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第38話 神水?

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 次の日、僕たちはヘタイロス達のいる下流の廃屋にやって来た。討伐でしばらく来られなかったけどみんな変わりは無いだろうか。

「おーい、来たぞー」
「あ、サルヴァン。いいところに!」

 サルヴァンを先頭に廃屋の仲を覗くとヘタイロスが血相を変えて飛んできた。

「ど、どうしたヘタイロス!」
「まいったよ、レオのやつが嘔吐が止まんねぇんだ。助けてくれよ」
「レオが?    すぐ診るよ!」

 僕らはヘタイロスに案内され、レオのところへ行く。レオは粗末な毛布に包まりながら横になっている。顔色が悪い。レオはまだ10歳だし衛生状況も良くないから何とかしないと。

「ルウ、頼む。医者に連れていこうにもこんな状態で歩かせる訳にはいかなくてさ」

 ヘタイロスには何かあったときのために、と金貨も数枚渡してあった。それだけあれば何かあった時に医者にだっていける。そう思っていたけど考えが浅かったか。

 僕は横たわるレオの頭に触れる。熱い。熱が出ているようだ。
 医者でもないので当然見て分かるわけない。しかし鑑定魔法があればどんな病気かもわかる。みんなの前では使わないようにしていたけど、そうも言ってられないか。

鑑定アイデンティファイ

 鑑定魔法により出された診断は胃腸炎と脱水。うーん、確か胃腸炎は人に伝染るんじゃなかったっけ?
 このままだとみんなにも危険が及ぶ。何とかしないといけないなぁ。えーっと、確か本にはバイ菌とかいう目に見えないくらい小さい生物がいてそれが原因とされてたな。でもどんな原因かまでは書いてなかったな……。そんな小さな生物が何かをするというなら、真っ先に思い浮かぶのは毒。とにかく色々試してみよう。

解毒アンチドーテ

 まずは拡大解釈無しで。

「どう?」
「……少し楽になった」

 一応の効果はありか。なら身体の状態を回復ヒールしてみよう。これは普通にかけるとそのバイ菌とやらまで活性化してしまう。そのため拡大解釈が必要なのだ。

「身体の状態を回復ヒール
「うん、凄い楽になった」

 顔色も戻り、おでこに手を当てると熱もひいたようだ。しかしもう一度鑑定魔法を使ってみたけど胃腸炎は治っていない。脱水も続いている。
 とにかく水を飲ませよう。
 木のコップを取り出し水創アクアクリエイトで水を入れる。そしてレオを起こしてコップを渡した。

「とにかく水を飲んで」
「うん、さんきゅ」

 レオはコップを受け取ると水を一気に飲み干した。喉が渇いていたのかな?

「おいしい!   なんか凄い身体が楽になったみたいだ!」

 なんか急に元気になったな。まさか治ってないよね?
 もう一度レオを鑑定してみる。するとなぜか胃腸炎(快方状態)という診断が。なんで?

「もしかして治ったのか?」
「……だいたいね。もしかして水……?」

 そういえばアレーテさんが言ってたっけ。僕の水もリオネッセさんみたいに聖水かもしれない、みたいな話あったよね。

 もうひとつコップを出し、魔法で水を注ぐ。そして水を鑑定してみた。

「神水……?    効能が滋養強壮、殺菌、解毒、怪我の治癒(小)、 免疫向上 、万病緩和、鎮痛 、肌荒れの改善と美肌効果、 内蔵機能回復?    なんじゃこりゃ?」
「え?     ルウって聖者様だったの?」
「まさか!」

 おかしい。なんでこうなってるんだろ?
 リーネが言うように僕は聖者様なんてそんな大層なもんじゃないんだけど。拡大解釈もしかして
 関係なさそうだよね。

「あ……!」

 と、そこで思い出す。そういえば水創アクアクリエイトの契約の際、文言を「優しき」ではなく「神威しんい」に間違えたんだっけ。もしかしてそれが原因か?
 多分聖属性と水属性がSだからできたのかもしれない。

「思い当たる節あったんだ」
「なぁ、その水たくさん保管できないか?    それがあれば川の水を飲まなくて済むし、ここってそんな綺麗なところじゃないから病気が怖いんだ」

 ヘタイロスの言うこともわかる。僕らにとって病気は致命的だ。それでいていつ病気にかかってもおかしくないわけだし。

 確かにこの水があれば医者にかからなくても生存率は上がる。問題はたくさん水を創っても置くところがないことか。水を出し続ける道具でもあればなぁ。よし、いっちょ実験してみよう。
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