画をモチーフにして無数の電飾が作った別世界のような空間が、一瞬で私の心を奪う。
でも、ただでさえ圧巻のイルミネーションは、ただのイルミネーションには留まらなかった。
コートの袖を少しずらして、遼平くんが時計を確認して言った。
「良かった。丁度始まるみたいだ」
始まるって、何が?
そう口にしようとした途端、場内に音楽が流れ、映像が動き出した。
プロジェクションマッピングの音と光の演出で、本当に一本の映画を見ているよう。
夢中になって見入っていると、不意に右手が遼平くんの左手に触れた。
そっと指が絡まり、優しく、固く握られた。
驚いて隣を見上げると、遼平くんが微笑む。
「綺麗だね」
今、クリスマスイブの夜に、私の隣に遼平くんがいる。
手を繋いで一緒にイルミネーションを見ている。
この現実が、どんな幻想的な世界よりも夢のよう。
どうか来年も、この先ずっと、遼平くんと一緒に過ごせますように。
そう願いながら、彼の手をギュッと握り返した。
やがてショーが終わり、二人並んで駐車場へと戻る。
繋いでいた手は車に乗り込むときに一度は解かれてしまった。
それでも、遼平くんが車を発進させると、どちらからともなく指を絡ませた。
遼平くんが、本当に私と同じ気持ちで居てくれているような気がしてー
更に胸がいっぱいになる。
凍えそうだった体は、繋いだ指先からじんわりと温まっていった。
結局次の目的地に着くまでの間、ずっと手は繋いだままだった。
「予定より少し遅くなっちゃったけど、食事にしよう」
遼平くんが次に案内してくれたのは、海沿いのレストラン。
例外なくクリスマス仕様で飾り付けられた外観のせいで最初は気づかなかったけれど、ここ、名前を知らない人のほうが少ないフレンチの有名店だ。
しかも、ちゃんと予約してあったらしく、通されたのは店の奥にある個室。
さっきのイルミネーションのリサーチといい、このお店の手配といい、あれ程の激務の中一体どうやって?
有り難さと申し訳なさとでいっぱいになっていると。食前酒に遼平くんが選んだスパークリングワインが運ばれてきた。
「メリー・クリスマス」
キャンドルに照らされたクリスマスムード満点の室内に、グラスの重なる音が響くと、遼平くんは一気に中を飲み干した。
その仕草に、胸がドキッと高鳴る。
ここから家までは代行を使って帰れない距離ではないけれど。
お父さんからの許可はとっくに出ているし。
これは、ひょっとして、今夜はお泊り…!?
そんなことを考えたせいか、スパークリングワインのせいか、顔が急に火照って困った。
映画をモチーフにして無数の電飾が作った別世界のような空間が、一瞬で私の心を奪う。
でも、ただでさえ圧巻のイルミネーションは、ただのイルミネーションには留まらなかった。
コートの袖を少しずらして、遼平くんが時計を確認して言った。
「良かった。丁度始まるみたいだ」
始まるって、何が?
そう口にしようとした途端、場内に音楽が流れ、映像が動き出した。
プロジェクションマッピングの音と光の演出で、本当に一本の映画を見ているよう。
夢中になって見入っていると、不意に右手が遼平くんの左手に触れた。
そっと指が絡まり、優しく、固く握られた。
驚いて隣を見上げると、遼平くんが微笑む。
「綺麗だね」
今、クリスマスイブの夜に、私の隣に遼平くんがいる。
手を繋いで一緒にイルミネーションを見ている。
この現実が、どんな幻想的な世界よりも夢のよう。
どうか来年も、この先ずっと、遼平くんと一緒に過ごせますように。
そう願いながら、彼の手をギュッと握り返した。
やがてショーが終わり、二人並んで駐車場へと戻る。
繋いでいた手は車に乗り込むときに一度は解かれてしまった。
それでも、遼平くんが車を発進させると、どちらからともなく指を絡ませた。
遼平くんが、本当に私と同じ気持ちで居てくれているような気がしてー
更に胸がいっぱいになる。
凍えそうだった体は、繋いだ指先からじんわりと温まっていった。
結局次の目的地に着くまでの間、ずっと手は繋いだままだった。
「予定より少し遅くなっちゃったけど、食事にしよう」
遼平くんが次に案内してくれたのは、海沿いのレストラン。
例外なくクリスマス仕様で飾り付けられた外観のせいで最初は気づかなかったけれど、ここ、名前を知らない人のほうが少ないフレンチの有名店だ。
しかも、ちゃんと予約してあったらしく、通されたのは店の奥にある個室。
さっきのイルミネーションのリサーチといい、このお店の手配といい、あれ程の激務の中一体どうやって?
有り難さと申し訳なさとでいっぱいになっていると。食前酒に遼平くんが選んだスパークリングワインが運ばれてきた。
「メリー・クリスマス」
キャンドルに照らされたクリスマスムード満点の室内に、グラスの重なる音が響くと、遼平くんは一気に中を飲み干した。
その仕草に、胸がドキッと高鳴る。
ここから家までは代行を使って帰れない距離ではないけれど。
お父さんからの許可はとっくに出ているし。
これは、ひょっとして、今夜はお泊り…!?
そんなことを考えたせいか、スパークリングワインのせいか、顔が急に火照って困った。
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