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第40話 家を回復《ヒール》はさすがに無理?
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「よし、今度は家を直してみるよ。全員外に出てもらっていい?」
「わかった。よし、全員外に出るぞ!」
「はーい!」
ヘタイロスの号令で皆が一斉に外に出る。もちろんサルヴァンもアレサもリーネも外へ。
「よし、じゃあやってみるよ!」
頼んだよ拡大解釈!
持てよ、僕の魔力!
「この家を回復! 強化! 強化おおおっ!」
過剰に魔力を注ぎ、フルブースト!
すると家は光に包また。しかし……。
家は確かに綺麗にはなった。腐りかけてた部分は直り、板が綺麗になっている。しかし無くなった板は元に戻らないし、穴の空いた箇所はそのままだ。
しかしそれも当たり前かもしれない。オークの肉質を戻すことはできても、失った部分は戻っていなかったのだから。それと同じだ。人の怪我は自然に治るけど、壊れた板はいつまで経っても壊れた板のままに過ぎない、ということだ。
「すげぇー! 家が前より綺麗になってる!」
「ほんとだー!」
それでも子供たちは大喜びだ。少なくとも前ほどみすぼらしくは無いもんね。正直、がっかりさせるんじゃないかと心配したけど、喜んで貰えて良かった。
「ルウ、ありがとな。後は自分たちで修繕してみるよ」
「うん、わかった」
僕は返事をすると、サルヴァンに近づき、内緒話を始める。あまりお金の話を大っぴらにしたくないんだよね。今は懐もあったかいけど、金持ちアピールなんてしたくないから。それをやるとヘタイロス達との間に壁が生まれてしまうんじゃないだろうか。僕はそれが怖いのだ。
「ねぇ、サルヴァン。修繕費用を少し出せないかな?」
「じゃあ金貨2枚と銀貨300枚くらい出してくれ。俺が渡すよ」
「うん、頼むね」
「気持ちは俺も同じだからな」
僕は言われた額を皮袋に入れ、サルヴァンに渡した。一応僕らパーティのお金は僕が預かっているけど、小遣い以外は全てサルヴァンの許可無しには使わないのがルールなのだ。
これはサルヴァンを絶対のリーダーとしているからで、僕らの結束を高めるためでもある。年長者がリーダーなのはストリートチルドレン共通のルールなんだよね。
「ヘタイロス。これを使ってくれ。それなりに入っているから大事にな。それとルウ、オーク1匹出してやれ。解体用のナイフはあるから自分たちでできるだろ。失敗しても食えないわけじゃないしな」
「うん、わかった」
僕はサルヴァンに言われた通りオークを1匹脇に置いてあったリアカーに載せた。
「ありがとうサルヴァン。こんなにしてもらって助かるよ」
「気にすんな。お前が頑張ってくれているのは知ってるからな。もう本も読めるようになったんだってな?」
「ああ、拙いながらもチビたちに教えてやれるようになってきたよ」
サルヴァンからお金を受け取るとヘタイロスは深々と頭を下げる。お金は大事だ。これだけあれば2ヶ月おなかいっぱい食べても残るほどの金額になる。これで僕たちがいない間でもなんとかなるだろう。
それにヘタイロスが文字をある程度理解できるようになったおかげで他の子達にも教えてあげられるようになったようだ。後は計算を覚えれば商人に雇われることだってできるし、冒険者以外の道も見えてくるかもしれない。それこそ読み書きを教えるだけでもお金になるだろうし。
つまりは教育を受けられないというストリートチルドレンのハンデを乗り越えることもできるわけだ。なんと言っても平民でも読み書きを出来ない人達は一定数存在するわけたからね。
「それは良かった。じゃあ俺たちはもう行くな。後は頼んだぞ」
「ああ、任せてくれ!」
僕たちは手を振り、皆に別れを告げる。皆が手を振り返し、声をかけあって再会を約束した。そして僕たちはクランハウスへと戻るのだった。
「わかった。よし、全員外に出るぞ!」
「はーい!」
ヘタイロスの号令で皆が一斉に外に出る。もちろんサルヴァンもアレサもリーネも外へ。
「よし、じゃあやってみるよ!」
頼んだよ拡大解釈!
持てよ、僕の魔力!
「この家を回復! 強化! 強化おおおっ!」
過剰に魔力を注ぎ、フルブースト!
すると家は光に包また。しかし……。
家は確かに綺麗にはなった。腐りかけてた部分は直り、板が綺麗になっている。しかし無くなった板は元に戻らないし、穴の空いた箇所はそのままだ。
しかしそれも当たり前かもしれない。オークの肉質を戻すことはできても、失った部分は戻っていなかったのだから。それと同じだ。人の怪我は自然に治るけど、壊れた板はいつまで経っても壊れた板のままに過ぎない、ということだ。
「すげぇー! 家が前より綺麗になってる!」
「ほんとだー!」
それでも子供たちは大喜びだ。少なくとも前ほどみすぼらしくは無いもんね。正直、がっかりさせるんじゃないかと心配したけど、喜んで貰えて良かった。
「ルウ、ありがとな。後は自分たちで修繕してみるよ」
「うん、わかった」
僕は返事をすると、サルヴァンに近づき、内緒話を始める。あまりお金の話を大っぴらにしたくないんだよね。今は懐もあったかいけど、金持ちアピールなんてしたくないから。それをやるとヘタイロス達との間に壁が生まれてしまうんじゃないだろうか。僕はそれが怖いのだ。
「ねぇ、サルヴァン。修繕費用を少し出せないかな?」
「じゃあ金貨2枚と銀貨300枚くらい出してくれ。俺が渡すよ」
「うん、頼むね」
「気持ちは俺も同じだからな」
僕は言われた額を皮袋に入れ、サルヴァンに渡した。一応僕らパーティのお金は僕が預かっているけど、小遣い以外は全てサルヴァンの許可無しには使わないのがルールなのだ。
これはサルヴァンを絶対のリーダーとしているからで、僕らの結束を高めるためでもある。年長者がリーダーなのはストリートチルドレン共通のルールなんだよね。
「ヘタイロス。これを使ってくれ。それなりに入っているから大事にな。それとルウ、オーク1匹出してやれ。解体用のナイフはあるから自分たちでできるだろ。失敗しても食えないわけじゃないしな」
「うん、わかった」
僕はサルヴァンに言われた通りオークを1匹脇に置いてあったリアカーに載せた。
「ありがとうサルヴァン。こんなにしてもらって助かるよ」
「気にすんな。お前が頑張ってくれているのは知ってるからな。もう本も読めるようになったんだってな?」
「ああ、拙いながらもチビたちに教えてやれるようになってきたよ」
サルヴァンからお金を受け取るとヘタイロスは深々と頭を下げる。お金は大事だ。これだけあれば2ヶ月おなかいっぱい食べても残るほどの金額になる。これで僕たちがいない間でもなんとかなるだろう。
それにヘタイロスが文字をある程度理解できるようになったおかげで他の子達にも教えてあげられるようになったようだ。後は計算を覚えれば商人に雇われることだってできるし、冒険者以外の道も見えてくるかもしれない。それこそ読み書きを教えるだけでもお金になるだろうし。
つまりは教育を受けられないというストリートチルドレンのハンデを乗り越えることもできるわけだ。なんと言っても平民でも読み書きを出来ない人達は一定数存在するわけたからね。
「それは良かった。じゃあ俺たちはもう行くな。後は頼んだぞ」
「ああ、任せてくれ!」
僕たちは手を振り、皆に別れを告げる。皆が手を振り返し、声をかけあって再会を約束した。そして僕たちはクランハウスへと戻るのだった。
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