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第六十二話 コスプレイヤーは、普段一般人というコスプレをしている
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「さてそれじゃあ…」
「一旦戻りましょう」
「え?何で?」
「もしあなたの予想通りなら貴方が入国した事は知られない方がいい。 警戒されるわ。 それに私はアンデッド、あの大司祭みたいに私をアンデッドだとすぐに判別出来る人間がいたら面倒よ?」
「言われてみればそうだね、それじゃあ作戦会議といきますか」
「【転移】」
「…おかえり。 もう着いたの?」
「着いたよ、それで作戦会議でもしようと思ってね」
リビングに転移すると戻った事に気付いたようでルーがソファーから声をかけて来た
「ご主人様その首の跡はどうなさったのですか? 治さなくてよろしいので?」
俺が帰った事に気付いて、慌てて戻って来たイレスティが心配そうに俺の首をなぞった
先程フララに締められた首にはしっかりと手形が残っている
「これは戒めです…」
先程のホラー体験を思い出しながら首をさすった
そうしているとみんながテーブルへと集まって来た
「さてと、リンデ、ダルシエルの警備体制はしっかりしてるのか?」
「えぇ、その日に入国した者の情報は上とも共有してるし厳重よ、普通の国とは違い嘘を見抜く神聖魔術を使う神官がいるわ」
俺の魔法で偽装してもバレる可能性があるな
「アンデッドは入国出来るの?」
「まず無理ね、出来たとしても一瞬でアンデッド感知に優れた者がわんさか集まってくるわよ」
コスプレイヤーに群がるカメコみたいなもんか。 高校の時に、隣の席の女子に友達との写メ撮ってと言われて、つい舞い上がりすぎてついローアングルで撮影したらいつの間にクラスの女子みんなが俺を見下してたんだ… 馬鹿どもめ! お前達が見下している限り俺はローアングルでお前達を見上げてもいいというご褒美を与えられ続けているという事だ!
「ってなるとフララの小型アンデッドを使って街中探す訳にはいかないか…」
「それじゃあ私が輝人の核を埋められた魔物を探すよ、私の共鳴なら見つけれると思う」
レデリが手を上げながら協力を申し出た
「闇雲に探しても仕方ないしそれがいいか…」
野生のコスプレイヤーより同人誌即売会のコスプレイヤーっていうしな。 え?言わない?
「身動き取りやすいように少人数のがいいな、俺とルー、エメとレデリで行くか、必要になったらフララとルチルも【眷属召喚】で呼ぶよ!」
「わかったわ」「了解なのじゃ」
2人は納得してくれた様だ
「ちょっと待って私は?」
「お前なぁ、密入国するんだぞ?」
俺は思わず眉間に皺を寄せてしまった
「わかってるわよ、でも自分で確認しないとスッキリしないわ! イタッ! 何よこれ!」
ふふふついに引っかかったな、いつものテーブルにドンと手を置き立ち上がる癖を止めさせるく為に、樹魔法で棘を作っておいたのさ! ざまぁ!
「あんたの仕業でしょ?!」
「お、俺じゃねぇーし!」
「…ショウ。私の代わりにストリンデ連れてって。」
ナイス助け船!
