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第56話 帰還! そして……!
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次の日の昼過ぎにはランディゴを発ち、元来たルートではなくアシュトの街とオルベスタの街を経由してアプールの街に戻ってきた。帰りのランディゴからアプールの街へは行きより道程が短いらしく、それぞれの街に1泊しても5日ほどだったとか。
「いやはや、約2週間の予定がわずか6日で終わるとは。各支部ではものすごく驚かれましたが、おかげで助かりました。報酬は上乗せ分も合わせて金貨50枚でどうでしょう」
提示された額は予想を遥かに上回る額だった。内容については知らされていないけど、よっぽど儲かったのかな?
「上乗せ金貨20枚もですか! ありがとうございます!」
「ええ。採算はしっかり取れていますのでご心配なく。それとこれは感謝状と依頼の評価票です。こちらもお受け取りください」
「ありがとうございます!」
サルヴァンが代表として受け取り頭を下げる。後はこれをギルドに提出すれば!
逸る心を抑えきれず防壁で空を飛びギルドへと向かった。
そして扉を開けるとアリシアさんがめっちゃ驚いた顔をして僕たちを見る。
「え? もう帰ってきたんですか!? もしかして何かありましたか!?」
いかん、アリシアさんが青ざめている。事情を知らないから仕方がないか……。
周りにいる冒険者もこちらを注目している。変な噂が流れないことを祈ろう。
「落ち着きなさい。依頼なら完璧に終わらせて来たわ。悪いんだけど、ギルドマスターと話をさせてもらえないかしら?」
「わ、わかりました!」
アリシアさんは手が空いていたのですぐに奥へと案内してくれた。そして応接室へと通される。
しばらく待つとギルドマスターが姿を現した。相変わらず少年の情操教育に悪い格好なことで。
「お前らか。今度は何をやらかしたんだ?」
いや、問題児みたいに言わないでってば。
「そんなに呆れないで。むしろ褒めてあげるべきよ」
そうだそうだ!
と僕は心の中でアレーテさんを応援する。アリシアさんも見ているんだし褒められたい。
「えーっと、これサンマルクの領主様の感謝状とベルナール商会会頭の感謝状と評価票、それと盗賊捕縛証明書です」
「は?」
サルヴァンが今回の成果を提出すると、ギルドマスターが信じられない、といった顔で固まる。さすがにこれは予想してなかったよね?
「……」
ギルドマスターはソファに座ると、黙って感謝状や評価票、盗賊捕縛証明書に目を通す。
そして一通り目を通すと真顔で僕たちに顔を向けた。
「すまなかった。まさかここまでの成果を挙げるとは夢にも思わなかったな。依頼達成評価は文句無しの最高評価だ。それに疫病の解決、盗賊団の壊滅、Sランクの悪魔の討伐か。で、日程の大幅短縮とはどういうことだ?」
ギルドマスターは不愛想な態度を詫びると僕らに説明を求めた。
「実は……」
ギルドマスターには報告しないといけないので僕が説明すると、ギルドマスターは頭を抱える。うんまぁ、空を飛ぶ魔法自体はあるけど、複数人を空から運ぶ魔法なんてないからね。
「なんだその非常識な魔法の使い方は……。そんなこと前例がないぞ! もしかしたら今度検証させてもらうかもしれん。有事の際には有効だからな」
まぁ、用途は多いよね。特に軍事利用とか。これを使えば敵軍の上に大きな岩を落とすことも可能だ。空の上から近づいて氷塊流星群で攻撃してもいいし。
「ギルドマスター。クラン勇士の紋章としては2つの感謝状の報奨として龍炎光牙のCランク昇格の推薦状を提出するつもりよ。ライミスの決裁はないけど、反対なんてしないと思うわ」
「……そうだな。わかった。少し早い気もするが龍炎光牙のCランク昇格を認める。推薦状は後日でかまわん」
ギルドマスターの言葉に僕らは目を見合わせる。龍炎光牙は結成2年目だ。僕が恩恵『拡大解釈』を手に入れてその力に気づいたとき、いつかこんな日が来るかもしれないと夢見たこともあった。それが今現実に……!
「Cランク……!」
「昇格……!」
「「「「やったーーー!」」」」
そして僕達は感極まって飛び上がって喜んだ。みっともないかもだけど、嬉しいものは仕方がないよね?
