私の担任は元世界的スター

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1年記念日

夏の社会科見学

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夏休みも中盤。私は今、葵達と共にアルバイト先へ社会科見学に来ている。レオは最後の最後まで教師として顔を出すかレオとして顔を出すか悩んでいたが、ミアの撮影現場と言う事もあってレオとして職場へ向かう事になる。


「すっご!撮影現場とかマジで来れんのかよ!」
「莉緒と綾城に感謝だね!」
「お前ら、無闇に触んじゃねぇぞ」
「知ってるっコレ1台で何十万とかするんでしょ?怖っ!」
「本物の撮影カメラとか絶対ぇ触れねぇよ」


葵と健人が現場の雰囲気に圧巻されている中、隼人は目を輝かせミアや他の出演者達を眺めていた。


「俺、まさか本物のミアさんに会えるとか思って無かった…」
「隼人、レオはもうイイの?」
「いや兄妹揃ってるのをこの目で見るから激アツなんだって」
「ふーん?」


撮影が休憩に入ると笑顔でこちらに駆け寄ってくるミア。私を見るなり「莉緒~♡」と飲み物を手に取るより先に抱き締めてくる。


「ミ、ミアさんお疲れ様です」
「あぁもう!またさん付け!」
「うっ…」
「兄さんからも莉緒に言ってやってよ」
「莉緒は元々人付き合い苦手だからな」
「兄さんは莉緒を甘やかしてばっかね」
「んな事ねぇだろ」


レオが少し困った顔をすると、近場に居たスタッフはレオとミアのセットを見て驚いた様子を見せた。


「あれ?レオさん、ミアさんと一緒なの珍しいですね!連絡取ってなかったのでは?」
「まぁな」
「私は莉緒ちゃんが可愛いから、仕方なく兄と話してるだけよ」
「とか言って1番心配してたじゃないっすか」
「うるさいわねっ休憩終わりよ!」
「えっもう!?」


耳まで真っ赤になるミアは私から離れ、レオの顔も見ずそそくさと撮影を始めてしまう。そんな素直になれないミアに少し親近感を抱いた私は、出会った頃よりミアを好きになっていた。


「おい、2カメ位置違ぇだろ3ミリ右」
「っはい!」
「レオさん、こっちのマイク見てもらって良いですか?ミアさんの声が少し入りずらくて」
「見せろ…あぁここはこうして…」


レオの働きぶりに思わず言葉を失う葵達。学校での彼しか知らない彼女らにとって、まさにギャップを感じているのだろう。


「す、すげぇ…」
「学校で怠けててくれて良かったね…」
「これを学校でやられたら…」
「うげぇ…それだけは嫌」


レオの仕事ぶりに苦笑を浮かべていると、遅れてきた監督がレオの隣へ行き仲良く会話を始める。


「ミアさんの撮影に顔を出すの珍しいね」
「ども」
「レオが居ると現場が整ってて仕事もやりやすいから助かるよ。本業にしないのが勿体無い」
「別に俺が映るとしたらの最適ポジを言ってるだけだけどな」
「映る気は?」
「ねぇな」


相変わらずタメ口で話すレオ。そんな彼に健人は再び苦笑をして葵に「綾城って怖いもの知らずかよ」と伝える。


「莉緒、綾城って監督さんと仲良しなの?」
「いやレオは誰にもあぁだよ」
「ほへぇぇ」



そんなこんなで見学を終えると、外のラウンジでレオに飲み物を奢ってもらい休憩する事にした私達。そこへ撮影を終えたミアが挨拶しに来てくれた。


「お疲れ様、見学はどうだった?」
「スゲェ色々勉強になりました!綾城も学校とは全然違うし」
「目玉幾つあるのって聞きたくなったよな」
「うんうん」
「兄さん、学校じゃ随分と怠けてるのね」
「そうなんすよ!サボり放題!」
「ちゃんと勉強は見てやってんだろ、テスト点数ゼロにすんぞ」
「ほら、クソ教師」
「莉緒はそれしか言わねぇな」
「事実だから」


健人と葵が私の言葉にケラケラ笑ってると、レオとミアも視線を合わせ笑った気がした。ほんの少しだけ距離が縮まった気がした私は、今日の社会見学に満足して葵達と家に帰ったのだった









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