「ルーがそう言うなら… 魔術使えないかもしれないけど大丈夫か?」
俺は渋々納得する
「当たり前じゃない、魔術が使えない紅血砂漠の聖女よ?」
「そういやリンデは歩いて砂漠を抜けれるような脳筋聖女だったね」
「…何急に褒めてるのよ、な、何もでないんだからね! あ、代わりにヒエル様の素晴らしい教えを…」
リンデは褒められたのが嬉しいのか顔を赤くしながら誤魔化すように聖書を取り出そうとした
褒めてないんだけど…
「結構です…」
「ふん! いつか神罰が落とされても知らないから!」
リンデは顔をプイっと背けた
「はいはい、それは怖いこって。 じゃあ今日は休んで明日出発にしょう!」
その後はみな思い思いに時間を過ごして一日が終わった
◇ ◇ ◇ ◇
「すっかり秋も終わったなぁ…」
夜のうちに雨が降り、窓から見る中庭の樹々の葉々は役目を終えて地へと返っていた
「もう冬だね… お兄ちゃん、エメとの魔法も冬バージョンになるからね」
「了解」
エメがすっと俺の中に入っていく、樹魔法は基本的にその季節に付随する魔法だ、エメが中に居れば自然と何が出来るかは把握できる
「それじゃあレデリ、リンデ、行くよ」
「はいよー」「準備出来てるわ!」
レデリもリンデもいつでも行けるみたいだ
「…気を付けて。」
「何かあればすぐに呼びなさい」
「気を付けて行ってらっしゃいませ」
「わらわに留守は任せるのじゃ!」
このメンツなら残しても何も心配がない
「じゃあ留守の間頼むね、行ってきます!」
そうして俺達はダルシエルのすぐそばの砂漠まで転移した
「それでどうやって入るつもりなの?」
「とりあえず【イリュージョン】」
「何も変わらないよ?」
「周りの人達には別人に見えてるよ」
「レデリは金髪の美女に、リンデは…赤毛のゴリラに」
うほ
「何でゴリラなのよ?!」
リンデが眉間に皺を寄せいつもの様に顔を近づけて抗議してくる。
美人なんだから気安く顔を近づけて来るな!
『お兄ちゃん、流石にゴリラゴリラゴリラ位がいいんじゃない?』
それただの学名で結局ゴリラだからね?!
「わかったわかったから! もう一回やるよ、脳筋のイメージが強すぎてゴリラが…【イリュージョン】」
俺はリンデの肩を両手でつかみ近づいた体を押し返した
「で、どうなったの?」
「赤毛の美人になったよ」
「元の私とどっちが美人?」
「…元のリンデ」
「へぇ美人って認識してたんだ」
リンデがニヤニヤした顔を見ていた
うぜー
「ゴリラの中ではトップクラスだと思ってるよ」
「何ですって?!」
パンパン
「はいはい、今日はフララ姉さんが居ないから私がこれやらないといけないのか…」
「「何で面倒くさそうなんだよ!」なのよ!」
「…そういう所でしょ…」
レデリがやれやれとため息をついた
「で次は?」
リンデの機嫌はまだ戻っていないが先に進める
「【ステルス】【フライ】」
俺は二人をガバっと両脇で抱え空へ飛び出した
「兄さんどこ触ってるの? 私達まだ一緒にお風呂に入っただけなのに…」
「ちょ、ちょっとあんた! そこは… ぁん… だめぇ…」
何で俺が脇腹触っただけで変質者みたいになってんだよ、つかリンデ、お前脇腹性感帯かよ、こんな形で知りたくなかったよ…
俺は静かに人気のない場所に着地し、二人を下ろした
「兄さんのエッチ… こんな所で妹になんてことするの?」
「あ、あんたねぇ! 聖女を汚すなんて神を冒涜してるのと一緒よ?!」
君たちの脇腹はあれかい? 出し入れできる所なのかい?