「喜びすぎだろ」
「まぁ、いいじゃないの」
「そうですねぇ。あははははっ」
3人の見る目は温かかった。
「いやはや、約2週間の予定がわずか6日で終わるとは。各支部ではものすごく驚かれましたが、おかげで助かりました。報酬は上乗せ分も合わせて金貨50枚でどうでしょう」
提示された額は予想を遥かに上回る額だった。内容については知らされていないけど、よっぽど儲かったのかな?
「上乗せ金貨20枚もですか! ありがとうございます!」
「ええ。採算はしっかり取れていますのでご心配なく。それとこれは感謝状と依頼の評価票です。こちらもお受け取りください」
「ありがとうございます!」
サルヴァンが代表として受け取り頭を下げる。後はこれをギルドに提出すれば!
逸る心を抑えきれず防壁で空を飛びギルドへと向かった。
そして扉を開けるとアリシアさんがめっちゃ驚いた顔をして僕たちを見る。
「え? もう帰ってきたんですか!? もしかして何かありましたか!?」
いかん、アリシアさんが青ざめている。事情を知らないから仕方がないか……。
周りにいる冒険者もこちらを注目している。変な噂が流れないことを祈ろう。
「落ち着きなさい。依頼なら完璧に終わらせて来たわ。悪いんだけど、ギルドマスターと話をさせてもらえないかしら?」
「わ、わかりました!」
アリシアさんは手が空いていたのですぐに奥へと案内してくれた。そして応接室へと通される。
しばらく待つとギルドマスターが姿を現した。相変わらず少年の情操教育に悪い格好なことで。
「お前らか。今度は何をやらかしたんだ?」
いや、問題児みたいに言わないでってば。
「そんなに呆れないで。むしろ褒めてあげるべきよ」
そうだそうだ!
と僕は心の中でアレーテさんを応援する。アリシアさんも見ているんだし褒められたい。
「えーっと、これサンマルクの領主様の感謝状とベルナール商会会頭の感謝状と評価票、それと盗賊捕縛証明書です」
「は?」
サルヴァンが今回の成果を提出すると、ギルドマスターが信じられない、といった顔で固まる。さすがにこれは予想してなかったよね?
「……」
ギルドマスターはソファに座ると、黙って感謝状や評価票、盗賊捕縛証明書に目を通す。
そして一通り目を通すと真顔で僕たちに顔を向けた。
「すまなかった。まさかここまでの成果を挙げるとは夢にも思わなかったな。依頼達成評価は文句無しの最高評価だ。それに疫病の解決、盗賊団の壊滅、Sランクの悪魔の討伐か。で、日程の大幅短縮とはどういうことだ?」
ギルドマスターは不愛想な態度を詫びると僕らに説明を求めた。
「実は……」
ギルドマスターには報告しないといけないので僕が説明すると、ギルドマスターは頭を抱える。うんまぁ、空を飛ぶ魔法自体はあるけど、複数人を空から運ぶ魔法なんてないからね。
「なんだその非常識な魔法の使い方は……。そんなこと前例がないぞ! もしかしたら今度検証させてもらうかもしれん。有事の際には有効だからな」
まぁ、用途は多いよね。特に軍事利用とか。これを使えば敵軍の上に大きな岩を落とすことも可能だ。空の上から近づいて氷塊流星群で攻撃してもいいし。
「ギルドマスター。クラン勇士の紋章としては2つの感謝状の報奨として龍炎光牙のCランク昇格の推薦状を提出するつもりよ。ライミスの決裁はないけど、反対なんてしないと思うわ」
「……そうだな。わかった。少し早い気もするが龍炎光牙のCランク昇格を認める。推薦状は後日でかまわん」
ギルドマスターの言葉に僕らは目を見合わせる。龍炎光牙は結成2年目だ。僕が恩恵『拡大解釈』を手に入れてその力に気づいたとき、いつかこんな日が来るかもしれないと夢見たこともあった。それが今現実に……!
「Cランク……!」
「昇格……!」
「「「「やったーーー!」」」」
そして僕達は感極まって飛び上がって喜んだ。みっともないかもだけど、嬉しいものは仕方がないよね?
「喜びすぎだろ」
「まぁ、いいじゃないの」
「そうですねぇ。あははははっ」
3人の見る目は温かかった。
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