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第50話 サンマルクの街の異変

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 盗賊団を壊滅的させた僕達は洞窟の奥でお宝の山を発見した。実際に山になっているわけじゃないけど、金貨の入った袋や美術品が置いてある。他の所にも数々の武器や物資があり、そちらもごっそりいただいた。

  僕がとりわけ目を引いたのは1本の剣だ。鑑定したら呪われていたけどドラゴニウムという珍しい鉱石でできていた。呪いは生命力を奪うものでかなり強い呪いのようだ。リオネッセさんと協力すれば呪いが解けるかもしれない。





 様々な戦利品を手に入れ、僕達は意気揚揚とマルタンさんの待つ場所へと戻った。

 マルタンさんはアレーテさん達とお茶を飲んでいたようだ。僕たちを見つけると手を振ったので僕らも振りながら小走りに戻る。

「お早いお帰りですな。まだ昼前ですぞ?」
「楽勝でしたからね。全員石にして捕獲してあります」
「大した相手はいなかった。懸賞金は期待できんが全部で50人以上になったからな。報奨金に期待しよう」
「なんと……!     いやはや、どうやら評価を改めないといかんようですな。はっはっはっ」

 僕らの報告にマルタンさんが愉快そうに笑う。

「お疲れでしょう。お昼を食べてから出発にしましょう」
「「さんせーい!」」

 確かに戦闘を終えたばかりだし少し休みたいかも。僕らは早速お昼ご飯の準備に取り掛かった。




 お昼ご飯を終え、少し休憩してからみんなでゴーレムハウスに乗り込む。せっかくだしこっちの方が休めるもんね。僕とリーネは魔法の制御があるから入口に陣取っている。そして街までのナビはマルタンさんがやるそうだ。せっかくだから空の風景を堪能したいそうで。うん、わかるわ。でも落ちるといけないので入口は防壁プロテクションで封鎖してある。壁は透明なのでちゃんと見える素敵仕様です。

「じゃいくよー!    闇の手ダークハンド!」
強化ブースト!    強化ブースト!」

 リーネの闇の手に2回強化を重ねがけし、パワーと持続時間を強化する。手は20本。効果時間が切れる前に再度20本生み出さないといけない。これを繰り返して運ぶのだ。失敗したら下に真っ逆さまである。これはナイショね。

 闇の手が家を高く持ち上げる。デモンストレーションの時よりパワーがあるため軽々と持ち上がった。その高さは森林の木を余裕で越える。
 そしてマルタンさんの指示で空の旅が始まった。

「うーむ、実にいい景色ですな!   とても壮観ですぞ!」
「あははは!     楽しくなってきちゃった!」

 空から見える景色はとても綺麗だった。生い茂る森林の中に湖があり、キラキラと光を反射して輝いている。

 ゴーレムハウスは僕らの走るスピードを軽く凌駕する速さで空を飛ぶ。真っ直ぐ向かっているだけに普通に道を行くよりも遥かに短い距離で済んだようだ。
 マルタンさんが懐中時計を取り出し時間を確認する。

「なんと!    2時間足らずでもう街が見えて来るとは!」
「じゃあ近くで降ろすね!    なるべく人目につかないようにするから」
「うん、お願い」

 ゴーレムハウスをサンマルクの街から1キロほど離れた位置にゆっくりと降ろす。置いたとき少しだけ衝撃があったけど馬は暴れなかったね。良かった良かった。

「うーん、ちょっと疲れちゃった」
「お2人はどうぞ馬車の中でお休みください。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」

 僕らはマルタンさんの好意に甘え、馬車に乗せてもらった。そして馬車が走り出す。
 ええ、こんなに揺れるとは思わなかったよ。だから馬車の中に防壁プロテクション張って宙に浮いた壁に座ってました。
 はー楽ちん楽ちん。

 そしてしばらくして街に到着すると、何やら問題が発生したらしい。

「入れないとはどういうことですか!」
「ですから、ただいまこの街は領主様の命令で封鎖されております!」
「なぜだ!」

 どうやら街に入ろうとしたら衛兵に止められたらしい。封鎖って穏やかじゃないな……。

「……なのです」
「聞こえん!」

 衛兵の歯切れの悪さにマルタンさんは相当イラついているようだ。そりゃそうか。ここにも商売で寄ったんだからねぇ……。

「疫病が流行っているのです!    死人も出ていますし、薬が足りないのです!」
「なんという病気だ!?」
「なんでも魔黒病だそうです」

 魔黒病……?
 確か身体が徐々に腐っていく治療方法の確立していない病だ。原因不明で薬も対処療法に過ぎず、完治した事例はない。さらに腐った肉体は切り捨てるか、かなり高位の回復魔法で元に戻すかしないと無理なやつだね。感染する恐ろしい病気だけど、原因不明だとか。

「話は聞かせていただきました。私はリオネッセと申します。私は聖女を名乗ることが許されております。きっとお力になれることでしょう」
「なんと!    まさか聖女様が現れるとは!    少しお待ちください!」

 と、そこへリオネッセさんが話に割って入った。あれは勲章かな?
    それ取り出し、自分は聖女であると伝えると衛兵の顔が明るくなる。威厳を見せたいのか少し口調も固くなっていた。
 そして衛兵は急いで中へ入っていったようだ。聖女のネームバリュー凄いなぁ。

「リオネッセさん、どうするんです?」
「ルウ君。貴方の力を貸してもらいますねぇ。大丈夫ですよ。貴方と私が組めば万病に対応できるはずですからぁ~。ふふふ……」

 リオネッセさんはふふふ、と余裕の笑みを浮かべると、僕の頭をなでなでするのだった。
 照れる。
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