「お前らなぁ、悪ふざけはいい加減にして真面目にやれ!」
「はぁ今後の付き合いが不安だなー」
「私は聖女… まだ汚されてない… 私は聖女」
レデリが胸を両手で抱え、リンデはショックなのか四つん這いだ
俺が物陰からひょいっと頭をだし周りの様子を伺う
「にしても何か不気味だなこの街、白過ぎだろ。 街全体が病院みたいな雰囲気だな」
「そりゃそうよ、年がら年中重症軽傷問わずここへ助けを求めてくるのよ?」
「お前も四つん這いになる位苦しいなら心の病を見て貰えよ」
「誰のせいだと思ってるのよ!」
「俺のせいなの? じゃあ責任取らないといけないの?」
「ば、バカ言わないで、誰があんたみたいな女誑しに!」
否定したいが現状があれなので否定できない…
「私はヒエル様のような高尚な方と結婚するの」
キラキラと恋する目で膝を付け祈りを捧げ始めた
「はいはい、そのあたりにしてくださいねー。 兄さんあっちの方から核の気配を感じるよ」
レデリは塔の方を指していた
「流石俺のレデリ、脳筋ゴリラ聖女と違って優秀だ」
「俺のレデリっていうのは非常に不服だけど恋人だから我慢するとして」
…この子は本当に俺が好きなのだろうか? 相変わらずゴミを見るような冷たい視線だ。
「早くいくよ、遊びに来たんじゃないんだから」
「「はいすみません…」」
俺達はシュンとしながらも、塔の方に向かいながら街を探索する事にした。
情報を集める為にも【ステルス】は解いてある
「何か思ったより静かな街だな」
「人が余りいないように感じるね、ストリンデさんいつもこんな感じなの?」
「いえ、そんな事ないわ、もっと人も多くて賑やかなんだけど…」
リンデも困惑してるようだ
「おねーさまー!!!」
と前から大きな声を出しながらこちらに走ってくるシスター服の様な物を着た少女が見えて来た
「何だあれ?」
「う、あれはまずいわね…」
リンデあからさまに嫌そうな顔をして俺の後ろに隠れるように下がった
「この辺りでお姉様の気配…そして匂いが… クンカクンカ」
少女が鼻をピクピクさせながらリンデの近くまで来る
ピト
「お姉様! あれ? でも見た目が…」
「こっちへ来なさい!」
リンデが少女を連れて建物の隙間へと入った
「はぁ…やっぱりお姉様だったのですね、いくら姿を変えても私にはすぐわかりますよ!」
少女は胸元に抱き着いて、顔を赤らめニヤニヤしながら顔をぐりぐりと押し付けていた
「はぁあんたって子は…」
リンデが疲れた様に溜息を吐いた
「リンデこの子は?」
「むぅ。 そちらこそ誰ですか?」
白いシスター服の様な物を着た少女はリンデに抱き着いたままこちらを振り向き、頬を膨らませた
「僕は…」
「やっぱり聞きたくありません!ベー」
少女が目をギュッと瞑り舌を出した
「何でだよ!」
「だってあの綺麗で聡明で慈悲深くてその優しい笑顔はまるで人を優しく照らす太陽の様に美しかったお姉様を、こんな砂漠を歩いて超えてしまう様なゴリラに変えたのは貴方なんでしょ?!」
「そのゴリラ要素は元々のもんだ! 俺のせいにするな!」
「そんなまさか! お姉様はゴリラゴリラゴリラだったのですか?!」
少女は両手で頬を包み、表情は青天の霹靂といった様子だった
ドン ドン
二人の頭に鉄拳が落ちる
「いい加減にしなさい」
「「はい…」」
「はぁ…」
レデリのため息が虚しく当たりに響いた
「この子は私と同じ修道院に居たモルガーナよ、まぁ妹みたいなもんね」
「はい、皆にはモルガって呼ばれてます、でもお姉様! 妹なんてとんでもない。 私は妻になるのです!」
腰に手を当てドヤ顔だ
「はぁ… 女同士じゃ結婚できないでしょ… いつまで言ってるの…」
「お姉様だって昔は約束してくれました!」
「モルガそういうのって子供の時の約束で…」
「お姉様を誑かしたゴミカス野郎の貴方には名前で呼んでほしくないです」
俺が優しく屈んで話かけると、モルガが冷たく言い放ち顔をプイっと背けた
「兄さんがゴミカスっていうのには全面的に同意するけど、誑かしてはないよ」
ゴミカスの恋人の貴方はなんなんですかね?!
「兄さん?! こんな冴えない兄の妹がこんなに可愛いはずがない!」
俺は魔法かけても冴えないのね… 冴えない彼氏の育て方を誰か教えてくれ…
「ねぇモルガ、最近ダルシエルで何か変わった事あった?」
らちが明かないと思ったのか流れをぶった切って会話に割って入って来た
「んー…特には思いつきませんねぇ…」
『お兄ちゃん、嘘かもしれないよ、何でも喋らせる寄生型の植物に…』
『止めろ止めろ! 物騒すぎるだろ!』
『試してみたかったのに…』
なんて危ない大精霊だ!
