61 / 68
61
しおりを挟む
地上に出ると、惨状は更に酷くなっていた
『これは…うむ…』
「あそこまで行ってくれる?」
『あぁ』
ディーにギルドまで行ってもらう。幸い、と言っていいのか、建物が崩壊しているので、巨体のディーも余裕で着地できるスペースがある
地面に着地したディーから降りて、ギドさんの元へ行こうとして、前を見ると、腰を抜かしている人や、震えながらも武器を構えている人達に囲まれていた。ギドさんもそのうちの1人だった
「―――え?」
なにこの状況は!と思ったけど、皆の目線はディーに注がれている
あぁ…ディーって結構な凶悪フェイスだもんね
「―――ミナか!?」
そこで、ようやく私の存在に気付いたギドさんが、声をかけてきた。その声は、危険だから早く離れろ。そう言っている様だった
「あははは…ゴホン。えー、ギドさん。教会の方は解決してきました」
「そ、そうか」
返事はしてくれるものの、目線は私とディーを行ききしている
「で、ですね。あー…そこに居たのが、このディーなんですよ。なので、皆さんも武器を下ろしてもらって大丈夫です。危険は無いので」
「…詳しく説明してもらえるか?」
「はい」
それから、教会で見て来た事を、全て話した
反応はそれぞれだった。一番多かったのは、「怒り」。当然だ
教会の人達が、何をしたかったのかは分からないけど、被害にあってしまった人達は、無関係だ。それなのに、亡くなってしまった人だっているのだ
「―――クソッ!!」
話しが終わると、ギドさんが叫んだ。悔しそうに、拳を握りしめて。周りの人達も同じように、している
「あいつ等…俺がもっと目を光らせておくべきだった。みんな、すまない」
そう言って、ギドさんが周りの人達に頭を下げる
「マスターのせいじゃねぇ!悪いのは教会のクソ共だ!」
「そうだぞ!あいつら、本当に碌な事しやがらねぇ…!教義は人類の為に、何て言ってはいるが、やってる事は正反対じゃねぇか!」
「―――マスター。これから、どうするんだ?」
「…この事は、王に報告する。勿論こんな大参事だったんだ。王の元にも報告は上がっているだろう。その上で、これから教会との付き合い方を、考える様に進言するさ。王も元々、教会の事は嫌煙していたしな」
「街のもんは、みんな賛成だって云っといてくれよな」
「そうだぜ。教会何てなくったって、なんにも困る事なんてありゃしねぇんだからよ!」
「あぁ。分かった」
「…早く、出してやらねとな」
少し目に涙を浮かべながら、崩壊した建物がある場所を見つめる、冒険者の男性
「…亡くなってしまった人は、多いんですか?」
こんなぶしつけな事を聞くなんて、と思ったけど確認しておきたかった
それに答えてくれたのは、冒険者たちだった
「いや。この国は、他の国と違って特殊でな。街の住民は、戦闘職でない者も、身体能力、戦闘経験。戦うために必要な訓練を、ガキの頃から教育として受けているんだ」
「あぁ。アークスベルト大陸が、近くにあるからな。それも必然だろうよ」
「だから、死んじまった奴は、数人だ。どっちかって言うと、けがをした奴の方が多い」
「だからって、悲しくないわけがない。出来る事なら、死者が出なかった方が、何倍も良かったさ…」
そう、力なく言った。それはそうだろう。死者が出る事を望む人なんて、この人達の中には居ないだろうから
「ご遺体は?」
「あそこだ」
そこには、地面に横たえられた人たちが、並べられていた。大人もいるし、子供もいる
「あの方たちで、全員なんですね?」
「あぁ。皆で、街中走り回って来たからな。索敵のスキル持ちが、ここには多いから。間違いなくこれで全員だ」
それを聞いて、ディーを見ると、頷いてくれた
実は、ギルドに着くまでの間、ディーと話していた。ディーが、不本意であったとしても、自分が原因で起こった惨状に、以外にも心を痛めていた事、そして償いとして、この惨状によって亡くなってしまった人達を、可能な限り生きかえらせる事を
私とディーは、遺体が並んでいる場所へ向かった
『これは…うむ…』
「あそこまで行ってくれる?」
