上 下
2 / 68

2

しおりを挟む
「あのガ…いや、あの青年きっと王子何だろうね…偉そうだったし」

牢に放り込まれてから、先程の事を考えていた

「一体何が起こったのよ…」

これからの事を考えると、不安しかない。一緒に召喚されたと言う子達に、期待も出来なさそうだった

牢へと連行されている時、チラッと見た子達は2人で、高校生なのだろう彼女達は、私の事など眼中にもない様子だった

これから起こる事への不安も無いようで、何処か興奮に、浮き足だっているように見えたのだ

まぁ、目の間にあんな美青年が居たら、そうなるのも仕方ないか。お年頃だしね

頬を染め、美青年な王子を見つめる彼女達は、まさに乙女そのもの

彼女達の事より、自分の事を考えないと。ここって、何か牢屋の割には埃臭いけど、ちゃんと誰か見張り?とかいるよね




―――しかし、願いもむなしく何時まで経っても、牢に人が来ることはなかった

ありえない。本当にあり得ない。私を殺す気!?

召喚されて、牢に放り込まれてから、もうどの位経ったのかも分からない。牢屋は地下にあって、日の光が入ってこないから、確認のしようが無い。その間、食事や飲み物を運んで来る人はいなかった。そもそも、この牢屋事態が、普段から使用されている物ではないのか、見張りの兵すらいないのかもしれない

体に力が入らず、頭も働かない。叫んだせいか声も掠れて出ない。このまま、こんな場所で死ぬのか。そう絶望したけど、それでも良いかと思った。どうせつまらない人生だったからと

ほんと、最悪な終わりだけどね

自分でさえ、現在地が何処なのか分からない。知人が私が居なくなった事に、気づいたとしても、きっと見つける事は出来ないだろう。田舎に住む両親は尚更だ

朦朧とする意識で、考える。今、置かれている状況を。自己中心的で、偉そうな青年王子の事を

あり得ない。まじで、あり得なさすぎる。こんな状況に、追い込まれるような事をしてきたのか?いいや、まったく身に覚えがない

そうして、頭に浮かぶのは、自分を棚にあげ、奇っ怪な女と言った青年王子の、あの憎たらしい顔だった

「…」

何故か声を聞くだけで疲れる初老の男性

あまりにも理不尽な彼らに、怒りしか湧いてこない。力がないから、いらないだと?その力ってなんなのよ!教えもせず、こんな場所に放り込むなんて、非人道的だ!

「だ、れか…!助けて、よ!」

沸々とわく怒りが頭を支配している。だけど、振り絞って出した声は、震えてしまっていた

悔しくて、悔しくてたまらない。だけど、私の心は、寂しさ、苦しさ。そして虚しさで泣いていた

もうダメだ、そう思った時。牢屋が光に包まれ、暖かな空気が流れ始める

そして光のなかに立っていたのは、神々しい雰囲気を纏った、この世のものとは思えない程の美貌を持った、美しい女性だった


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

婚約破棄令嬢は、前線に立つ

あきづきみなと
ファンタジー
「婚約を破棄する!」 おきまりの宣言、おきまりの断罪。 小説家に○ろうにも掲載しています。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

処理中です...