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美津子交代する

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どれぐらい月日が経過したのだろうか、美しい少女に成長したダリアが立派な講堂の椅子に座ってまっすぐ前を見つめている。周りも同世代の男女なのできっと学園なのだろう。講堂の前方の壇上ではあの残念王子がなにごとか熱心に語っている。 

推測するにダリアの入学式、王子は在校生代表として新入生に向け挨拶をしているのだろう、まあ、一応王族だしね。
王子が挨拶を締めようとしたその時、後方の新入生入場口のドアが勢いよく開いてピンクの髪の小柄な少女が駆け込んできた。うわっ、ここでリリー登場か!!
壇上の王子と目が合うとペロッと舌を出し、自分で自分の頭をコツンと叩いた。
へっ?!これリアルでやる人いるの?
少女マンガでしかみたことないよ‼︎
王子は早く座るよう促すが、その声に怒りの色はない。王子の横で進行役をしてた緑頭も苦笑いしてるが眼差しは優しかった。

数ヶ月して学園内のあちこちでリリーを囲むヒョロ男4人組を目にするようになった。

ダリアは学園でも基本1人だった。休憩時間は物静かに木陰で本を読む日々、
学年の違う王子とは校舎も違うので会うこともなかった。
なのにリリーとヒョロ男4人組はなにかとダリアに絡んできた。
ダリアがリリーを平民だと蔑み虐めている、他の貴族令嬢に圧力をかけリリーを孤立させている等々、ダリアには全く身に覚えが無いものばかりだ。
わざわざ他の学生が周りにいる場を狙って騒ぎたてる。ダリアは冷静に否定するが残念王子は取り合わない。

日に日にやつれていくダリアはもうなにを言われても無表情で5人を虚に見つめるだけ、綺麗なすみれ色の瞳は何も映してなかった。

王子の卒業が近くなり、王子が卒業パーティーで婚約破棄を企んでいることを取り巻きぶってまとわりつく下級貴族の令嬢グループから聞いたダリアは学園を抜け出し街に向かった。あまり治安の良くないエリアで怪しい男から小瓶を受け取りお金を渡した。

それから数日後の卒業式の前夜、ダリアは屋敷を抜け出し何処かへ向かう。
森?こんな夜更けに?
森を少し進むと小さな泉が現れた。泉の手前で足を止めたダリアは歌うように呪文を唱えると泉から青白い光の玉がダリアの胸の前までゆっくり上がってくる。
あれ?なんか見覚えのある光だな?
ダリアが両手をひろげその光の玉を抱き寄せるとふっと消えてしまった。

翌日学園の講堂で卒業式が行われた。
卒業を祝うパーティーは王城の広間で開催されるらしい。
一度屋敷に戻り夜会用のドレスに着替え
たダリアは馬車で王城へ向かう。そして馬車を降りる間際に小瓶に入った液体を飲み干した。

エスコートもなく1人会場入りをしたダリアを大勢の男女が遠巻きに見ている。 

あれ?また見覚えがあるな・・・嫌な予感がする

エスコートをすべき王子がピンクの物体を腕にぶら下げ婚約破棄を高らかに宣言した。ピンクの物体はピンクの髪にピンクのドレス、ピンクのヒールを履いたリリーだった・・・(うん!カメラを持たせたい)
そして緑頭がありもしない罪状を長々朗読し護衛騎士にダリアの拘束を命じる。

戸惑い動けない騎士に王子が再度拘束を命じる。主の命令に反くことはできず騎士はダリアを取り押さえた。

石床に両膝をつき項垂れるダリア、その瞬間この世の全てに絶望し疲弊したダリアの魂は消滅し美津子と交代した。
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