『あぁ』
ディーにギルドまで行ってもらう。幸い、と言っていいのか、建物が崩壊しているので、巨体のディーも余裕で着地できるスペースがある
地面に着地したディーから降りて、ギドさんの元へ行こうとして、前を見ると、腰を抜かしている人や、震えながらも武器を構えている人達に囲まれていた。ギドさんもそのうちの1人だった
「―――え?」
なにこの状況は!と思ったけど、皆の目線はディーに注がれている
あぁ…ディーって結構な凶悪フェイスだもんね
「―――ミナか!?」
そこで、ようやく私の存在に気付いたギドさんが、声をかけてきた。その声は、危険だから早く離れろ。そう言っている様だった
「あははは…ゴホン。えー、ギドさん。教会の方は解決してきました」
「そ、そうか」
返事はしてくれるものの、目線は私とディーを行ききしている
「で、ですね。あー…そこに居たのが、このディーなんですよ。なので、皆さんも武器を下ろしてもらって大丈夫です。危険は無いので」
「…詳しく説明してもらえるか?」
「はい」
それから、教会で見て来た事を、全て話した
反応はそれぞれだった。一番多かったのは、「怒り」。当然だ
教会の人達が、何をしたかったのかは分からないけど、被害にあってしまった人達は、無関係だ。それなのに、亡くなってしまった人だっているのだ
「―――クソッ!!」
話しが終わると、ギドさんが叫んだ。悔しそうに、拳を握りしめて。周りの人達も同じように、している
「あいつ等…俺がもっと目を光らせておくべきだった。みんな、すまない」
そう言って、ギドさんが周りの人達に頭を下げる
「マスターのせいじゃねぇ!悪いのは教会のクソ共だ!」
「そうだぞ!あいつら、本当に碌な事しやがらねぇ…!教義は人類の為に、何て言ってはいるが、やってる事は正反対じゃねぇか!」
「―――マスター。これから、どうするんだ?」
「…この事は、王に報告する。勿論こんな大参事だったんだ。王の元にも報告は上がっているだろう。その上で、これから教会との付き合い方を、考える様に進言するさ。王も元々、教会の事は嫌煙していたしな」
「街のもんは、みんな賛成だって云っといてくれよな」
「そうだぜ。教会何てなくったって、なんにも困る事なんてありゃしねぇんだからよ!」
「あぁ。分かった」
「…早く、出してやらねとな」
少し目に涙を浮かべながら、崩壊した建物がある場所を見つめる、冒険者の男性
「…亡くなってしまった人は、多いんですか?」
こんなぶしつけな事を聞くなんて、と思ったけど確認しておきたかった
それに答えてくれたのは、冒険者たちだった
「いや。この国は、他の国と違って特殊でな。街の住民は、戦闘職でない者も、身体能力、戦闘経験。戦うために必要な訓練を、ガキの頃から教育として受けているんだ」
「あぁ。アークスベルト大陸が、近くにあるからな。それも必然だろうよ」
「だから、死んじまった奴は、数人だ。どっちかって言うと、けがをした奴の方が多い」
「だからって、悲しくないわけがない。出来る事なら、死者が出なかった方が、何倍も良かったさ…」
そう、力なく言った。それはそうだろう。死者が出る事を望む人なんて、この人達の中には居ないだろうから
「ご遺体は?」
「あそこだ」
そこには、地面に横たえられた人たちが、並べられていた。大人もいるし、子供もいる
「あの方たちで、全員なんですね?」
「あぁ。皆で、街中走り回って来たからな。索敵のスキル持ちが、ここには多いから。間違いなくこれで全員だ」
それを聞いて、ディーを見ると、頷いてくれた
実は、ギルドに着くまでの間、ディーと話していた。ディーが、不本意であったとしても、自分が原因で起こった惨状に、以外にも心を痛めていた事、そして償いとして、この惨状によって亡くなってしまった人達を、可能な限り生きかえらせる事を
私とディーは、遺体が並んでいる場所へ向かった
32
お気に入りに追加
509
あなたにおすすめの小説
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる