10 / 23
第10話 これからどうする?
しおりを挟む「そんで、これからあたしはどうしたら良いの? 」
ルティはコーヒーをすすると、ふむと首をひねった。あ、ちなみにルティは今後青年の姿で行動することにしたらしい。理由はよく分からないが彼なりに思うところがあったのだろう。
「奴らも恐らく我の復活に気がついていないはず。気が付かれる前に何とか接触したいものだ」
「とは言っても神様なんてどこにいるのよ……」
「アレイスの方は簡単だ、貴様がいるのだから」
「へ? あたし? 」
こくりと頷くルティ。
「そもそも聖女とは、アレイスの力の一部を授かった存在。まあ言ってみればアレイスの化身のようなものだ」
「化身……?! 」
「そう。だから聖女を再びアレイスが取り込むことで力を取り戻すことが出来るんだ。これが生け贄の仕組みと言うわけだな」
「な、なるほど。つまりあたしはアレイスの力の一部って訳ね」
「そう、それでアレイスと同一存在とも言える貴様が人間……つまりアレイスの祝福を受けた者を殺すと言うことは自傷行為に近い」
急に話が難しくなってきた。ルティは当たり前みたいに淡々と話すけどつまりどういうことだ?
あたしのアホ面を見て察したのか、ルティは言葉を変えた。
「この世界の人間は皆等しくアレイスの祝福を受けている。祝福とは力を借りていることで、大雑把に言えば彼らもアレイスと同一存在であるのだ」
「な、なるほど。分かったような分からないよーな。じゃああたしがやったことはアレイスが自分を傷つけるようなものなのね」
「そこだけ分かれば良い。死を恐れる奴等に取って自傷行為など"有り得ないこと" 。その有り得ないことが起きたせいで時空が歪み、我は再びここに降り立つことが出来たのだ」
「ふーん……」
話のスケールが大きすぎてあたしにはさっぱり分からない。
「まあ別に全てを理解する必要はない。我がここにいる、それだけが事実なのだから」
「じゃあさ、魔物って何なの? あれはルティが作ったの? 」
馬鹿言え、とルティが吐き捨てるように言った。
「あれは闇の神レイズが作った生命だ。と言ってもアレイスを襲うために造り上げた戦闘兵器にしかならないがね」
「ああ、そういうこと……でもなんでアレイスとレイズは争ってるの? 二人でルティを封じたんじゃないの? 」
するとルティはそれだ、と呟いた。
「その経緯は我にも分からん。なぜ二人が争い、聖女なる存在を造り上げたのか」
「そーなんだ……ルティにも分かんないんだ」
「話を戻すと、貴様が聖女であると思われてることが唯一の手がかりだ。それにげぇむとやらの記憶もあるんだろ? 」
「残念だけどあたしはそのゲームをやったことないのよ。知ってるのは大まかなキャラクターとルーナの末路ぐらい。弟がいれば何でも知ってるんだけどね……」
「そうか……」
「でもギル……ああ勇者のことね。は王様に会いに行くとか言ってたな。もしかしたら何か手がかりが掴めるかも? 」
するとルティはにやりと笑みを浮かべた。
「素晴らしい、早速行動に移そう」
え、あたしまだ何にも食べてないんですけど……。と言う間もなく、あたしは城の方へと引きずられていった。
神様のしもべ、やめたくなってきた……。
1
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる