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義妹に婚約者を取られた私は婚約破棄されました。が、本当に幸せになるのは私です。
しおりを挟む私はレベッカ・バヌールと申します。
この国の聖女を致しております。
毎日この国の安寧のために祈りを捧げております。
私は聖女に決まった時からこの国の皇太子ジェームス殿下と婚約しました。
これは王命です。
聖女と皇太子が婚約するのは、この国の昔からのしきたりです。
ジェームス殿下は金色の髪と青い瞳を持つ美しい人です。
スラってしてシュッとしてて私はこんなにカッコイイ人を生まれて初めて見ました。
春の花が咲き誇り、青葉が芽吹きかぐわしい風が吹く季節となりました。
5月の夜会の日の事です。
忙しい日々の暮らしの中パーティに出る為に着飾るのも悪く無いなと思ってた私をエスコートするはずのジェームス殿下はいません。
「 おかしいな?」
と、思いながらパーティ会場へ行くとジェームス殿下は私の義妹サーシャをエスコートして現れました。
違和感しかありませんが、殿下は私を見つけると大勢の人達の前で高らかに宣言したのです。
「 レベッカ、お前との婚約を破棄させてもらう。お前は本物の聖女であるサーシャの力を自分のものと偽った罪人だ。さっさと私の前から出て行け!」
ジェームス殿下は顔を真っ赤にして、大きな目をひん剥きツバを飛ばして怒鳴りました。
( イイ人なんだけどなぁ、なぜ私の本当の気持ちをわからないのか。)
ジェームス殿下の身体に隠れるようにして後ろから私を見ている義妹サーシャと目が合いました。
サーシャからはドス黒い、まがまがしいいつものオーラが漂っています。
サーシャはほんの子供の頃から意地悪で嘘つきでした。
姉の私のものを全て欲しがる人でした。
サーシャは可愛らしい見た目をしています。
義母はサーシャ命ですし、私の父親も義母の言いなりです。
サーシャは可愛い可愛いと宝であるかのように扱われて育ちました。
彼女の邪悪な内面と考えがドス黒いオーラとなり、たちのぼっているのに誰も気が付きません。
両親も私の本当の気持ちをわかろうとはしませんでした。
幼い頃からの記憶が私の頭をよぎります。
誰にも理解してもらえない辛い気持ちを思い出してしまいました。
婚約者のジェームス殿下も私よりもサーシャの嘘を信じているみたいです。
この状態になっている人に何を言っても無駄です。
それは子供の頃からずっとわかっています。
私は嘘を一つも言っていないのにサーシャの嘘を信じた義母に嘘つきと怒鳴られ殴られました。
それは父親も同じでした。
ジェームス殿下も同じみたいです。
私はすっかり嫌になってしまいました。
「 わかりました。出て行きます。」
私が言うと、
「 ほらねー、私の言った通りになったでしょう?」
と、サーシャがジェームス殿下の腕にしがみついて言いました。
サーシャは自分のついた嘘を信じた周りの大人が私に怒ってる時に見せる、心から嬉しそうな顔をしています。
私は城を出ました。
いつも私を助けてくれる精霊達に頼んで、全ての真実を国民の前に映してもらいました。
私の後ろには国民の列が出来ました。
この国に魔獣が侵入しました。
一度も噴火した事の無い山が噴火して、水はニガヨモギの味になり飲めなくなりました。
地面も燃えて作物も全て燃えてしまいました。
私が国民達の列を結界で守りながら歩いていると、王様の使いがやって来ました。
「 一つ、ジェームスは王族から追い出して、2度と王族を名乗る事を許しません。
二つ、お願いですから聖女として戻って下さい。」
どこでも好きなところへ行って暮らそうと思っていた私でしたが、戻る事にしました。
私が復讐したなんて言いふらしている人がいるみたいですけど、私は復讐なんてしてません。
全ては神さまの言う通りですから。
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