上 下
1 / 1

聖女の私は婚約破棄されました。婚約指輪を返せと怒鳴られたので呪いを込めてお返しします。

しおりを挟む

「 エリザベス、お前との婚約は破棄させてもらうぞ。聖女の仕事もクビだ!」
青葉が芽吹き風がかおる美しい夜のパーティの席で、婚約者のゴールデン殿下が私に怒鳴った。

私は長い間、この国の聖女として国の為に祈りを捧げて来た。
自分の自由な時間なんて無い。

聖女になった途端に王子の婚約者になってしまったから、お妃教育も始まった。

本当に命を削り、身を粉にして働いて来た私に突然婚約破棄を言い渡すなんて。

パーティの席は騒然となった。
皆、かたずを飲んでどうなるかを見守っている。

「 ゴールデン殿下本気ですか?
私とあなたの婚約は国王陛下のお決めになられた事ですよ。」

「 うるさい、うるさい、黙れ!
お前が本当の聖女であるサリーの力を奪って聖女になった事を知ってるんだぞー。
お前が可愛いサリーをイジメてる事もな!
さっさと出て行けよ。
あっ、指輪は返せよな。」

ゴールデン殿下は真っ赤な顔をして、目をひん剥き、ツバを飛ばしながら叫びました。

しかも婚約のあかしにもらった指輪まで返せと、手を伸ばして
「 ほら、返せよ。」
なんて言ってます。

金色の髪に青い瞳のイケメンなんて思ってたけど、なんて滑稽な姿でしょう。

私はその姿を見て呆れてしまいました。
この人と結婚して幸せになる未来は想像出来ませんでした。

「 わかりました。出て行きます。」
そう言いながら私は指輪を外して、ゴールデン殿下に返しました。

その瞬間、渾身の怒りと呪いを込めてしまいました。
いやあ、わざとじゃ無いんですけどね。

私もイラッとしてましたから。
ついです。ついね、婚約指輪に呪いを込めてしまいました。

私は城を出て歩き出しました。
精霊達に頼んで、全てのいきさつを国民の目の前に映してもらいました。

この国に魔獣が侵入しました。
山は噴火し、水はニガヨモギの味になって、土地は燃えました。

この世の地獄の光景が広がっています。

私は国民達を結界で守り、それぞれが行きたいところまで送り届けました。

風の噂で、ゴールデン殿下は重い病気になったそうです。

全ては神さまの言う通りですから。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

やって良かったの声「婚約破棄してきた王太子殿下にざまぁしてやりましたわ!」

家紋武範
恋愛
 ポチャ娘のミゼット公爵令嬢は突然、王太子殿下より婚約破棄を受けてしまう。殿下の後ろにはピンクブロンドの男爵令嬢。  ミゼットは余りのショックで寝込んでしまうのだった。

婚約破棄した僕が浅はかでした。僕はどうしたらいいんだろう、わからないよう。

十条沙良
恋愛
嫌で嫌で婚約破棄したまでは良かったけど、大変な事になっちゃった。

君より妹さんのほうが美しい、なんて言われたうえ、急に婚約破棄されました。~そのことを知った父は妹に対して激怒して……?~

四季
恋愛
君より妹さんのほうが美しい、なんて言われたうえ、急に婚約破棄されました。 そのことを知った父は妹に対して激怒して……?

婚約破棄してから体調が悪い。聖女の彼女に治して欲しいから戻って来て。お願い。

十条沙良
恋愛
ごめんなさい。許してください。もうしませんからー。

婚約者から突如心当たりのないことを言われ責められてしまい、さらには婚約破棄までされました。しかしその夜……。

四季
恋愛
婚約者から突如心当たりのないことを言われ責められてしまい、さらには婚約破棄までされました。 しかしその夜……。

わたくしが代わりに妻となることにしましたの、と、妹に告げられました

四季
恋愛
私には婚約者がいたのだが、婚約者はいつの間にか妹と仲良くなっていたらしい。

継母は実娘のため私の婚約を強制的に破棄させましたが……思わぬ方向へ進んでしまうこととなってしまったようです。

四季
恋愛
継母は実娘のため私の婚約を強制的に破棄させましたが……。

ずっと嫌なことと迷惑なことしかしてこなかった父とは縁を切りますね。~後は一人寂しく生きてください~

四季
恋愛
ずっと嫌なことと迷惑なことしかしてこなかった父とは縁を切りますね。

処理中です...