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第6話 女の戦い in 大浴場
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この国に来てもう二度目の夜。
私はこれまただだっぴろい大浴場のお湯に浸かりながら一息ついていた。
ルリアには一人で入れるからと何とか説得して外で待って貰っている。
どうしよう……すっごく退屈だ。
食べ物は美味しいしふかふかの布団は素晴らしいのだが何にもやることがない。
こんなに暇だなんて他のお妃候補のたちは一体何をして時間を潰しているのだろうか………?
故郷は良かったな……。遊ぶところがたくさんあって……。
おっといけない。ホームシックになってしまう。雑念を振り払うようにばしゃっとお湯で顔を洗う。
風呂からあがったら自慢の耳と尻尾のブラッシングをしなければな。そんなことを思いながら湯船からあがろうとすると、きゃああああと甲高い悲鳴が上がった。
「ん? 」
「そんな……野犬の後にお風呂に入ることになるなんて……」
声の主は……誰だ?
小柄でまだ若い。くるくるとした瞳は子犬みたいによく動く。
聞いたことがある声だがこんな娘いたかな。
「誰……? 」
「は? 忘れたのですか、会食のときに貴女に食べられそうになった……」
私はああと手を打つ。
「ツインテールちゃんね」
髪をほどくと誰だか分からないな。
「変な風に呼ばないで下さる? 私にはミリーナ=ツヴァイという高尚な名前が……」
「はぁ、そうですか……。ミリーナ、こんばんは」
「こんばんは……ってそういうことじゃないですの。私、貴女の後の湯船なんか汚らわしくて入れませんわ。どうしてくれますの? 」
どうしてくれますの? と言われてもねえ……。
「入らなきゃ良いんじゃない? ミリーナ入らないならもう栓抜いて良い? 」
「そ、そ、そういうことじゃなくて!!! 謝罪の一つや二つ、頂いても良いんじゃなくて? ……って話してる途中で栓を抜かないで! 」
ゴゴゴゴと激しい音を立ててお湯が抜けていく。え、もう少し早く言ってよ……もうお湯抜いちゃったじゃん。
「あ…… 」
呆然と渦を見つめるミリーナ。もう声も出ないようだ。
「あ、ほんとごめん。今日は湯船に入らないのかと……」
ぷるぷると小刻みに震え出すミリーナ。まずい、泣かせちゃっただろうか。
「こんな女をカイル様が選ぶなんて……」
「へ? 」
涙目のミリーナがびしっと私を指差した。
「貴女、カイル様に気に入られる為にどんな手を使ったの? まさかそのだらしない体を使ったんじゃないでしょうね」
「だらしない体? あ、良いもの食べてゴロゴロしてるから太ったかも」
私は自分の体とミリーナの体を見比べる。
「ふん、獣人風情、体を売りでもしなきゃここまでこれないんでしょうけど」
体を売る……?
よく分からないけど臓器売買ということだろうか。
そんなこと思い付くなんて人間は恐ろしい。
それはさておき……。
私はつい思ったことを口に出してしまった。
「ミリーナの体は薄っぺらいのねえ。狩りに行くときに邪魔にならなそうだし身軽そうで羨ましい」
「う、う、う、薄っぺらい!? 」
「うん、私なんて胸の脂肪が邪魔してちょっと走るとちょっと痛いんだよね……」
ミリーナは顔を真っ赤にすると、無言のまま走り去ってしまった。
あれ? お風呂に入りに来たんじゃないのだろうか?
「何事ですか!? 今ミリーナ様が酷く怒った様子で出ていきましたが」
慌てた様子のルリアが飛び込んできた。
賛辞を贈ったつもりだったのにミリーナを怒らせてしまったらしい。
「うーん、ルリア。人間と仲良くするって難しいのね」
私は一人考え込んでしまった。
私はこれまただだっぴろい大浴場のお湯に浸かりながら一息ついていた。
ルリアには一人で入れるからと何とか説得して外で待って貰っている。
どうしよう……すっごく退屈だ。
食べ物は美味しいしふかふかの布団は素晴らしいのだが何にもやることがない。
こんなに暇だなんて他のお妃候補のたちは一体何をして時間を潰しているのだろうか………?
故郷は良かったな……。遊ぶところがたくさんあって……。
おっといけない。ホームシックになってしまう。雑念を振り払うようにばしゃっとお湯で顔を洗う。
風呂からあがったら自慢の耳と尻尾のブラッシングをしなければな。そんなことを思いながら湯船からあがろうとすると、きゃああああと甲高い悲鳴が上がった。
「ん? 」
「そんな……野犬の後にお風呂に入ることになるなんて……」
声の主は……誰だ?
小柄でまだ若い。くるくるとした瞳は子犬みたいによく動く。
聞いたことがある声だがこんな娘いたかな。
「誰……? 」
「は? 忘れたのですか、会食のときに貴女に食べられそうになった……」
私はああと手を打つ。
「ツインテールちゃんね」
髪をほどくと誰だか分からないな。
「変な風に呼ばないで下さる? 私にはミリーナ=ツヴァイという高尚な名前が……」
「はぁ、そうですか……。ミリーナ、こんばんは」
「こんばんは……ってそういうことじゃないですの。私、貴女の後の湯船なんか汚らわしくて入れませんわ。どうしてくれますの? 」
どうしてくれますの? と言われてもねえ……。
「入らなきゃ良いんじゃない? ミリーナ入らないならもう栓抜いて良い? 」
「そ、そ、そういうことじゃなくて!!! 謝罪の一つや二つ、頂いても良いんじゃなくて? ……って話してる途中で栓を抜かないで! 」
ゴゴゴゴと激しい音を立ててお湯が抜けていく。え、もう少し早く言ってよ……もうお湯抜いちゃったじゃん。
「あ…… 」
呆然と渦を見つめるミリーナ。もう声も出ないようだ。
「あ、ほんとごめん。今日は湯船に入らないのかと……」
ぷるぷると小刻みに震え出すミリーナ。まずい、泣かせちゃっただろうか。
「こんな女をカイル様が選ぶなんて……」
「へ? 」
涙目のミリーナがびしっと私を指差した。
「貴女、カイル様に気に入られる為にどんな手を使ったの? まさかそのだらしない体を使ったんじゃないでしょうね」
「だらしない体? あ、良いもの食べてゴロゴロしてるから太ったかも」
私は自分の体とミリーナの体を見比べる。
「ふん、獣人風情、体を売りでもしなきゃここまでこれないんでしょうけど」
体を売る……?
よく分からないけど臓器売買ということだろうか。
そんなこと思い付くなんて人間は恐ろしい。
それはさておき……。
私はつい思ったことを口に出してしまった。
「ミリーナの体は薄っぺらいのねえ。狩りに行くときに邪魔にならなそうだし身軽そうで羨ましい」
「う、う、う、薄っぺらい!? 」
「うん、私なんて胸の脂肪が邪魔してちょっと走るとちょっと痛いんだよね……」
ミリーナは顔を真っ赤にすると、無言のまま走り去ってしまった。
あれ? お風呂に入りに来たんじゃないのだろうか?
「何事ですか!? 今ミリーナ様が酷く怒った様子で出ていきましたが」
慌てた様子のルリアが飛び込んできた。
賛辞を贈ったつもりだったのにミリーナを怒らせてしまったらしい。
「うーん、ルリア。人間と仲良くするって難しいのね」
私は一人考え込んでしまった。
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