「しいていうなら、入信者さんが最近やたら多い事ですかね? それにその入信者さん達も規則通り洗礼を受けるんですけど、なんかみんな大人しいというか元気ないというか…」
「洗礼… それって大司祭様が行ってるのよね?」
大司祭って事はドウガさん、リンデのお父さんだよな
「はい、その通りです。」
「洗礼の間で行なってるの?」
「いえ最近は人が増えすぎたとかであそこの塔の中でやってますよ」
レデリが指さした方角とも合うか…
俺がレデリとリンデの顔を見ると二人共頷いた
するとリンデがそっと顔を俺の耳に近づけて口を開く
「あそこは許可なく入れないし、気配察知に優れた者も多いから貴方の魔法でも難しいわ」
「むぅー 私を差し置いてお姉様と内緒話ですか?」
モルガは涙目になってむくれていた。 よくよく見ると可愛いな、14歳とかそのあたりかな?
するとリンデがポンと手を叩いた
「ねぇモルガ、私を新しい入信者としてあそこに連れて行ってくれない? モルガなら問題ないよね?」
「お姉様の頼みなら別にいいですけど、それなら元の姿で入ればいいのでは?」
その通りだ…
「違うのよ、実はね大司祭様にサプライズがあるの、明日は二人の結婚記念日だからね、色々リサーチしたくて姿を変えて大司祭様に近づこうってわけ」
平然と嘘つけるタイプだなリンデは、全く言い淀まないしもっともらしい、やっぱりこいつ全然聖女じゃねー 実はただのコスプレイヤーじゃないのか?
「流石お姉様! 家族の事を思うがあまり変装して密入国迄して大司祭様に近づこうっていうんですね?」
?!
俺は思わず【身体強化】して背中に亜空間を広げ刀を握っていた
「どうしたんですかショウさん? ただの冗談じゃないですかー」
屈託なくモルガは笑っていたが、さっきの漏れた魔素の流れは明らかに攻撃的だった… いくら大好きだからと言って魔法にかけられたリンデを見抜けるのか? それに…なんだ?何が引っかかってる?
「ちょっと背中がかゆくなっただけだよ、それで頼めるの?」
もしかしたら罠の可能性もあるが、最悪転移で逃げればいい。 転移できる事は流石に知らないはずだ
「勿論お姉様の為ですからね! 行きましょうお姉様! あ、腕組みますからね!」
ニコニコとリンデと腕を組み楽しそうに話す二人は本当に仲のいい姉妹のようだ
「レデリ、あの子信用できると思うか?」
「ストリンデさんの事大好きみたいだし怪しい所あった?」
レデリは何も感じなかったみたいだ… 俺の思い過ごしかな?
そうして俺達はモルガに連れられ、新しい入信者として塔の中に入る事が出来た
入ってからレデリの様子がおかしい、拳を強く握りプルプルと肩を震わせまるで怒りを抑えているような様子だ
「どうした?」
「兄さん… ここ… 物凄い数の輝人の核がある。 何千何万数えられない」
クソ、一番嫌な予想が当たったか… そんな場所にいるのは辛いよな… そっとレデリを抱きしめた
「どうしたんですか?」
モルガが様子がおかしい俺達に問いかけて来た
「ちょっと具合がわるくなっちゃっただけだよ」
レデリは苦笑いでモルガに言った
「ほら俺の言った通りだっただろ? 嫌な予想は大体当たるんだよ、朝食べたあれは古いから当たるかもって言っただろ」
ストリンデは俺のその言葉でハっとしたようだ。 レデリは今日朝ごはんを抜いていた
「すみませーん!」
「どうしました?」
モルガが声を出すと兵士が駆けよってきた
「この方が具合悪いらしいので、医務室に連れてってもらえませんか?」
「わかりました、それではこちらへ」
俺達は兵士に後に続くが…
「お姉様はこっちですよ、大司祭様はこちらなので」
モルガがリンデの腕を引いた
「…わかったわ、じゃあまた後でね」
「了解」
「ストリンデさんまた後で」
俺達はここで別れた。
今思えば彼女に取ってここが最後の分岐点だったのだろう
何故なら彼女の向かう先に待つのは…
「一旦戻りましょう」
「え?何で?」
「もしあなたの予想通りなら貴方が入国した事は知られない方がいい。 警戒されるわ。 それに私はアンデッド、あの大司祭みたいに私をアンデッドだとすぐに判別出来る人間がいたら面倒よ?」
「言われてみればそうだね、それじゃあ作戦会議といきますか」
「【転移】」
「…おかえり。 もう着いたの?」
「着いたよ、それで作戦会議でもしようと思ってね」
