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第二章「新たな旅立ち」

第35話「マリア・ファング」

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 お昼過ぎ。寝ぼけ眼をこすり、まだちょっと眠いけど起きる。キッチンからとてもいい匂いがしてきた。焼けたパンの匂いだ。



「おはよー」



「おはよ、メイ。食事できてるよ」



「はーい……」


ノノはいつも食事を準備してくれる。早起きだし、家事も得意で凄い。テーブルに座り、優雅に食事。といっても、トーストなんだけど。お皿の上に焼いたパンが載っている。ナイトゼナではパルスターというごく一般的なものだ。それにノノ秘蔵の妖精国専用のジャムをたっぷりつけ、味わう。



「ん、美味しい。いちごジャムみたいな味」



「イチゴってのは聞いたことないわね。そっちの世界にはジャムってたくさんあるの?」



「ひゃむとかまーまーれいどとかひろひろ」



「……行儀悪いわよ、メイ。食べてから喋って」



「ジャムとかマーマーレードとか色々あるよ」



「へぇ、どっちも聞いたことがないわ。一体、どんな味なのかしら? いつかメイの世界の料理を食べてみたいわね」



「そだね。いつか一緒に食べようね」



興味津々という顔で嬉しそうにしてるノノ。いつか、みんなと食事したいなと思う。そう、必ず帰らなくちゃね。絶対に帰らなくちゃ。ところでいつもの2人が見当たらないが。



「ノノ、理沙とミカちゃんは?」



「理沙はシャワー浴びてる。ミカは多分まだ寝てると思う」



「パンも食べ終えたし、起こしてくるよ」



食器を炊事場に片付け、寝室に向かう。ノノの推理どおり、ミカちゃんはまだ寝ていた。しなの湯の後、ノノの妖精の家へと案内したのだ。



「ほら、ミカちゃん。もうお昼だよ、起きて」



「ううん、まだ眠い……」



ゆさゆさとミカちゃんの身体を揺さぶる。パジャマ姿の彼女はなんだかとても新鮮だ。元々可愛いのだけど、今日はさらにかわいい。おまけに上下、子猫のイラストたっぷりのパジャマ。なんだかミカちゃんも猫に見えてくる。



「ミカちゃん、起きて。は・や・く」



「だから……まだ……ねむい……」



うーん、これはまずい。理沙は寝つきもいいし、起きるのも早い。林間学校の時もみんなを起こす方だった。班長を務めたり、学級委員を務めていたことも。みんなをぐいぐい引っ張っていくリーダー的存在だった。もしかしたら、高血圧なのかもしれない?けど、ミカちゃんはそうでもないみたい。立ち位置的には私に近いかも。まあ、昨日の山での戦いや治療とか色々忙しかった。疲れがたまっているのもわかるんだけど。でも、起こさないわけにはいかない。今日はギルドに行かなければならないからだ。



「すぅすぅ……」



どうしよう。なんか寝顔がかわいい。天使の笑顔っていうのかな。なんか、こっちまでドキドキしてきちゃう。ごくりと生唾を飲む。



「そうだ。いいこと思いついた。ミカちゃん、早くおーきーて」



「ううん……」



そんな彼女の頬にそっと口付けをした。ゴムのように柔らかくて弾力があって、暖かい肌。なんだかとても気持ちがいい。お姫様は王子様のキスで目を覚ますものよ。どれ、もう一度。



「め、メイ!!朝から何やってんッスかぁああああああああああああああ!!!!」



寝室に来た全裸の理沙が驚愕の表情と苦悶の表情を合わせた顔をして、叫んだ。しかも全く拭かずに出てきたのか、髪の毛や身体が死ぬほど濡れている。相当、慌ててこちらに来たらしい。お楽しみはここで終わりか。さあて、今日も一日がんばらなくちゃ。まずは理沙の説得から。





午後2時30分、ギルドへとやって来た。3時に待ち合わせなのだが、多少早く来たほうが良い。遅れて来るよりも少し早めに着いた方がいいのだ。待ち合わせとはそういうものである。ギルドでは相変わらず人が多い。メンバーで食事をしつつ作戦を立てたりするグループもいる。クエストボードで依頼を探す人、受付嬢にクエストを報告したりする人。男女どちらも多いが、比率的にはやはり男性が多い。腕相撲で競い合う男同士もいたりする。女同士で喋りまくってるグループも見かける。たくさんの人が色々な目的でこのギルドへと毎日、足を運んでいるのだ。けれど、今日はなんだか様子が違う。何人かがこちらをチラチラ見ているのだ。



