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第6章 魔戦参謀ソロモンの策謀
第38話 狙われたソロモン
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それからソロモンには藤真悠と狩井海斗が主に付き添うようになった。会議の場ではソロモンの近くには魔王とホルヌスがいるため必要ないが、進んだ世界の人間の考えは参考になるからと4人の参加も魔王により特別な許可が得る。
そしてそれは4人がソロモンに対する信用を高めるのに一躍買ったのである。
「おい貴様ら」
4人とソロモンが城の中を移動していると一人の魔族が声をかけた。その後ろには一人の人間を引き連れている。
「ヌクートか。なんのようだ」
見た目はまさに羅刹そのもの。赤黒い肌に大きな牙を生やし、金色のひとみを輝かせている。その巨体は3メートルもありたくましい筋肉を覗かせていた。
「様を付けろ、人間風情が。魔王様の側近に取り立てられていい気になっているようだな。同じ世界から来た人間の手まで借りて共生社会などという幻想を掲げるなど反吐が出るわ」
ヌクートはソロモンに詰め寄ると胸ぐらを掴み睨みつけた。
「それは何度も聞いた。そして俺の答えは変わらん。ここで人間に恨みを植え付ければ他の人間国家に足元を掬われることになると言ったよな?」
しかしソロモンは怯むこたなく返答する。いくらヌクートが脳筋野郎でも王城内の人目のあるところで危害を加えるわけがないからだ。それほど短慮な奴に長は務まらない。
「敵対するなら滅ぼせばいいだろう。弱い奴らなど力で押さえつければいい」
「そのお前の言う弱い奴らに長年勝てなかったんだろうが。それだけ神の加護ってのは強大なんだ。俺は綺麗事を語ってるんじゃない。現実を語ってるんだ。でなきゃ魔王様が納得するわけがない」
ヌクートの主張にソロモンは余裕を持って言い返す。ソロモンの理想派確かに綺麗事に見えるが、現実的な側面が確かに存在するのだ。だからこそ魔王の指示を得ていると彼は語る。
「ヌクートだったね。そろそろソロモンから手を離して貰えるかな? これでも護衛なんでね。僕の眼の前でそんな横暴を見過ごしてあげる義理はないんだ」
藤真悠はヌクートの手首を掴むと殺気を放ち警告する。その殺気にヌクートは思わず手を引っ込めた。
「ちっ、ここで喧嘩したら魔王様に怒られちまうからな。このくらいにしてやるよ。行くぞホロク」
「はい、ヌクート様」
ヌクートは踵を返し、連れていた人間に声をかける。そしてのっしのっしとソロモンから離れていった。その際ホロクはソロモンの方をちらりと見ると、ニヤリとほくそ笑んだ。
「相変わらず短気な奴だ」
「後ろに連れていた奴は何もんだ?」
「ああ、あいつはホロク。俺が調べたところによるとあいつは元侯爵家の嫡男でな、結構な野心家らしい。恐らくヌクートに取り入って自分の地位を固めようって腹だろうな」
「あいつ人間嫌いなんだろ? よく取り入れたな」
狩井海斗から見てヌクートは頭の悪そうな筋肉馬鹿である。感情に支配されており、そんなヌクートが人間を引き連れていることが不思議だったようだ。
「ああ、隷属魔法を使えるからだろ。もう魔族を奴隷にできないからな。その代わりを人間に向けるつもりだろう。元貴族はまだある程度の権力は持っているし政治的な交渉をさせたらヌクートじゃ簡単に転がされるだろうな」
政治的な能力において人間は魔族を遥かに凌駕する。それがソロモンの認識であった。
「つまり人間嫌いだけど取り入るにはハードルが低いってことね」
「要約すると馬鹿か」
「真に警戒すべきはホロクってことね」
4人はホロクを敵と認識し、この後予定されているソロモンの演説で何かしらのアクシデントがあるのではと警戒を強めた。
* * *
「皆さん、現実的な話をしましょう。我が国はエボンと名を改め、魔族の国となりました。しかし周辺諸国がそれを許すわけがない。旧ナトリウム王国内での魔族と人間との戦いは終わりましたが魔族の戦いは終わっていないのです。そういう意味では確かに今も魔族の敵は人間でしょう。しかしそれはこのエボンの国外の話です」
広場ではソロモンが壇上で演説を行っていた。ソロモンは人間と魔族の共生社会の必要性と今迫っている危機について語る。それは綺麗事ではなく現実的な話。事実周辺諸国ではそのような動きがあることも既に掴んでいた。
「周辺諸国は人間の解放を目指し我が国に攻め入る準備をしています。貴方がた人間としては望ましい話に聞こえるかもしれなません。しかし考えてみてください。この国が解放されたとして、誰が指導者になるのでしょうか? 一度攻め入られ復興状態であるならその地を治めるにもお金がかかるんです。そのお金誰が出すんですか?」