リビングに転移すると戻った事に気付いたようでルーがソファーから声をかけて来た
「ご主人様その首の跡はどうなさったのですか? 治さなくてよろしいので?」
俺が帰った事に気付いて、慌てて戻って来たイレスティが心配そうに俺の首をなぞった
先程フララに締められた首にはしっかりと手形が残っている
「これは戒めです…」
先程のホラー体験を思い出しながら首をさすった
そうしているとみんながテーブルへと集まって来た
「さてと、リンデ、ダルシエルの警備体制はしっかりしてるのか?」
「えぇ、その日に入国した者の情報は上とも共有してるし厳重よ、普通の国とは違い嘘を見抜く神聖魔術を使う神官がいるわ」
俺の魔法で偽装してもバレる可能性があるな
「アンデッドは入国出来るの?」
「まず無理ね、出来たとしても一瞬でアンデッド感知に優れた者がわんさか集まってくるわよ」
コスプレイヤーに群がるカメコみたいなもんか。 高校の時に、隣の席の女子に友達との写メ撮ってと言われて、つい舞い上がりすぎてついローアングルで撮影したらいつの間にクラスの女子みんなが俺を見下してたんだ… 馬鹿どもめ! お前達が見下している限り俺はローアングルでお前達を見上げてもいいというご褒美を与えられ続けているという事だ!
「ってなるとフララの小型アンデッドを使って街中探す訳にはいかないか…」
「それじゃあ私が輝人の核を埋められた魔物を探すよ、私の共鳴なら見つけれると思う」
レデリが手を上げながら協力を申し出た
「闇雲に探しても仕方ないしそれがいいか…」
野生のコスプレイヤーより同人誌即売会のコスプレイヤーっていうしな。 え?言わない?
「身動き取りやすいように少人数のがいいな、俺とルー、エメとレデリで行くか、必要になったらフララとルチルも【眷属召喚】で呼ぶよ!」
「わかったわ」「了解なのじゃ」
2人は納得してくれた様だ
「ちょっと待って私は?」
「お前なぁ、密入国するんだぞ?」
俺は思わず眉間に皺を寄せてしまった
「わかってるわよ、でも自分で確認しないとスッキリしないわ! イタッ! 何よこれ!」
ふふふついに引っかかったな、いつものテーブルにドンと手を置き立ち上がる癖を止めさせるく為に、樹魔法で棘を作っておいたのさ! ざまぁ!
「あんたの仕業でしょ?!」
「お、俺じゃねぇーし!」
「…ショウ。私の代わりにストリンデ連れてって。」
ナイス助け船!
「ルーがそう言うなら… 魔術使えないかもしれないけど大丈夫か?」
俺は渋々納得する
「当たり前じゃない、魔術が使えない紅血砂漠の聖女よ?」
「そういやリンデは歩いて砂漠を抜けれるような脳筋聖女だったね」
「…何急に褒めてるのよ、な、何もでないんだからね! あ、代わりにヒエル様の素晴らしい教えを…」
リンデは褒められたのが嬉しいのか顔を赤くしながら誤魔化すように聖書を取り出そうとした
褒めてないんだけど…
「結構です…」
「ふん! いつか神罰が落とされても知らないから!」
リンデは顔をプイっと背けた
「はいはい、それは怖いこって。 じゃあ今日は休んで明日出発にしょう!」
その後はみな思い思いに時間を過ごして一日が終わった
◇ ◇ ◇ ◇
「すっかり秋も終わったなぁ…」
夜のうちに雨が降り、窓から見る中庭の樹々の葉々は役目を終えて地へと返っていた
「もう冬だね… お兄ちゃん、エメとの魔法も冬バージョンになるからね」
「了解」
エメがすっと俺の中に入っていく、樹魔法は基本的にその季節に付随する魔法だ、エメが中に居れば自然と何が出来るかは把握できる
「それじゃあレデリ、リンデ、行くよ」
「はいよー」「準備出来てるわ!」
レデリもリンデもいつでも行けるみたいだ
「…気を付けて。」
「何かあればすぐに呼びなさい」
「気を付けて行ってらっしゃいませ」
「わらわに留守は任せるのじゃ!」
このメンツなら残しても何も心配がない
「じゃあ留守の間頼むね、行ってきます!」
そうして俺達はダルシエルのすぐそばの砂漠まで転移した
「それでどうやって入るつもりなの?」
「とりあえず【イリュージョン】」
「何も変わらないよ?」
「周りの人達には別人に見えてるよ」
「レデリは金髪の美女に、リンデは…赤毛のゴリラに」
うほ
「何でゴリラなのよ?!」
リンデが眉間に皺を寄せいつもの様に顔を近づけて抗議してくる。
美人なんだから気安く顔を近づけて来るな!