「なんか視線を感じるんだけど?」



「多分、昨日の話がもう広まってるッス。尊敬だったり畏怖の眼差しだったり、色々な視線を感じるッス」



「まあ、広がらない方がおかしいわよ。当分は私達の噂で盛り上がるわよ。ふふ、時の人ね私達は」



ちょっと嬉しそうなミカちゃん。無駄にポーズとったりして決めている。まるで芸能人にでもなったかのようだ。でも、視線はどちらかと言うと私に注がれている気が。どうも慣れないな、こういうのは。



「メイ、気にしないでおきましょう。どうでもいい事だし」



「そだね」



ノノの一言に少しホッとする。確かに気にしても仕方がない。しばらくは続くだろうけど、我慢するか。



「こんにちは、皆さん」


 
と、ポールシェンカさんが出迎えてくれた。女性物のスーツを着込み、髪型もきっちりとしている。顔色もよく、その明るい笑顔は私達に元気をくれる。まだ仕事の途中らしく、手には幾つか書類を携えている。



「マスターは仕事が終わり次第向かいますので、先にお部屋へご案内します。さ、こちらです」



「はい」



私達はさっそく部屋へと案内してもらった。




1階は受付と酒場になっているが、2階は事務局となっている。ポールシェンカさんによると、ここでは依頼の受付・相談などの個室があるそうだ。とても静かなので、1階の賑やかさとは正反対である。ここでは下の喧騒も遠く聞こえる。



「では、この部屋でお待ちください。私は仕事があるのでこれで失礼します」



「はい、ありがとうございます」



ポールシェンカさんは一礼すると、下へ戻っていった。どうやら、とても忙しいそうだ。部屋に入ると、ソファが対になって置かれ、真ん中にテーブルがある。テーブルには灰皿が置かれ、クロスもかかっている。他にも部屋の隅に観葉植物が隅に置かれている。床は埃一つ落ちておらず、とても綺麗だ。それはいいが、私達の前にお客さんがいた。銀髪のロングヘアをたなびかせ、窓から景色を眺めていた。



「あ、いらっしゃい」



銀髪さんはこちらの視線に気づき、振り向いた。その笑顔は人懐っこく、優しいものだった。女性だけど、綺麗というより可愛いという言葉が似合いそう。私より年上だけど少女の面影もあり、悪く言うと童顔かな。それでも苦労したきたのか、顔つきはとても凛々しい。どこがどう違うとハッキリわからないけど……雰囲気がなんか違う。ジャケットを着込み、デニムジーンズみたいなズボンを履いている。ただ、長年使っているのか、所々シワがあるようだ。
髪の毛もよく見ると直しきれていない寝癖のあとが幾つか見える。



「あ、こんにちは」



「どもッス」



「はじめまして」



「サラさん、こんにちは」



三人が頭を下げる中、ミカちゃんだけ彼女を名前で呼んだ。
ということはギルドの人なのだろうか?



「おーミカじゃん。あんたが誰かと一緒なんて、珍しいこともあるもんね」



と言って、ミカちゃんの髪の毛をワシャワシャする銀髪さん。というか、やっぱりミカちゃん=ぼっちというイメージなのね。友達になってよかったなとちょっと思う。



「べ、別にめずらしくなんかないです。っていうか、サラさん何でここに?」



「マスターに呼び出されてね。面倒くさいけど来たの。つーか……」



と、こちらに視線を向けた。まじろかずにこちらを見る銀髪さん。恥ずかしいけど、視線を逸らさずにこちらも目線を合わす。




「その子達が例の危険種を倒したっていう……おまけに悪名高いシェリルやミリィを倒したっていう実力の持ち主ね」



「あ、はい。七瀬メイです」



「近藤理沙ッス」



「ノノといいます」



「初めまして、サラ・ブリガンティよ。ここのギルドに所属しているわ。よろしくね」



よろしくと一礼した後、握手を交わす。



「サラさんはここのトップランカーよ。マスターが一番信頼している正メンバーなの。物凄く強いんだからね」



「いやいや、それほどでもぉ~」



と言いつつも満更ではない様子。しかし、何故だかサラさんは私のことを上から下までジロジロと舐め回すように見つめてきた。



「……あの?」



「えい」



「ひゃああああああああああああああ!?」



サラさんはいきなり胸を揉んできた。ちょ、え、いきなり何!?



