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「―――聞ける状態じゃなかったんだろ?」

「…うん」

私が言うと、ミーシャが言った

「話してくれますか?私、聞いておかなきゃと、そう思うんです」

「そうだな。正直、思い出したくもない事だが、自分がどういう状況だったのか、それは知っておくべきだと思う」

「そうね。忘れたい事ではあるけれど、忘れたままでは、いけない気がするわ」

「…話してしまうと、忘れていた事を思い出す事になるかもしれないよ?」

「そうなった時は、そうなった時だ。元々、ゴブリンに攫われてしまった時点で、終わっている様な物だったんだからな」

「分かった。それじゃ話すよ」

私は、ゴブリン討伐の依頼を受けて洞窟に言った事。そこには大きな巣が出来ていた事。攫われていたのは4人だけではなく、攫われた人達の中で、生き残っていたのが4人だった事。生きてはいたが、廃人になってしまっていた事。発見した時、ゴブリンの子を身ごもっていた事も話した

それから、遺体も全て回収し家族の元へ帰した事。4人の事は、勝手だけど死んだと伝えてある事を話した

暫くの沈黙の後

「うげぇ…地獄のようですね」

自分の事なのに、他人の事の様に言うミーシャ

「確かに、悲惨な状況だわ」

カレンもミーシャと同じように、他人事のように言った

「やっぱり、本来なら私達は廃人となっていたんだな―――ミナ、提案…と言うかお願いがあるんだが、いいかい?」

「ん?」

「いや、私達は死んだことになっているんだろう?あ、別に責めている訳では無いよ。ゴブリンに攫われていた、その事実だけで私達は普通には生きられていないだろう事は、確実だっただろうから。逆に、感謝しているよ。両親や兄弟たちには、悲しませる事になってしまったけれど、それで良かったと、そう思っている。お願いと言うのは、私もここで一緒に暮らしても良いだろうか、と言う事なんだが」

「え?そんな事?勿論。大歓迎だよ!でも、いいの?実は、みんなを保護したのは、私がティルファイア王国を出るつもりでいたからなんだ。別の国に行けば、ゴブリンに攫われた何て分からないし、少なくともティルファイアよりは、普通に生きて行けると思ったからなんだよ?」

「あぁ、だからだ。新しくもらった人生を、ミナとダゴ、メズルにアズダスと共に生きたいと、思ったんだ。いいか?」

「勿論だよ!これから宜しくね、ミレイ」

そんなやり取りをしていると、

「ず、ずるいです、ミレイさん!ミナさん、私もお世話になりますね!」

「そうねぇ、私もお願いしようかしら」

「そうだな。ミナ、それにドーワフの3人も、信用できそうだ。少しでも、信頼できる人達といる方が、うちも安心できる。出会った初めから、世話になりっぱなしだが、これからも頼む」

「こちらこそ!見ての通り、こんな森の中だけど、一緒に楽しく暮らしていこうね!」

「「「おーう!!」」」

「「「「はーい!!」」」」

ドワーフ3兄弟と、4人の声が重なる

私の異世界生活は、まだ始まりの地点に居る。一人じゃ出来ない事も、皆の力を借りれば乗り越えられる。そんな仲間が4人も増えた事に、心から嬉しく思った

仲間って、良いよなぁ――――ん?仲間…?
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