『お兄ちゃん、流石にゴリラゴリラゴリラ位がいいんじゃない?』
それただの学名で結局ゴリラだからね?!
「わかったわかったから! もう一回やるよ、脳筋のイメージが強すぎてゴリラが…【イリュージョン】」
俺はリンデの肩を両手でつかみ近づいた体を押し返した
「で、どうなったの?」
「赤毛の美人になったよ」
「元の私とどっちが美人?」
「…元のリンデ」
「へぇ美人って認識してたんだ」
リンデがニヤニヤした顔を見ていた
うぜー
「ゴリラの中ではトップクラスだと思ってるよ」
「何ですって?!」
パンパン
「はいはい、今日はフララ姉さんが居ないから私がこれやらないといけないのか…」
「「何で面倒くさそうなんだよ!」なのよ!」
「…そういう所でしょ…」
レデリがやれやれとため息をついた
「で次は?」
リンデの機嫌はまだ戻っていないが先に進める
「【ステルス】【フライ】」
俺は二人をガバっと両脇で抱え空へ飛び出した
「兄さんどこ触ってるの? 私達まだ一緒にお風呂に入っただけなのに…」
「ちょ、ちょっとあんた! そこは… ぁん… だめぇ…」
何で俺が脇腹触っただけで変質者みたいになってんだよ、つかリンデ、お前脇腹性感帯かよ、こんな形で知りたくなかったよ…
俺は静かに人気のない場所に着地し、二人を下ろした
「兄さんのエッチ… こんな所で妹になんてことするの?」
「あ、あんたねぇ! 聖女を汚すなんて神を冒涜してるのと一緒よ?!」
君たちの脇腹はあれかい? 出し入れできる所なのかい?
「お前らなぁ、悪ふざけはいい加減にして真面目にやれ!」
「はぁ今後の付き合いが不安だなー」
「私は聖女… まだ汚されてない… 私は聖女」
レデリが胸を両手で抱え、リンデはショックなのか四つん這いだ
俺が物陰からひょいっと頭をだし周りの様子を伺う
「にしても何か不気味だなこの街、白過ぎだろ。 街全体が病院みたいな雰囲気だな」
「そりゃそうよ、年がら年中重症軽傷問わずここへ助けを求めてくるのよ?」
「お前も四つん這いになる位苦しいなら心の病を見て貰えよ」
「誰のせいだと思ってるのよ!」
「俺のせいなの? じゃあ責任取らないといけないの?」
「ば、バカ言わないで、誰があんたみたいな女誑しに!」
否定したいが現状があれなので否定できない…
「私はヒエル様のような高尚な方と結婚するの」
キラキラと恋する目で膝を付け祈りを捧げ始めた
「はいはい、そのあたりにしてくださいねー。 兄さんあっちの方から核の気配を感じるよ」
レデリは塔の方を指していた
「流石俺のレデリ、脳筋ゴリラ聖女と違って優秀だ」
「俺のレデリっていうのは非常に不服だけど恋人だから我慢するとして」
…この子は本当に俺が好きなのだろうか? 相変わらずゴミを見るような冷たい視線だ。
「早くいくよ、遊びに来たんじゃないんだから」
「「はいすみません…」」
俺達はシュンとしながらも、塔の方に向かいながら街を探索する事にした。
情報を集める為にも【ステルス】は解いてある
「何か思ったより静かな街だな」
「人が余りいないように感じるね、ストリンデさんいつもこんな感じなの?」
「いえ、そんな事ないわ、もっと人も多くて賑やかなんだけど…」
リンデも困惑してるようだ
「おねーさまー!!!」
と前から大きな声を出しながらこちらに走ってくるシスター服の様な物を着た少女が見えて来た
「何だあれ?」
「う、あれはまずいわね…」
リンデあからさまに嫌そうな顔をして俺の後ろに隠れるように下がった