そして解放された場合、一見すればこの地の人間にとって良いように思えるだろう。しかし現実を見ればそれはあり得ないと語る。もちろん実際に攻められたのはこのスカトールの街だけだ。壊滅したブルーレットの街を除けば復興の必要な領地はない。
しかし、この街の人間はそんなことは知らないのである。人間と魔族の共生社会を作るには人間側にも必要性を感じて貰う必要があるし、旧ナトリウム王国内の平定も済んでいない状態だ。
「支配者が変われば今度は人間が奴隷となるだけです。復興にお金をかけるくらいなら搾取した方が楽ですしね。しかし我々はそれを望まない」
そしてソロモンは解放されても良い未来は来ないと断言し、それよりは手を取り合うことを勧めた。今ある安寧に納得させ、変化を望ませないことが重要であるからと他の4人には説明している。
そしてその演説の途中に一人の男が乱入して来た。
「ソロモン死ねやぁぁぁっっ! ファイアーボーーーールッ!」
その男はソロモンに向かいファイアーボールを放つ。と同時にその火の玉を追いかけるように突撃して来た。
「任せて! プロテクション」
大木美奈代がソロモンの前に立ちプロテクションでファイアーボールを受け止め消滅させる。続く男の突進も容易く弾くと男は尻もちをついた。
「確保してくれ!」
「任せな!」
ソロモンが確保を呼びかけると狩井海斗が素早く男を拘束する。
「ぐううううっっ! 殺す殺す殺す殺す殺するるるるるぅぅっっ!」
男は目を血走らせ狩井海斗を睨む。その形相はあまりに異様でまるで薬物中毒者のようであった。
「なんだこいつ、変な薬でもやってんのかおい?」
男はやがて大きく口を開ける。
「んぼわぁぁぁ~っ」
そして変な声をあげると肉体に変化が起こった。頭から角が生え、肉体が肥大化する。そして肌の色が紫色に変色し口が裂け牙を生やし始めたのだ。
「な、なんだこいつは!?」
「ちっ、鬼神化の術式を人間に埋め込みやがったな!」
変態した男は凄まじいパワーと狩井海斗を投げ飛ばす。そして再びソロモンに向かって襲いかかって来た。
「できれば生け捕りにしたかったけど無理そうだね……」
そこへ藤真悠が割って入る。
「神威八連斬……」
そしてその神速の斬撃で変態した男を容易く八つ裂きにした。
「こうも露骨に生命を狙うとは思わなかったよ。護衛を買って出たのは正解だったね」
藤真悠は男の死体を前に未だ警戒を緩めずソロモンの後ろに目を向けていた。
そしてそれは4人がソロモンに対する信用を高めるのに一躍買ったのである。
「おい貴様ら」
4人とソロモンが城の中を移動していると一人の魔族が声をかけた。その後ろには一人の人間を引き連れている。
「ヌクートか。なんのようだ」
見た目はまさに羅刹そのもの。赤黒い肌に大きな牙を生やし、金色のひとみを輝かせている。その巨体は3メートルもありたくましい筋肉を覗かせていた。
「様を付けろ、人間風情が。魔王様の側近に取り立てられていい気になっているようだな。同じ世界から来た人間の手まで借りて共生社会などという幻想を掲げるなど反吐が出るわ」
ヌクートはソロモンに詰め寄ると胸ぐらを掴み睨みつけた。
「それは何度も聞いた。そして俺の答えは変わらん。ここで人間に恨みを植え付ければ他の人間国家に足元を掬われることになると言ったよな?」
しかしソロモンは怯むこたなく返答する。いくらヌクートが脳筋野郎でも王城内の人目のあるところで危害を加えるわけがないからだ。それほど短慮な奴に長は務まらない。
「敵対するなら滅ぼせばいいだろう。弱い奴らなど力で押さえつければいい」
「そのお前の言う弱い奴らに長年勝てなかったんだろうが。それだけ神の加護ってのは強大なんだ。俺は綺麗事を語ってるんじゃない。現実を語ってるんだ。でなきゃ魔王様が納得するわけがない」
ヌクートの主張にソロモンは余裕を持って言い返す。ソロモンの理想派確かに綺麗事に見えるが、現実的な側面が確かに存在するのだ。だからこそ魔王の指示を得ていると彼は語る。
「ヌクートだったね。そろそろソロモンから手を離して貰えるかな? これでも護衛なんでね。僕の眼の前でそんな横暴を見過ごしてあげる義理はないんだ」
藤真悠はヌクートの手首を掴むと殺気を放ち警告する。その殺気にヌクートは思わず手を引っ込めた。
「ちっ、ここで喧嘩したら魔王様に怒られちまうからな。このくらいにしてやるよ。行くぞホロク」
「はい、ヌクート様」
ヌクートは踵を返し、連れていた人間に声をかける。そしてのっしのっしとソロモンから離れていった。その際ホロクはソロモンの方をちらりと見ると、ニヤリとほくそ笑んだ。
