3 / 4
かりそめの天使
3
しおりを挟む
さて、残された狐塚のまえで武宮さんは一人張り切りだした。準備しますね、と浴場に戻ったと思ったら戸口に顔だけだして訊いてきた。
「もしかして寒い?」
狐塚がうなずくと、風邪ひいたらたいへんだ、と武宮さんは言った。
どうするのかと見ているうちに、脱衣所には湯のはいった風呂おけと清潔な白いタオルが二枚、そして、石鹸が用意された。一つひとつの動作に無駄がなくて、狐塚がこれまでバイトしてきたどの従業員よりもきびきびしていた。
「下脱ぎましょうか」と武宮さんは言った。
狐塚は、武宮さんの仕事ぶりに圧倒されたのと、見惚れたのとで口ごもった返事は殆んど弛緩しきっていた。
「ん? どうしたの」と正面きって見据えられた狐塚は顔が赤くなった。「じゃあ、あたしが脱がしていいですか」
狐塚は、武宮さんの目が見られなかった。諦めたようにうなずく狐塚を見て、はーい、と武宮さんが言った。
武宮さんは白い長靴を脱ぐと、その場にしゃがみこんで正座した。
入院着はぺらっぺらの布地だったから簡単にふくらはぎまで下ろされた。母親が子どもの着替えをさせるようなものであった。
武宮さんは、ひざのうえに狐塚の足を片方ずつ載せて入院着を足首から抜いた。武宮さんはその入院着を手際よく畳んでくれた。母親いがいにそういったことをしてもらったのは狐塚にとってこれがはじめてだった。
狐塚は、はじめて武宮さんを意識した。考えてみれば、入院いらい一番口やかましかった武宮さんではあったが、事あるごとに狐塚に話しかけてくれたのもこの武宮さんだった。
白衣から伸びた腕は白磁のように輝いているみたいだった。エキゾチックな奥二重に、どこか眠そうな目尻には、化粧をしていないせいか少女の面影さえあった。そして、自立心のつよそうな鼻梁には色っぽいものがある。
狐塚は妙な感覚に囚われた。なぜ、今まで武宮さんの魅力に気がつかなかったのだろう、と。そればかりか、これまで邪険にあつかって避けてきたというのだから不思議だった。こうして武宮さんの顔を見下ろしていると、武宮さんとはじめて会ったときの顔が思いだせない。というのは、武宮さんがまるで別人のように思えてきたからだ。狐塚の胸のうちで急に羞恥心が高まっていった。
「……ちょっと待ってください」と狐塚は言った。
十五日も洗っていない粗末なものを見せる訳にはいかなかった。今だってパンツと武宮さんの顔との距離はちかい。匂いだってとどいているはずだった。
武宮さんは、パンツのゴムから指を離した。
「……十二日も風呂はいってないんですよ……汚いですよ」
恥かしさのあまり、三日分については嘘をついた。
「汚れているから綺麗にするんでしょ」と武宮さんは言った。
ごもっとも……だが、そうはいかない。男の沽券にかかわる問題なのだ。
「……だめです。かんべんしてください」
「そうゆう言い方って。なんかあたしがわるいことしてるみたいじゃない」と言って、武宮さんは再びゴムに指をかけた。
狐塚がその指を払った。
「痛い……」と武宮さんがきつく睨んできた。
「すみません……そういうつもりじゃ」
武宮さんは怒っていた。狐塚が委縮したすきにパンツは一気に下ろされた。
狐塚の粗末な陰部が露呈した。それでも男としてのプライドが隠すことを拒否させた。
武宮さんは一瞥こそしたが、つとめて顔色をかえないようにしているようであった。
外気にふれたあそこがこそばゆかった。思わず力をこめた。男根がピクリとした。やばい……。しかし、焦ればそれだけ血流が激しくなっていく。
武宮さんは、入院着を脱がしてくれるときにそうしてくれたように、ひざのうえに狐塚の足を載せて、片方ずつパンツを抜き取ってくれた。それを丁寧に畳み、武宮さんは狐塚のあそこに顔を戻した。
すると、目に見えて男根の角度が上がっていった。武宮さんはそれを見た。狐塚にはそのたった数秒が永遠のようだったし、スローモーションのようでもあった。
男根が限界まで吊り上がったところで力がはいった。武宮さんの目と鼻の先で肉竿が二度三度上下した。そして、狐塚が懸念していたとおり、包皮を半分ほど被った鬼頭には言い訳しようがないぐらいティッシュのカスが付いていたし、香ばしい匂いが鼻先まで立ちのぼってきた。
武宮さんの顔が赤くなった。
「……じゃあ、拭きますね」
肉竿が上下に跳ねた。わざとではなかった。だが、これではまるであそこで返事をしたみたいであった。
武宮さんがつとめて表情をかえないようにしているのがわかるせいで、鬼頭に次々と欲望があつまってきてしまう。失礼します、と武宮さんに手を添えられた肉竿がビクリとした。
「冷たくないですか」と武宮さんは言って、お湯で温まったタオルで男根を拭いてくれた。
狐塚は弛緩しきった声で返事した。
