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地上に出ると、惨状は更に酷くなっていた

『これは…うむ…』

「あそこまで行ってくれる?」

『あぁ』

ディーにギルドまで行ってもらう。幸い、と言っていいのか、建物が崩壊しているので、巨体のディーも余裕で着地できるスペースがある

地面に着地したディーから降りて、ギドさんの元へ行こうとして、前を見ると、腰を抜かしている人や、震えながらも武器を構えている人達に囲まれていた。ギドさんもそのうちの1人だった

「―――え?」

なにこの状況は!と思ったけど、皆の目線はディーに注がれている

あぁ…ディーって結構な凶悪フェイスだもんね

「―――ミナか!?」

そこで、ようやく私の存在に気付いたギドさんが、声をかけてきた。その声は、危険だから早く離れろ。そう言っている様だった

「あははは…ゴホン。えー、ギドさん。教会の方は解決してきました」

「そ、そうか」

返事はしてくれるものの、目線は私とディーを行ききしている

「で、ですね。あー…そこに居たのが、このディーなんですよ。なので、皆さんも武器を下ろしてもらって大丈夫です。危険は無いので」

「…詳しく説明してもらえるか?」

「はい」

それから、教会で見て来た事を、全て話した

反応はそれぞれだった。一番多かったのは、「怒り」。当然だ

教会の人達が、何をしたかったのかは分からないけど、被害にあってしまった人達は、無関係だ。それなのに、亡くなってしまった人だっているのだ

「―――クソッ!!」

話しが終わると、ギドさんが叫んだ。悔しそうに、拳を握りしめて。周りの人達も同じように、している

「あいつ等…俺がもっと目を光らせておくべきだった。みんな、すまない」

そう言って、ギドさんが周りの人達に頭を下げる

「マスターのせいじゃねぇ!悪いのは教会のクソ共だ!」

「そうだぞ!あいつら、本当に碌な事しやがらねぇ…!教義は人類の為に、何て言ってはいるが、やってる事は正反対じゃねぇか!」

「―――マスター。これから、どうするんだ?」

「…この事は、王に報告する。勿論こんな大参事だったんだ。王の元にも報告は上がっているだろう。その上で、これから教会との付き合い方を、考える様に進言するさ。王も元々、教会の事は嫌煙していたしな」

「街のもんは、みんな賛成だって云っといてくれよな」

「そうだぜ。教会何てなくったって、なんにも困る事なんてありゃしねぇんだからよ!」

「あぁ。分かった」

「…早く、出してやらねとな」

少し目に涙を浮かべながら、崩壊した建物がある場所を見つめる、冒険者の男性

「…亡くなってしまった人は、多いんですか?」

こんなぶしつけな事を聞くなんて、と思ったけど確認しておきたかった

それに答えてくれたのは、冒険者たちだった

「いや。この国は、他の国と違って特殊でな。街の住民は、戦闘職でない者も、身体能力、戦闘経験。戦うために必要な訓練を、ガキの頃から教育として受けているんだ」

「あぁ。アークスベルト大陸が、近くにあるからな。それも必然だろうよ」

「だから、死んじまった奴は、数人だ。どっちかって言うと、けがをした奴の方が多い」

「だからって、悲しくないわけがない。出来る事なら、死者が出なかった方が、何倍も良かったさ…」

そう、力なく言った。それはそうだろう。死者が出る事を望む人なんて、この人達の中には居ないだろうから

「ご遺体は?」

「あそこだ」

そこには、地面に横たえられた人たちが、並べられていた。大人もいるし、子供もいる

「あの方たちで、全員なんですね?」

「あぁ。皆で、街中走り回って来たからな。索敵のスキル持ちが、ここには多いから。間違いなくこれで全員だ」

それを聞いて、ディーを見ると、頷いてくれた

実は、ギルドに着くまでの間、ディーと話していた。ディーが、不本意であったとしても、自分が原因で起こった惨状に、以外にも心を痛めていた事、そして償いとして、この惨状によって亡くなってしまった人達を、可能な限り生きかえらせる事を

私とディーは、遺体が並んでいる場所へ向かった
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