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私は婚約者を同級生に奪われました。彼女はセレブになれると思い込んでたみたいですけど。

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「 カトレア、お前との婚約は破棄させてもらう。お前は聖女ではないくせに聖女と言いはった重罪人だ。」

私は今、婚約者のマーク殿下から婚約を破棄された。薔薇の花が咲き始めた事を祝う花のパーティの席での事だった。
魔法学院の学生達やこの国の名だたる人達が集まる春のパーティ。

1年に1度のパーティを皆、待ち望んで楽しみにしている。
マーク殿下の後ろにはカミレが隠れながら私をのぞき見している。

カミレはピンク色に染めた長い髪の毛をクルクルに巻き、その髪をふわふわ揺らしながらマスカラで長く長く伸ばしたまつ毛をパチパチさせている。

マーク殿下は私には見せた事の無い目で、まぶしい者を見るようにカミレを見ている。
そしてカミレもマーク殿下をうっとりと見上げている。

( はい、バカップル認定。)
私は全部知っている。

なぜなら私は聖女だから。
聖女には全ての情報が集まる。
この国の全てだ。知りたく無い事まで知らされる。

カミレは私を大嫌いで、私さえ居なくなれば自分が聖女になれると思い込んでいた。
マーク殿下に嘘を吹き込んだ。
いつもカミレは息を吐くように嘘をついたから、簡単だった。

「 聖女の私がいなくなれば国は大変な事になるのではないでしょうか。」

私が言うとマーク殿下は、

「 うるさい、うるさい、黙れ!聖女はカミレがいるから大丈夫だ。お前は国を出て行け!2度とその顔を見せるなよ。」
マーク殿下は真っ赤になり、目をひん剥いてツバを飛ばして怒鳴りつけた。

私が聖女の仕事を必死でしている時に婚約者は浮気をしていた。

彼との幸せな未来を想像する事は出来なかった。
「 わかりました。出て行きます。」
私は城を出た。
妖精に頼んで国民の目の前に全ての情報を映してもらった。

私の後ろには国民達の行列が出来た。
祖国には魔獣が侵入した。

カミレには聖女の魔力など無い。
そんな事はわかっている。
私はわかっているけれども、彼女の嘘にみんな騙されたしまった。

魔獣は我がもの顔をして暴れまくった。
山は噴火し地面は燃えて、水はニガヨモギの味になって飲めなくなった。
祖国は荒廃した。

さっきまでの青空や緑の植物達はどこにも無い。
黒とグレーの世界がそこにある。

カミレは王子を自分のものにすれば、全てが自分のものになると思っていたらしい。
聖女を追い出して憧れのセレブの生活が出来ると、ウキウキしてたのも束の間だった。

私は国民達の行列を結界で守り、それぞれが行きたいところまで送り届けた。
歩くのが困難な人達はドラゴンに乗せてあげた。

隣国は難民を受け入れてくれた。

カミレは私が祖国に復讐したと言いふらしてる
みたいですけど、私は復讐なんてしてません。

そんな事考える暇なんて無いもの。
難民となった祖国の人達の幸せを祈るのが精一杯です。
全ては神さまの言う通りですもの。
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