「この辺りでお姉様の気配…そして匂いが… クンカクンカ」
少女が鼻をピクピクさせながらリンデの近くまで来る
ピト
「お姉様! あれ? でも見た目が…」
「こっちへ来なさい!」
リンデが少女を連れて建物の隙間へと入った
「はぁ…やっぱりお姉様だったのですね、いくら姿を変えても私にはすぐわかりますよ!」
少女は胸元に抱き着いて、顔を赤らめニヤニヤしながら顔をぐりぐりと押し付けていた
「はぁあんたって子は…」
リンデが疲れた様に溜息を吐いた
「リンデこの子は?」
「むぅ。 そちらこそ誰ですか?」
白いシスター服の様な物を着た少女はリンデに抱き着いたままこちらを振り向き、頬を膨らませた
「僕は…」
「やっぱり聞きたくありません!ベー」
少女が目をギュッと瞑り舌を出した
「何でだよ!」
「だってあの綺麗で聡明で慈悲深くてその優しい笑顔はまるで人を優しく照らす太陽の様に美しかったお姉様を、こんな砂漠を歩いて超えてしまう様なゴリラに変えたのは貴方なんでしょ?!」
「そのゴリラ要素は元々のもんだ! 俺のせいにするな!」
「そんなまさか! お姉様はゴリラゴリラゴリラだったのですか?!」
少女は両手で頬を包み、表情は青天の霹靂といった様子だった
ドン ドン
二人の頭に鉄拳が落ちる
「いい加減にしなさい」
「「はい…」」
「はぁ…」
レデリのため息が虚しく当たりに響いた
「この子は私と同じ修道院に居たモルガーナよ、まぁ妹みたいなもんね」
「はい、皆にはモルガって呼ばれてます、でもお姉様! 妹なんてとんでもない。 私は妻になるのです!」
腰に手を当てドヤ顔だ
「はぁ… 女同士じゃ結婚できないでしょ… いつまで言ってるの…」
「お姉様だって昔は約束してくれました!」
「モルガそういうのって子供の時の約束で…」
「お姉様を誑かしたゴミカス野郎の貴方には名前で呼んでほしくないです」
俺が優しく屈んで話かけると、モルガが冷たく言い放ち顔をプイっと背けた
「兄さんがゴミカスっていうのには全面的に同意するけど、誑かしてはないよ」
ゴミカスの恋人の貴方はなんなんですかね?!
「兄さん?! こんな冴えない兄の妹がこんなに可愛いはずがない!」
俺は魔法かけても冴えないのね… 冴えない彼氏の育て方を誰か教えてくれ…
「ねぇモルガ、最近ダルシエルで何か変わった事あった?」
らちが明かないと思ったのか流れをぶった切って会話に割って入って来た
「んー…特には思いつきませんねぇ…」
『お兄ちゃん、嘘かもしれないよ、何でも喋らせる寄生型の植物に…』
『止めろ止めろ! 物騒すぎるだろ!』
『試してみたかったのに…』
なんて危ない大精霊だ!
「しいていうなら、入信者さんが最近やたら多い事ですかね? それにその入信者さん達も規則通り洗礼を受けるんですけど、なんかみんな大人しいというか元気ないというか…」
「洗礼… それって大司祭様が行ってるのよね?」
大司祭って事はドウガさん、リンデのお父さんだよな
「はい、その通りです。」
「洗礼の間で行なってるの?」
「いえ最近は人が増えすぎたとかであそこの塔の中でやってますよ」
レデリが指さした方角とも合うか…
俺がレデリとリンデの顔を見ると二人共頷いた
するとリンデがそっと顔を俺の耳に近づけて口を開く
「あそこは許可なく入れないし、気配察知に優れた者も多いから貴方の魔法でも難しいわ」
「むぅー 私を差し置いてお姉様と内緒話ですか?」
モルガは涙目になってむくれていた。 よくよく見ると可愛いな、14歳とかそのあたりかな?