「相変わらず短気な奴だ」
「後ろに連れていた奴は何もんだ?」
「ああ、あいつはホロク。俺が調べたところによるとあいつは元侯爵家の嫡男でな、結構な野心家らしい。恐らくヌクートに取り入って自分の地位を固めようって腹だろうな」
「あいつ人間嫌いなんだろ? よく取り入れたな」
狩井海斗から見てヌクートは頭の悪そうな筋肉馬鹿である。感情に支配されており、そんなヌクートが人間を引き連れていることが不思議だったようだ。
「ああ、隷属魔法を使えるからだろ。もう魔族を奴隷にできないからな。その代わりを人間に向けるつもりだろう。元貴族はまだある程度の権力は持っているし政治的な交渉をさせたらヌクートじゃ簡単に転がされるだろうな」
政治的な能力において人間は魔族を遥かに凌駕する。それがソロモンの認識であった。
「つまり人間嫌いだけど取り入るにはハードルが低いってことね」
「要約すると馬鹿か」
「真に警戒すべきはホロクってことね」
4人はホロクを敵と認識し、この後予定されているソロモンの演説で何かしらのアクシデントがあるのではと警戒を強めた。
* * *
「皆さん、現実的な話をしましょう。我が国はエボンと名を改め、魔族の国となりました。しかし周辺諸国がそれを許すわけがない。旧ナトリウム王国内での魔族と人間との戦いは終わりましたが魔族の戦いは終わっていないのです。そういう意味では確かに今も魔族の敵は人間でしょう。しかしそれはこのエボンの国外の話です」
広場ではソロモンが壇上で演説を行っていた。ソロモンは人間と魔族の共生社会の必要性と今迫っている危機について語る。それは綺麗事ではなく現実的な話。事実周辺諸国ではそのような動きがあることも既に掴んでいた。
「周辺諸国は人間の解放を目指し我が国に攻め入る準備をしています。貴方がた人間としては望ましい話に聞こえるかもしれなません。しかし考えてみてください。この国が解放されたとして、誰が指導者になるのでしょうか? 一度攻め入られ復興状態であるならその地を治めるにもお金がかかるんです。そのお金誰が出すんですか?」
そして解放された場合、一見すればこの地の人間にとって良いように思えるだろう。しかし現実を見ればそれはあり得ないと語る。もちろん実際に攻められたのはこのスカトールの街だけだ。壊滅したブルーレットの街を除けば復興の必要な領地はない。
しかし、この街の人間はそんなことは知らないのである。人間と魔族の共生社会を作るには人間側にも必要性を感じて貰う必要があるし、旧ナトリウム王国内の平定も済んでいない状態だ。
「支配者が変われば今度は人間が奴隷となるだけです。復興にお金をかけるくらいなら搾取した方が楽ですしね。しかし我々はそれを望まない」
そしてソロモンは解放されても良い未来は来ないと断言し、それよりは手を取り合うことを勧めた。今ある安寧に納得させ、変化を望ませないことが重要であるからと他の4人には説明している。
そしてその演説の途中に一人の男が乱入して来た。
「ソロモン死ねやぁぁぁっっ! ファイアーボーーーールッ!」
その男はソロモンに向かいファイアーボールを放つ。と同時にその火の玉を追いかけるように突撃して来た。
「任せて! プロテクション」
大木美奈代がソロモンの前に立ちプロテクションでファイアーボールを受け止め消滅させる。続く男の突進も容易く弾くと男は尻もちをついた。
「確保してくれ!」
「任せな!」
ソロモンが確保を呼びかけると狩井海斗が素早く男を拘束する。
「ぐううううっっ! 殺す殺す殺す殺す殺するるるるるぅぅっっ!」
男は目を血走らせ狩井海斗を睨む。その形相はあまりに異様でまるで薬物中毒者のようであった。
「なんだこいつ、変な薬でもやってんのかおい?」
男はやがて大きく口を開ける。
「んぼわぁぁぁ~っ」
そして変な声をあげると肉体に変化が起こった。頭から角が生え、肉体が肥大化する。そして肌の色が紫色に変色し口が裂け牙を生やし始めたのだ。
「な、なんだこいつは!?」
「ちっ、鬼神化の術式を人間に埋め込みやがったな!」
変態した男は凄まじいパワーと狩井海斗を投げ飛ばす。そして再びソロモンに向かって襲いかかって来た。
「できれば生け捕りにしたかったけど無理そうだね……」
そこへ藤真悠が割って入る。
「神威八連斬……」
そしてその神速の斬撃で変態した男を容易く八つ裂きにした。
「こうも露骨に生命を狙うとは思わなかったよ。護衛を買って出たのは正解だったね」
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