「ちょ、え、な、何なんですか、いきなり!」



「うーん、お椀型ね。5年後は期待できそうかな」



「ご、五年後ですか……ってそうじゃなくて!」



淡い希望が生まれかけたがそうじゃない。い、いきなり胸を揉まれるなんて。いくら同性とはいえビックリするよ。



「ちょ、何、仲間の胸揉んでるッスか!メイの胸はアタシの物ッス!アタシの許可なく勝手に触るのは違法ッス!」



「あんたの物じゃないわ!つか、違法って何よ!」



「あだ!?」



バシと理沙の脳天を一発殴っておく。もう、理沙は相変わらずスケベなんだから。ってゆーか、どうして同性は胸揉みたがるのかなぁ。まったくもう……。



「サラさん、メイはそういうの苦手なんですから、スキンシップはお手柔らかに」



ミカちゃんが強制的に私とサラさんの距離を離す。確かに過剰なスキンシップはどうも苦手だ。なので、ミカちゃんの背にひょっこり隠れる。



「へぇ、こいつは驚いた。ミカが相手をちゃんと名前で呼んでるなんて」



「どういうことッス?」



「この子、超がつくほど人付き合いが苦手でね。いつも〇〇さん呼びだったの。いや、名前を呼ぶこと自体、稀だったかも。でも、メイにはそういうの付けないでちゃんと呼んでる。ミカはメイちゃんがよっぽど気に入ったみたいね」



「へぇ、そうなんだ。えへへ、嬉しい」



「べ、別に。と、友達同士だし、な、名前で呼ぶのは普通じゃないですか……」



赤面しながらゴニョゴニョ言うミカちゃん。なんかとても可愛らしくていじらしい。




「相変わらずツンツンだなぁ。でも、アンタに友達ができて、おねーさんは嬉しい!」



と、ミカちゃんをぎゅーと抱きしめるサラさん。空いた手で私の頭を優しく撫でてくれる。嬉しいような、くすぐったいような。ちょっと複雑な気分だ。でも悪い気はしない。



「すまないね、遅くなった」



と、誰かが入ってきた。振り向いて見るが、そこには誰もいない。いるのは一匹の黒猫だけだ。



「あ、可愛い~。ギルドの猫さんかな?」



私は猫さんの頭のてっぺん辺りから手をうしろに滑らせて、そのまますぅと背中を撫でてあげた。頭も優しく撫でてあげる。猫さんはとても気持ちいいらしく、目をウトウトさせている。



「メイ、扱い上手っスね。あれ、猫飼ってなかったのでは?」



「昔、お婆ちゃん家にネコ太って猫がいてね。小さい頃、お婆ちゃん家に遊びに行った時、よく遊んだんだ。去年寿命で亡くなったんだけど、なんかこの子とよく似ていてね。同じ黒猫だったし」



「お主は優しい子じゃな、メイ」



「え?」



あれ、今この黒猫さんから声が聞こえたような?誰かがいたずらでアフレコしてるのかな?でも、周りは私達以外は黒猫さんしかいない。もちろん、声優さんもいない。声がついている流行りのおもちゃとか?私達の世界では日曜日の朝からやってる変身ヒロインアニメ「キュアキュア」の妖精がぬいぐるみで発売されたりして、電池を入れれば言葉を喋ってくれる。いやいや、つか、ここナイトゼナだし。そんな高度なおもちゃが発売されているとは思えない。



「メイ、その猫さんがここのマスターよ」



「え? ガイドブックには絶世の美女だとか、書かれていたけど」



ミカちゃんの言葉に呆然とする。これはどう見てもただの猫なのでは。



「男共から求婚だの何だの五月蝿くて敵わん。普段は変身魔法で猫の姿をしておるのじゃ」



「わわ、ごめんなさい。失礼しました」



だっこしていた猫さんを丁寧に地面におろしてあげる。マスターさんは「よいよい」と言いながらてくてく歩き、ソファの上にぴょんとジャンプして乗る。あのてくてく歩く姿可愛いなぁ。



「改めて自己紹介する。マリア・ファングのマスター「サエコ・マリア」じゃ。この部屋には予め結界が貼られておる。人払いの儀も済んでおり、ここには誰も来ない。お主達の事はポールシェンカから概ね聞いてはいるが、お主達の口から改めて聞かせてくれぬかの?」



「は、はい」



さあ、いよいよ面談開始だ。






私は日本から異世界ナイトゼナに来たことを話した。100万年前、この世界を滅ぼそうとしたマルディス・ゴア。そいつを倒した四英雄の武器であるセグンダディオと私は契約を結んだ事。ミリィやシェリルに騙され、奴の配下にレイプされかけた事。助けに来てくれたロランさん達のお陰で窮地を脱したが、脱獄したシェリル達に再び襲われ、理沙と再会・協力して倒したこと。ノノとの出会いやミカちゃんの出会いを話した。マリアさんもサラさんも初めは信じられないという顔をしていた。けれど話を聞く態度は真剣であった。



「……ううむ、にわかには信じ難い話じゃな。しかし、ポールシェンカの話も聞いておる。信じざるを得ないじゃろう」



「嘘をつくにしては話が壮大過ぎる。それに、この子達が嘘をつくメリットも無いですよ。メイちゃん、戦うのは苦手?」



サラさんの尋ねに私はコクリと頷いた。



「ええ、そうです。戦いとか人を殺すとか、そんな事したくないです。私は早く自分のいた世界に帰りたい。普通の日常生活に戻りたいんです。私達の国も戦争をしましたけど、それはもう昔の話。私達ぐらいの歳の女の子は学校行って、勉強したり、友達と遊ぶのが普通なんです」



