17 / 23
悪の王妃17
しおりを挟む
もしかして…
「わたくしが何度も生を繰り返したのは…貴女のせいなの?…」
「それは違います。魔法使いと言えど、できる事とできない事はあるんです。一つは、人の生死。死んだ者は生き返せない。二つ目は時間。時間を逆行させることは、歪を生んでしまうんでできないんです」
では何故わたくしは何度も繰り返しているの?…
「血の魔法、です。ある種の呪いと言ってもいいかな」
「呪い…」
そう。と肯定する彼女は、わたくしの耳元に手を伸ばしてピアスを撫でた。
「ご先祖様の魔法です。理不尽な死から逃れられるように。また、子孫で魔法使いの血が覚醒遺伝で現れたら、その子を守るようにという、優しい呪い」
「優しくないわね。何度も死ぬのは辛かったわ…」
苦笑しながらピアスを外す。
「待って。ということは、わたくしの先祖に魔法使いがいたという事?」
にっこりと笑みを濃くして彼女は笑った。
「ええ。だから、一緒に生きませんか?と」
お婆様の童話には確かこうあった。
『魔法使いは不老不死だ…』と
「え。嫌よ」
「え?」
まさか拒否されるとは思っていなかったらしく、彼女の顔から笑みが消えた。
「だって、不老不死になるのでしょう?わたくし、もう生きたくないもの」
何度も繰り返された死は、わたくしの心を疲弊させた。
これをまた繰り返すのは嫌だわ。死ねないなんて、死にたいわたくしには地獄でしかない。
「えぇー……本気です?…」
「本気よ」
そう言うと彼女は「あぁもう!」と自らの頭をガシガシと掻いた。
「魔法使いになれば、なんでも好きな事できるんですよ?裸足で海岸を歩く事もできるし、空を飛ぶこともできる。市場で面白い物買ったりもできるし」
「それは魅力的ね」
「でしょう!?」
でも…
「それでもわたくしは生まれた時から王女だったから…王女以外の何かになる事はできないわ。確かに新しい事や、した事がない事は魅力的だし、きっと楽しいのでしょう。それでも、わたくしは『王族』としての誇りもあるのよ」
そう言うと彼女は心底ショックだというように項垂れた。
「わたくしが何度も生を繰り返したのは…貴女のせいなの?…」
「それは違います。魔法使いと言えど、できる事とできない事はあるんです。一つは、人の生死。死んだ者は生き返せない。二つ目は時間。時間を逆行させることは、歪を生んでしまうんでできないんです」
では何故わたくしは何度も繰り返しているの?…
「血の魔法、です。ある種の呪いと言ってもいいかな」
「呪い…」
そう。と肯定する彼女は、わたくしの耳元に手を伸ばしてピアスを撫でた。
「ご先祖様の魔法です。理不尽な死から逃れられるように。また、子孫で魔法使いの血が覚醒遺伝で現れたら、その子を守るようにという、優しい呪い」
「優しくないわね。何度も死ぬのは辛かったわ…」
苦笑しながらピアスを外す。
「待って。ということは、わたくしの先祖に魔法使いがいたという事?」
にっこりと笑みを濃くして彼女は笑った。
「ええ。だから、一緒に生きませんか?と」
お婆様の童話には確かこうあった。
『魔法使いは不老不死だ…』と
「え。嫌よ」
「え?」
まさか拒否されるとは思っていなかったらしく、彼女の顔から笑みが消えた。
「だって、不老不死になるのでしょう?わたくし、もう生きたくないもの」
何度も繰り返された死は、わたくしの心を疲弊させた。
これをまた繰り返すのは嫌だわ。死ねないなんて、死にたいわたくしには地獄でしかない。
「えぇー……本気です?…」
「本気よ」
そう言うと彼女は「あぁもう!」と自らの頭をガシガシと掻いた。
「魔法使いになれば、なんでも好きな事できるんですよ?裸足で海岸を歩く事もできるし、空を飛ぶこともできる。市場で面白い物買ったりもできるし」
「それは魅力的ね」
「でしょう!?」
でも…
「それでもわたくしは生まれた時から王女だったから…王女以外の何かになる事はできないわ。確かに新しい事や、した事がない事は魅力的だし、きっと楽しいのでしょう。それでも、わたくしは『王族』としての誇りもあるのよ」
そう言うと彼女は心底ショックだというように項垂れた。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
君はずっと、その目を閉ざしていればいい
瀬月 ゆな
恋愛
石畳の間に咲く小さな花を見た彼女が、その愛らしい顔を悲しそうに歪めて「儚くて綺麗ね」とそっと呟く。
一体何が儚くて綺麗なのか。
彼女が感じた想いを少しでも知りたくて、僕は目の前でその花を笑顔で踏みにじった。
「――ああ。本当に、儚いね」
兄の婚約者に横恋慕する第二王子の歪んだ恋の話。主人公の恋が成就することはありません。
また、作中に気分の悪くなるような描写が少しあります。ご注意下さい。
小説家になろう様でも公開しています。
婚約破棄は計画的に。
秋月一花
恋愛
「アイリーン、貴様との婚約を――」
「破棄するのですね、かしこまりました。喜んで同意致します」
私、アイリーンは転生者だ。愛読していた恋愛小説の悪役令嬢として転生した。とはいえ、悪役令嬢らしい活躍はしていない。していないけど、原作の強制力か、パーティー会場で婚約破棄を宣言されそうになった。
……正直こっちから願い下げだから、婚約破棄、喜んで同意致します!
お城で愛玩動物を飼う方法
月白ヤトヒコ
恋愛
婚約を解消してほしい、ですか?
まあ! まあ! ああ、いえ、驚いただけですわ。申し訳ありません。理由をお伺いしても宜しいでしょうか?
まあ! 愛する方が? いえいえ、とても素晴らしいことだと思いますわ。
それで、わたくしへ婚約解消ですのね。
ええ。宜しいですわ。わたくしは。
ですが……少しだけ、わたくしの雑談に付き合ってくださると嬉しく思いますわ。
いいえ? 説得などするつもりはなど、ございませんわ。……もう、無駄なことですので。
では、そうですね。殿下は、『ペット』を飼ったことがお有りでしょうか?
『生き物を飼う』のですから。『命を預かる』のですよ? 適当なことは、赦されません。
設定はふわっと。
※読む人に拠っては胸くそ。
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる