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「聞きたい、こととは…?いっいったい何のことなのですか!?」
「…キャロル・ツェザーリを知っているな?」
「…え?は、い…カーティス公爵夫人の、確か伯母上です。しかし、私と何の関係があるのか…」
ゴールディン男爵は本当に困惑している様子だった。隣の夫人の初めて見せた困惑した様子に、やはり今回の一件はカナリアの独断での実行であると言う事
「数週間ほど前、受刑中のキャロルがクリフ・コンラッドによって連れ去られ監禁されていた。その際に阻止しようと動いた受刑者を刺し逃亡した。そして、これは計画的に実行されている事も判明している。おおよそ2年程前からな。そしてこれ全て、カナリア・ゴールディンによるものだと言う事も分かっている」
「なっ!!な、何かの間違いではないのですか!?そんな、そんなはずはありません!」
顔を真っ赤にして抗議する男爵は『何かの間違いだ』と何度も繰り返す
「では聞こう。何を持って間違いだと言い切れる?確かな証拠を間違いだと言えるのは何故だ?」
「…カ、カナリアはとてもいい子で…」
「それが根拠なのか?…夫人はどう考える」
「…確かな証拠があるのならば、陛下のおっしゃる事に間違いはないかと」
「お、お前!!」
「…いい機会です。陛下、カナリアのしてしまった事と合わせて私たちの罪も一緒にお裁き下さい」
「…ほう、してそちが言う罪とは?」
「夫と私は、双方の合意の元婚姻致しました。領地の経営から夫婦の関係に至るまで全てです。夫と婚約が決まった時、私には恋仲の男性がおりましたが、彼は平民で貴族の私とは婚姻関係になる事は叶いません。それは私と彼も理解していました。そして夫は『お互い好きに生きよう』と、私と彼の関係を知ったうえで受け入れてくれました。その時お腹にいたカナリアも含めて。そして夫はカナリアを我が子の様に愛してくれました……ですが、ここ数年夫は領地を領民を顧みる事無く豪遊し、お互いの取り決めた事が仇となり気づくのが遅れ、領地の経営と領民の不満はもう限界なのです」
「…その件については報告を受けている。もちろんこの件については厳しく裁くつもりだ。だが、カナリアにはそち達と同様にとはいかない」
「いいえ、陛下。私たち夫婦は重い罪を犯しました。……夫は奴隷を買っていました。小さな男の子の奴隷を何人も。全ての子を逃がす事は出来ませんでしたが…」
「…な、!!」
男爵は、まさか妻がその事を知っているとは思いもしなかったのか真っ青な顔をしている
「奴隷、だと…?」
「ひっ…!」
「そなたの趣味趣向には欠片も興味はないが…私の国で奴隷、だと?」
「もっ申し訳…ありません!!」
「舐めた真似をしてくれる…!!余程、私が恐ろしくはないようだ!」
「陛下、遅くなり申し訳ありません」
まさに修羅場の空間に、穏やかな落ち着いた声が響いた
「…アラン。呼び出してすまなかったな」
「…いえ、これは私の甘さが招いたこと。母上にもきつく言われていた事ですが、私の考えが甘すぎたのです。これは私のやるべきこと」
「アラン様!来て下さったのね…!」
「…キャロル・ツェザーリを知っているな?」
「…え?は、い…カーティス公爵夫人の、確か伯母上です。しかし、私と何の関係があるのか…」
ゴールディン男爵は本当に困惑している様子だった。隣の夫人の初めて見せた困惑した様子に、やはり今回の一件はカナリアの独断での実行であると言う事
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「なっ!!な、何かの間違いではないのですか!?そんな、そんなはずはありません!」
顔を真っ赤にして抗議する男爵は『何かの間違いだ』と何度も繰り返す
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「…カ、カナリアはとてもいい子で…」
「それが根拠なのか?…夫人はどう考える」
「…確かな証拠があるのならば、陛下のおっしゃる事に間違いはないかと」
「お、お前!!」
「…いい機会です。陛下、カナリアのしてしまった事と合わせて私たちの罪も一緒にお裁き下さい」
「…ほう、してそちが言う罪とは?」
「夫と私は、双方の合意の元婚姻致しました。領地の経営から夫婦の関係に至るまで全てです。夫と婚約が決まった時、私には恋仲の男性がおりましたが、彼は平民で貴族の私とは婚姻関係になる事は叶いません。それは私と彼も理解していました。そして夫は『お互い好きに生きよう』と、私と彼の関係を知ったうえで受け入れてくれました。その時お腹にいたカナリアも含めて。そして夫はカナリアを我が子の様に愛してくれました……ですが、ここ数年夫は領地を領民を顧みる事無く豪遊し、お互いの取り決めた事が仇となり気づくのが遅れ、領地の経営と領民の不満はもう限界なのです」
「…その件については報告を受けている。もちろんこの件については厳しく裁くつもりだ。だが、カナリアにはそち達と同様にとはいかない」
「いいえ、陛下。私たち夫婦は重い罪を犯しました。……夫は奴隷を買っていました。小さな男の子の奴隷を何人も。全ての子を逃がす事は出来ませんでしたが…」
「…な、!!」
男爵は、まさか妻がその事を知っているとは思いもしなかったのか真っ青な顔をしている
「奴隷、だと…?」
「ひっ…!」
「そなたの趣味趣向には欠片も興味はないが…私の国で奴隷、だと?」
「もっ申し訳…ありません!!」
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「…アラン。呼び出してすまなかったな」
「…いえ、これは私の甘さが招いたこと。母上にもきつく言われていた事ですが、私の考えが甘すぎたのです。これは私のやるべきこと」
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