上 下
56 / 68

56

しおりを挟む
少しはげた様な森の中を、暫く進む。森に入って進む事、一時間。未だに討伐対象のカガスには遭遇できないでいた

「おかしいね…もしかして、ここには居ないのかな?」

『ふぅむ…我が、おったとしても、あ奴は好戦的なタイプだ。襲って来ぬとは考えにくい』

おかしいな、と思いつつ進む事、40分

「ん?」

突然、地面が大きく揺れ始めた

「うわぁっ…!」

突然の事に、立っていられず、尻餅をついてしまう

「いたた…一体何が、」

そう言って、前を見た。目の前には興奮したように息が荒く、今にも襲い掛からんとする、カガスがいた

「うぇ!い、今ですか!?」

突然始まる戦闘に、おかしな事を口走った様に思うが、勘弁してもらいたい

カガスは、いきなり土魔法を放ってくる。カガスの足元から、私を目がけて、土の棘が襲い掛かってくる

「クロッ!」

『承知』

私の呼び声に、すぐさま反応したクロは、私を乗せて空へ舞いあがる。そんな私達を見たカガスは、大きな鳴き声を一つ上げると、右の前足で地面を叩く

すると、それに呼応するかのように私達の真下から、大きな一本の棘が、私達を目がけて突き上げてくる

『ふん!』

ニヤリと笑って、軽々と避けるクロ。すると面白くないのか、カガスは何度も何度も同じように、前足で地面を叩く

無数の大きな棘が、移動する度に私たち目がけてつき出て来る

「魔法の速度も速く、動きも巨体にしては早い。確かに面倒な相手ではある。だぁがしかし!土魔法が使えるのは君だけではないのだよ!カガス君!いや、ちゃんかな?ま、どっちでもいいか。くらえ!!」

カガスの見えている部分の皮膚は、とても固い。魔法や剣でも、ちょっとやそっとじゃ、傷をつける事も出来ない。そんなカガスにも弱点がある。そう、お腹だ

お腹の皮膚は柔らかく、カガスを討伐するには、まずお腹に攻撃できるようにしないといけない

地属性の植物魔法でを使い、木の根でカガスの右前足と、後ろ脚を固定する。そして、土魔法で左前足と、後ろ足を持ち上げる

素早いカガスも、これにはどうする事も出来ずに、仰向けになってしまった。仰向けになったカガスの、左の前足と後ろ足も、木の根で固定する

「しゃぁ!とどめだぁぁ!」

光魔法で、光の剣を作り無防備なカガスに向けて放った。抵抗出来ず、攻撃を受けたカガスは、あっけなく息を引き取った

「ふぅ」

『見事だ。しかし、カガス相手に、光の剣はオーバーキルのような気もするが』

「あははは…ついつい。ささ!依頼も達成した事だし、帰ろうか」

カガスは、素材になる部分が多いので、そのまま持って帰る事に。鞄にカガスを収納し、クロに乗ってギルドへと向かうのだった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

婚約破棄令嬢は、前線に立つ

あきづきみなと
ファンタジー
「婚約を破棄する!」 おきまりの宣言、おきまりの断罪。 小説家に○ろうにも掲載しています。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

処理中です...