するとリンデがポンと手を叩いた
「ねぇモルガ、私を新しい入信者としてあそこに連れて行ってくれない? モルガなら問題ないよね?」
「お姉様の頼みなら別にいいですけど、それなら元の姿で入ればいいのでは?」
その通りだ…
「違うのよ、実はね大司祭様にサプライズがあるの、明日は二人の結婚記念日だからね、色々リサーチしたくて姿を変えて大司祭様に近づこうってわけ」
平然と嘘つけるタイプだなリンデは、全く言い淀まないしもっともらしい、やっぱりこいつ全然聖女じゃねー 実はただのコスプレイヤーじゃないのか?
「流石お姉様! 家族の事を思うがあまり変装して密入国迄して大司祭様に近づこうっていうんですね?」
?!
俺は思わず【身体強化】して背中に亜空間を広げ刀を握っていた
「どうしたんですかショウさん? ただの冗談じゃないですかー」
屈託なくモルガは笑っていたが、さっきの漏れた魔素の流れは明らかに攻撃的だった… いくら大好きだからと言って魔法にかけられたリンデを見抜けるのか? それに…なんだ?何が引っかかってる?
「ちょっと背中がかゆくなっただけだよ、それで頼めるの?」
もしかしたら罠の可能性もあるが、最悪転移で逃げればいい。 転移できる事は流石に知らないはずだ
「勿論お姉様の為ですからね! 行きましょうお姉様! あ、腕組みますからね!」
ニコニコとリンデと腕を組み楽しそうに話す二人は本当に仲のいい姉妹のようだ
「レデリ、あの子信用できると思うか?」
「ストリンデさんの事大好きみたいだし怪しい所あった?」
レデリは何も感じなかったみたいだ… 俺の思い過ごしかな?
そうして俺達はモルガに連れられ、新しい入信者として塔の中に入る事が出来た
入ってからレデリの様子がおかしい、拳を強く握りプルプルと肩を震わせまるで怒りを抑えているような様子だ
「どうした?」
「兄さん… ここ… 物凄い数の輝人の核がある。 何千何万数えられない」
クソ、一番嫌な予想が当たったか… そんな場所にいるのは辛いよな… そっとレデリを抱きしめた
「どうしたんですか?」
モルガが様子がおかしい俺達に問いかけて来た
「ちょっと具合がわるくなっちゃっただけだよ」
レデリは苦笑いでモルガに言った
「ほら俺の言った通りだっただろ? 嫌な予想は大体当たるんだよ、朝食べたあれは古いから当たるかもって言っただろ」
ストリンデは俺のその言葉でハっとしたようだ。 レデリは今日朝ごはんを抜いていた
「すみませーん!」
「どうしました?」
モルガが声を出すと兵士が駆けよってきた
「この方が具合悪いらしいので、医務室に連れてってもらえませんか?」
「わかりました、それではこちらへ」
俺達は兵士に後に続くが…
「お姉様はこっちですよ、大司祭様はこちらなので」
モルガがリンデの腕を引いた
「…わかったわ、じゃあまた後でね」
「了解」
「ストリンデさんまた後で」
俺達はここで別れた。
今思えば彼女に取ってここが最後の分岐点だったのだろう
何故なら彼女の向かう先に待つのは…
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『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
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大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
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ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
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カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ピコーン!と技を閃く無双の旅!〜クラス転移したけど、システム的に俺だけハブられてます〜
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俺、多摩川奥野はクラスでも浮いた存在でボッチである。
クソなクラスごと異世界へ召喚されて早々に、俺だけステータス制じゃないことが発覚。
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45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
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2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
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スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
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小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
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目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
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記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
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ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
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そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
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ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
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『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
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