狐塚のかぐろい陰部と、白磁のような武宮さんの手が対照的だった。
「汚れ溜まってるとこは念入りにしないとね」と武宮さんは言った。
鬼頭にタオルがふれた。狐塚は尻にえくぼができるぐらいビクッとなった。
「痛かったですか」と武宮さんが狐塚を見あげた。
狐塚は慌てて首を横に振った。
ティッシュのカスは頑固にこびり付いていて、何度タオルで拭いても取れなかった。武宮さんがお湯で濡らした指でこすってもまだ取れない。そんなことをやられているうちに、狐塚の腰が段々とひけてきた。武宮さんは恥かしそうに唇をかんでいた。
「痛くない? だいじょうぶ?」と狐塚を励ましながら、ほそい指先が鬼頭をこすった。
武宮さんはしだいに夢中になって、顔が肉竿にふれそうなぐらい近づいた。武宮さんの洟息というのが鬼頭にふれていた。狐塚はたまらなくなってしまい、力がはいるたびに武宮さんのてのひらの中で肉竿が上下に跳ねた。
「そうだ」と武宮さんは言った。
鬼頭にふれていた指を洗いもせずにひと舐めし、唾をつけてティッシュを引っ掻いたのだった。ぬるりとした感触に、狐塚の腰はさらにひけた。
狐塚は目を閉じた。泣きべそをかきたいぐらいギンギンだった。
「……まだですか」と狐塚はやっとの思いで言った。
「とれましたよ」と武宮さんからかえってきた。
……だったらどうして。
唾でぬめった指腹は鬼頭をなでて終らなかった。やがて、そのぬるぬるは鬼頭の先で広がっていった。まずい……我慢汁が出てきた、と狐塚は思った。
「もしかして寒い?」
狐塚がうなずくと、風邪ひいたらたいへんだ、と武宮さんは言った。
どうするのかと見ているうちに、脱衣所には湯のはいった風呂おけと清潔な白いタオルが二枚、そして、石鹸が用意された。一つひとつの動作に無駄がなくて、狐塚がこれまでバイトしてきたどの従業員よりもきびきびしていた。
「下脱ぎましょうか」と武宮さんは言った。
狐塚は、武宮さんの仕事ぶりに圧倒されたのと、見惚れたのとで口ごもった返事は殆んど弛緩しきっていた。
「ん? どうしたの」と正面きって見据えられた狐塚は顔が赤くなった。「じゃあ、あたしが脱がしていいですか」
狐塚は、武宮さんの目が見られなかった。諦めたようにうなずく狐塚を見て、はーい、と武宮さんが言った。
武宮さんは白い長靴を脱ぐと、その場にしゃがみこんで正座した。
入院着はぺらっぺらの布地だったから簡単にふくらはぎまで下ろされた。母親が子どもの着替えをさせるようなものであった。
武宮さんは、ひざのうえに狐塚の足を片方ずつ載せて入院着を足首から抜いた。武宮さんはその入院着を手際よく畳んでくれた。母親いがいにそういったことをしてもらったのは狐塚にとってこれがはじめてだった。
狐塚は、はじめて武宮さんを意識した。考えてみれば、入院いらい一番口やかましかった武宮さんではあったが、事あるごとに狐塚に話しかけてくれたのもこの武宮さんだった。
白衣から伸びた腕は白磁のように輝いているみたいだった。エキゾチックな奥二重に、どこか眠そうな目尻には、化粧をしていないせいか少女の面影さえあった。そして、自立心のつよそうな鼻梁には色っぽいものがある。
狐塚は妙な感覚に囚われた。なぜ、今まで武宮さんの魅力に気がつかなかったのだろう、と。そればかりか、これまで邪険にあつかって避けてきたというのだから不思議だった。こうして武宮さんの顔を見下ろしていると、武宮さんとはじめて会ったときの顔が思いだせない。というのは、武宮さんがまるで別人のように思えてきたからだ。狐塚の胸のうちで急に羞恥心が高まっていった。
「……ちょっと待ってください」と狐塚は言った。
十五日も洗っていない粗末なものを見せる訳にはいかなかった。今だってパンツと武宮さんの顔との距離はちかい。匂いだってとどいているはずだった。
武宮さんは、パンツのゴムから指を離した。
「……十二日も風呂はいってないんですよ……汚いですよ」
恥かしさのあまり、三日分については嘘をついた。
「汚れているから綺麗にするんでしょ」と武宮さんは言った。
ごもっとも……だが、そうはいかない。男の沽券にかかわる問題なのだ。
「……だめです。かんべんしてください」
「そうゆう言い方って。なんかあたしがわるいことしてるみたいじゃない」と言って、武宮さんは再びゴムに指をかけた。
狐塚がその指を払った。
「痛い……」と武宮さんがきつく睨んできた。
「すみません……そういうつもりじゃ」
武宮さんは怒っていた。狐塚が委縮したすきにパンツは一気に下ろされた。
狐塚の粗末な陰部が露呈した。それでも男としてのプライドが隠すことを拒否させた。
武宮さんは一瞥こそしたが、つとめて顔色をかえないようにしているようであった。
外気にふれたあそこがこそばゆかった。思わず力をこめた。男根がピクリとした。やばい……。しかし、焦ればそれだけ血流が激しくなっていく。
