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私は今まさに、聞いてはいけない事を、聞いてしまった気分だ
『王妃との間に、子が出来ないから、側室をって大臣どもがうるさくしてな。あいつは、王妃を以外は娶らないって決めてたから、養子をとる事で、場を治めたんだよ。それでも納得しない奴は、いたがな』
「そっか…ん?ステフ王子は誰の子供なんですか?」
『前王と、その側室との間の子だ』
「そっか…」
『あぁ。前王の側室、ティファ様は、とても穏やかな方でな。養子をと言った時も、快く応じて下さったようだ。召喚の儀の、不祥事を起こした罰をあたえた時も、納得して下さったようだ。まったく、出来たお人だよ』
感心したように言うグラハムさんに、違和感を覚える
「あの…こう言うと、捻くれてるって言われそうなんですが…、その、ティファ様、怪しくないですか?」
『ティファ様が?』
「はい。さっき、グラハムさん言っていましたよね?何かを決める時に、思考誘導がかけられているって。王子っていわば、国王の跡継ぎですよね?そこに自分の子供を据える。そう考えると、王妃様に子供が出来なくしているって仮説が、事実になる。つまり、ティファ様は、ステフ王子を利用して、国を動かそうと目論んだ。だけど、失敗したから、切り捨てた。自分が被害をこうむらない様に」
『なるほど。そう考えると、つじつまが合いますね』
『―――認めたくはないが、納得できる。しかし、あのティファ様が…』
「グラハムさん。優しすぎる人間ほど、腹じゃ何を考えているのか、分からない。そう言う物ですよ」
『…分かった。ティファ様の事については、また初めから調べなおしてみるよ。何か分かったら、連絡する』
「分かりました。少し、危険な人の様に思うので、十分に気負付けて下さいね?」
『あぁ。お前さんも、頑張れよ!じゃぁな!』
最後は良い笑顔で、通話を切っていったグラハムさん。何事も無いように、祈るだけだ
「クロ。協力してあげてね?」
『無論だ。主は心配などせず、ここでの暮らしに、集中していればよい』
「ふふ。お言葉に甘えて、そうさせてもらうよ」
「しっかし、ミナが冒険者をしている間の、防衛を考えないといけないなぁ。戦えない事は無いが、心配は残る」
立派な髭を、弄りながらダゴが言った
「そうだな。んー…、塀を建てるのはどうだ?」
「塀か…うん、良いかも!」
「しかし、塀を建てれば、土地の使用できる広さが、限られるぞ?」
「そっか…一度建てたら、後から変えるのは面倒だもんね」
後から建物が増える可能性もなくは無い。そう考えると、場所は広い方が良いもんね
「そうさな…」
どうしようか、と考えていると、ハクが言った
『では、考えがまとまるまで、私か兄上のどちらかが、残る事に致しましょう』
「あ、その手があったか!」
ハクとクロなら、戦力と防衛として申し分ない
『ずっとでは、我らも困るのでな。当面の間だ』
「え、困るの?」
暫くと言わずに、ずっとでいいかも、と考えていたら、クロから恨めしそうに言われた
『困るのだ!我等は、主の側に居る事に、意味があるのだからな』
「そ、そうか。分かったよ」
『王妃との間に、子が出来ないから、側室をって大臣どもがうるさくしてな。あいつは、王妃を以外は娶らないって決めてたから、養子をとる事で、場を治めたんだよ。それでも納得しない奴は、いたがな』
「そっか…ん?ステフ王子は誰の子供なんですか?」
『前王と、その側室との間の子だ』
「そっか…」
『あぁ。前王の側室、ティファ様は、とても穏やかな方でな。養子をと言った時も、快く応じて下さったようだ。召喚の儀の、不祥事を起こした罰をあたえた時も、納得して下さったようだ。まったく、出来たお人だよ』
感心したように言うグラハムさんに、違和感を覚える
「あの…こう言うと、捻くれてるって言われそうなんですが…、その、ティファ様、怪しくないですか?」
『ティファ様が?』
「はい。さっき、グラハムさん言っていましたよね?何かを決める時に、思考誘導がかけられているって。王子っていわば、国王の跡継ぎですよね?そこに自分の子供を据える。そう考えると、王妃様に子供が出来なくしているって仮説が、事実になる。つまり、ティファ様は、ステフ王子を利用して、国を動かそうと目論んだ。だけど、失敗したから、切り捨てた。自分が被害をこうむらない様に」
『なるほど。そう考えると、つじつまが合いますね』
『―――認めたくはないが、納得できる。しかし、あのティファ様が…』
「グラハムさん。優しすぎる人間ほど、腹じゃ何を考えているのか、分からない。そう言う物ですよ」
『…分かった。ティファ様の事については、また初めから調べなおしてみるよ。何か分かったら、連絡する』
「分かりました。少し、危険な人の様に思うので、十分に気負付けて下さいね?」
『あぁ。お前さんも、頑張れよ!じゃぁな!』
最後は良い笑顔で、通話を切っていったグラハムさん。何事も無いように、祈るだけだ
「クロ。協力してあげてね?」
『無論だ。主は心配などせず、ここでの暮らしに、集中していればよい』
「ふふ。お言葉に甘えて、そうさせてもらうよ」
「しっかし、ミナが冒険者をしている間の、防衛を考えないといけないなぁ。戦えない事は無いが、心配は残る」
立派な髭を、弄りながらダゴが言った
「そうだな。んー…、塀を建てるのはどうだ?」
「塀か…うん、良いかも!」
「しかし、塀を建てれば、土地の使用できる広さが、限られるぞ?」
「そっか…一度建てたら、後から変えるのは面倒だもんね」
後から建物が増える可能性もなくは無い。そう考えると、場所は広い方が良いもんね
「そうさな…」
どうしようか、と考えていると、ハクが言った
『では、考えがまとまるまで、私か兄上のどちらかが、残る事に致しましょう』
「あ、その手があったか!」
ハクとクロなら、戦力と防衛として申し分ない
『ずっとでは、我らも困るのでな。当面の間だ』
「え、困るの?」
暫くと言わずに、ずっとでいいかも、と考えていたら、クロから恨めしそうに言われた
『困るのだ!我等は、主の側に居る事に、意味があるのだからな』
「そ、そうか。分かったよ」
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