私は堪えきれず胸に溜まったものを吐き出す。言葉にして、全てぶつけるつもりで話す。誰も口を挟まず、私の言葉に耳を傾けてくれる。それが嬉しかった。



「本音を言えば、ミリィやシェリルだって殺したくなかった。できれば、友達になりたかった。誰も殺したくない。殺したくない……」



今となってはもう叶わぬ願いだが。だが、今でも私は後悔している。あの二人をこの手で殺したことを。これは地獄に落ちても償えない罪だ。一生背負うべき十字架なのだろう。涙を袖で拭う。



「ふむ……そうか。ところで数あるギルドの中でここを選んだ理由はあるのか?」



「死神さんから手紙を預かってきました。これをあなたに渡すようにと」



「……死神だと?」



ナイトゼナの城の地下で出会った死神。死神はこの手紙をシンシナティのギルド・マリア・ファングのマスターに渡すように言われた。その時の手紙をようやく渡すことが出来る。マスターに差し出すと、彼女は口に手紙をくわえ、ぴょんと床へ降りた。



「………うむ、手紙は受け取っておく。お前達を正メンバーとして認めよう。細かいことはサラもしくはポールシェンカに聞くといい。私はこれで失礼する」



そのままマスターは部屋を出ていってしまった。手紙の内容が気になるが、今は渡せたことだし、それでいいとするか。



「正メンバー合格おめでとう。これで晴れて「マリアファング」の一員だね。んじゃ、これから書類を書いてもらいます。それが終わったらクエストで汗を流してもらうよ」



と言ってサラさんはスキップしながら部屋を出ていった。なんか、道端でお金でも拾ったかのように嬉しそうだ。そんなに私達が入るのが嬉しかったのかな?



「ミカちゃん、正メンバーって何?」



「ギルドには正メンバーと準メンバーの二種類があるの。準メンバーは支部の加入・脱退が月イチで可能よ。けど、報酬は達成したクエストのみ。正式なメンバーになると他の支部への移動は原則禁止。でも、その分、お給料が貰えるから無理にクエストをこなす必要はないわ。もちろん、責任も増えるし、危険度の高いクエストは立ち向かう必要がある。おまけに後進の育成もしなきゃいけない。ちなみにあんた達だけよ、このギルドでいきなり正メンバーになったのは」



「へぇ……」



イマイチ実感が沸かない。ミカちゃんの説明を更によく聞くと、コツコツ実績を積み上げて、何十年と働いてマスターが信頼ができると決めた人が正式なメンバーになれるようだ。そのステップを軽々と越えて来たのは私達だけらしい。でも、私たちがメンバーになったのはあくまでここを拠点として情報を集める為だ。だから、別にギルドの一員になれても特別嬉しいという感情はない。ただ通過点を通り過ぎただけに過ぎないのだ。ハッキリ言って、ようやくスタートラインに立てたのだ。本当に大事なのはこれからだ。



「あー、ごめん。忘れてた。書類書く前に住所教えて。すぐ連絡取れないと困るから」



と、サラさんが駆け足で戻ってきた。住所ねぇ。



「私たちは旅してここまで来たんで。今までは野宿かノノの家だったし」



「確かにそうッス。でも、今後ここを拠点とするなら家は必要ッスね。どうします、メイ?」



「別に私の家でも構わないわよ?」



「ありがとう、ノノ。でも妖精の家だとみんなから見れないわ」



「ああ、そうだったわね」



妖精の家に寝泊まりするのも確かに一つの方法だ。だが、それだと周りの人間には見えないので緊急の時は厳しい。
ここは借家なり何なりと家を探す必要があるだろう。



「思い切って不動産屋で良い物件を紹介してもらう?」



「不動産屋なら近くにあるわよ。私が案内……」



と、ミカちゃんが言いかけた時だった。



「緊急事態発生、緊急事態発生。正メンバーで手が空いてる者は与太来堂へすぐに向かうように!繰り返します……」



と、放送が流れた。どうやら部屋に備え付けのスピーカーから声が流れているみたい。この声はたぶん、ポールシェンカさんかな。



「メイちゃん達、さっそく行きましょ。私が案内するわ」



「サラさんも一緒に?」



「そうよ。お手並み拝見といきましょう」



「よし、みんな行くよ!」



「おー!」



皆の声がハモる。それを頼もしく思いながら走り出した。みんなも一緒に駆け出す。
さあ、ここからが始まりだ。
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