武宮さんは、入院着を脱がしてくれるときにそうしてくれたように、ひざのうえに狐塚の足を載せて、片方ずつパンツを抜き取ってくれた。それを丁寧に畳み、武宮さんは狐塚のあそこに顔を戻した。
すると、目に見えて男根の角度が上がっていった。武宮さんはそれを見た。狐塚にはそのたった数秒が永遠のようだったし、スローモーションのようでもあった。
男根が限界まで吊り上がったところで力がはいった。武宮さんの目と鼻の先で肉竿が二度三度上下した。そして、狐塚が懸念していたとおり、包皮を半分ほど被った鬼頭には言い訳しようがないぐらいティッシュのカスが付いていたし、香ばしい匂いが鼻先まで立ちのぼってきた。
武宮さんの顔が赤くなった。
「……じゃあ、拭きますね」
肉竿が上下に跳ねた。わざとではなかった。だが、これではまるであそこで返事をしたみたいであった。
武宮さんがつとめて表情をかえないようにしているのがわかるせいで、鬼頭に次々と欲望があつまってきてしまう。失礼します、と武宮さんに手を添えられた肉竿がビクリとした。
「冷たくないですか」と武宮さんは言って、お湯で温まったタオルで男根を拭いてくれた。
狐塚は弛緩しきった声で返事した。
狐塚のかぐろい陰部と、白磁のような武宮さんの手が対照的だった。
「汚れ溜まってるとこは念入りにしないとね」と武宮さんは言った。
鬼頭にタオルがふれた。狐塚は尻にえくぼができるぐらいビクッとなった。
「痛かったですか」と武宮さんが狐塚を見あげた。
狐塚は慌てて首を横に振った。
ティッシュのカスは頑固にこびり付いていて、何度タオルで拭いても取れなかった。武宮さんがお湯で濡らした指でこすってもまだ取れない。そんなことをやられているうちに、狐塚の腰が段々とひけてきた。武宮さんは恥かしそうに唇をかんでいた。
「痛くない? だいじょうぶ?」と狐塚を励ましながら、ほそい指先が鬼頭をこすった。
武宮さんはしだいに夢中になって、顔が肉竿にふれそうなぐらい近づいた。武宮さんの洟息というのが鬼頭にふれていた。狐塚はたまらなくなってしまい、力がはいるたびに武宮さんのてのひらの中で肉竿が上下に跳ねた。
「そうだ」と武宮さんは言った。
鬼頭にふれていた指を洗いもせずにひと舐めし、唾をつけてティッシュを引っ掻いたのだった。ぬるりとした感触に、狐塚の腰はさらにひけた。
狐塚は目を閉じた。泣きべそをかきたいぐらいギンギンだった。
「……まだですか」と狐塚はやっとの思いで言った。
「とれましたよ」と武宮さんからかえってきた。
……だったらどうして。
唾でぬめった指腹は鬼頭をなでて終らなかった。やがて、そのぬるぬるは鬼頭の先で広がっていった。まずい……我慢汁が出てきた、と狐塚は思った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
いまそこにある媚肉
島村春穂
現代文学
絶対熟女宣言!胎を揺さぶる衝撃!これが継母の本気だ!憧れのAランク美熟女を知りたい。継母裏のウラの裏。ぜんぶ見せます!
「……もういいでしょ。気が済んだでしょ……ねえ」
爆乳の色仕掛け!?その肉房のど迫力。貫禄のかぐろい乳首。熟れた段腹。わがままなデカ尻。壺締めの奥義。一度味わっただけで、その味に誰もがイチコロ!これが継母のとっておき!
「いまここにある媚肉」好評連載中!!!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
FUCKER friendS
島村春穂
現代文学
公園でバスケをしていた少女が、高校生に目をつけられた。公衆トイレに連れこまれ、裸に剥かれた。真っ黒に日焼けした裸は、跳ねあがるほど敏感だった。執拗な愛撫をうけるうちに、ツルペタの胸がいやらしく張っていく。後ろから、そして前から、欲望のまま華奢な体を姦されつづけ、イククゥゥゥ!自我が崩壊!!目覚めてしまう女の悦び……。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
凌辱カキコ
島村春穂
現代文学
藤森蒼甫が初めて行った人間ドック。検診センター職員との色事やトラブル。そして、夜半の市営球場。公衆トイレで一人待たされる荒川看護師。
その時ドアがそっと開いた。戻ってきたのはまるで面識のない若い男だった。がしかし、これは蒼甫が仕掛けたほんの序章にすぎなかった。
※下世話なエロスを愛する親愛なるド変態さんへ。一生に一度やってみたかったこと。そうだ!凌辱を疑似体験しよう!ド変態通A氏は語る。「感動で我慢汁がこぼれました!」ヨシ!要チェックだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる