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第10話 これからどうする?

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「そんで、これからあたしはどうしたら良いの? 」

 ルティはコーヒーをすすると、ふむと首をひねった。あ、ちなみにルティは今後青年の姿で行動することにしたらしい。理由はよく分からないが彼なりに思うところがあったのだろう。

「奴らも恐らく我の復活に気がついていないはず。気が付かれる前に何とか接触したいものだ」

「とは言っても神様なんてどこにいるのよ……」

「アレイスの方は簡単だ、貴様がいるのだから」

「へ? あたし? 」

 こくりと頷くルティ。

「そもそも聖女とは、アレイスの力の一部を授かった存在。まあ言ってみればアレイスの化身のようなものだ」

「化身……?! 」

「そう。だから聖女を再びアレイスが取り込むことで力を取り戻すことが出来るんだ。これが生け贄の仕組みと言うわけだな」

「な、なるほど。つまりあたしはアレイスの力の一部って訳ね」

「そう、それでアレイスと同一存在とも言える貴様が人間……つまりアレイスの祝福を受けた者を殺すと言うことは自傷行為に近い」

 急に話が難しくなってきた。ルティは当たり前みたいに淡々と話すけどつまりどういうことだ?
 あたしのアホ面を見て察したのか、ルティは言葉を変えた。

「この世界の人間は皆等しくアレイスの祝福を受けている。祝福とは力を借りていることで、大雑把に言えば彼らもアレイスと同一存在であるのだ」

「な、なるほど。分かったような分からないよーな。じゃああたしがやったことはアレイスが自分を傷つけるようなものなのね」

「そこだけ分かれば良い。死を恐れる奴等に取って自傷行為など"有り得ないこと" 。その有り得ないことが起きたせいで時空が歪み、我は再びここに降り立つことが出来たのだ」

「ふーん……」

 話のスケールが大きすぎてあたしにはさっぱり分からない。

「まあ別に全てを理解する必要はない。我がここにいる、それだけが事実なのだから」

「じゃあさ、魔物って何なの? あれはルティが作ったの? 」

 馬鹿言え、とルティが吐き捨てるように言った。

「あれは闇の神レイズが作った生命だ。と言ってもアレイスを襲うために造り上げた戦闘兵器にしかならないがね」

「ああ、そういうこと……でもなんでアレイスとレイズは争ってるの? 二人でルティを封じたんじゃないの? 」

 するとルティはそれだ、と呟いた。

「その経緯は我にも分からん。なぜ二人が争い、聖女なる存在を造り上げたのか」

「そーなんだ……ルティにも分かんないんだ」

「話を戻すと、貴様が聖女であると思われてることが唯一の手がかりだ。それにげぇむとやらの記憶もあるんだろ? 」

「残念だけどあたしはそのゲームをやったことないのよ。知ってるのは大まかなキャラクターとルーナの末路ぐらい。弟がいれば何でも知ってるんだけどね……」

「そうか……」

「でもギル……ああ勇者のことね。は王様に会いに行くとか言ってたな。もしかしたら何か手がかりが掴めるかも? 」

 するとルティはにやりと笑みを浮かべた。

「素晴らしい、早速行動に移そう」

 え、あたしまだ何にも食べてないんですけど……。と言う間もなく、あたしは城の方へと引きずられていった。

 神様のしもべ、やめたくなってきた……。

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