陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

第四集 弐ノ巻

東京分家初代当主

  ある日の夜中。東京分家の敷地内にある、東京分家の代々の先祖が眠る墓。(その横には五芒星の描かれた鳥居と祠もあり、安倍晴明の御霊を祭っている。) そこに、一人の少年がいた。



｢　ご先祖様...どうしてオレは、力が弱いんでしょう？オレは、強くなりたい。紫苑に見合う、強い男になりたいのに...!でもダメなんだ。術の鍛練を何度やっても、強くなれない...！｣





　[私が手を貸してやろうか？]



｢誰だ？!｣ 


　[安倍　佳月(あべ　かづき)。この家の初代当主だ。]


(初代当主...?!あの、歴代当主の中でも五本の指に入るくらい強い霊力を持っていたっていうあの初代当主？!)



　[どうだ？我が子孫よ。]



｢オレは...貴方の力を借りたい。｣


[ふっ。いいだろう。力を貸すかわりに、お前の体を借りるぞ。]



そう言うと、東京分家の初代当主は、少年の体に入った。



｢うっ、...!｣



　　　少年は、最初こそ苦しそうにしていたものの、徐々にその表情は笑みに変わった。


｢すごい...!霊力が体中に溢れてる!こんな感覚、はじめてだ!｣