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第14話 子どもを救え!

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 意を決して私はアステルに聞く。

「アステル様、貴方は薬の作り方を知っているのではないですか? 」

「え、あ……そ、そんなわけ……」

 この反応、ビンゴだ。

「アステル様!? ご存知なのですか? 」

 母親も私の声に食い付く。
 アステルは二人の女に寄られて、困ったように視線を逸らす。

「で、でも……俺は医者でも薬師でもないし……」

「構いません! もうお医者様を呼んでいる時間はありませんし、このまま何もせず娘が死んでいく姿を見てるだけなんて耐えられません! 」

 ボロボロと涙を流しながら母親は何度も何度も頭を下げる。

「でも……失敗したら……俺は……」

 救いたい気持ちと、怖い気持ち。どっちも分かる。

 でも、ここで諦めて良いのだろうか?

「アステル様、やるだけやりましょう。大丈夫、私も協力します」

「ステラ……」

 私は彼に向かってガッツポーズをする。私には薬のことは何もわからないけれど食事やその他身の回りのお世話なら協力出来る!

「……分かった。部屋ならたくさん余ってる。さあ中に」 

 こうして私たちはその母子を迎え入れたのだった。

 この子どもの命を救うには、なるべくテキパキと動かなければ!

◇◇◇

 アステルが薬を調合している間、私は何が出来るだろうか。

 兄弟が熱を出したときに看病するのは私の仕事だった。
 えーっと……どうしてたっけ。

 ぐるぐる考えてると、母親が不安そうに私には声をかけた。

「あの……貴女が看病を………? 」

「へ? そうですけど」

「いや……あの……貴女って」

 この母親は何が言いたいのだろう? と思っていたが彼女は私の首でテラテラと光る首輪を見ていた。

 ああ、つまり獣人の奴隷に我が子を預けるのは不安であるということか。

 馬鹿馬鹿しいな。

「良いですかお母様、今は奴隷だの獣人だの気にしている場合ではありません。一刻も早く子どもを救うことが先では? 」

「え、は、はい……」

「なら早く服を緩めて汗を拭いてあげてください。ここにタオルと水が入ったバケツを置いておきますから」 

「わ、分かりました」

 私の声に押されて働きだすお母さん。まったく、こんなときにまで差別を持ち出すとはね!

 おっと、こんなことで怒っている場合ではない。私は食事を作らなければ。

「こういうときは……スポーツ飲料とかアイスクリームを食べさせてたわよね」

 と言ってもこの世界に自動販売機やコンビニはない。私が一から作らなければいけないだろう。

「……どう作るんだろ」

 流石の私もこれらの食べ物を自作したことはない。しかし何とか前世の記憶を頼りに、調理を始めた。
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