悪の王妃

桜木弥生

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悪の王妃7

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乱れた髪を整えて貰って洗顔を済ませて朝食を摂る。
いつもは太らないようにと言われて、朝はフルーツかサラダと紅茶のみだけれど、今日はスープにパンに玉子。お肉もある。

「僭越ながら、王妃様は痩せ過ぎかと思い用意させて頂きました」

不要なら残しても構わないという事らしく、手前にサラダとフルーツが置かれている。

「…頂くわ。ありがとう」

『ありがとう』という言葉は素敵ね。
言われた方は嬉しいらしく微笑んでくれるし、言ったわたくしも何故か心が温かくなる。

サラダを一口だけ食べてサラダの皿を横へ避け、フルーツの皿は奥に追いやる。
手前にお肉と玉子の乗った皿を引き寄せて、ナイフとフォークで切り分けて口に運ぶ。

美味しい。

朝食が美味しいなんて思ったのはいつぶりかしら。
夕食ではお肉もお魚も出るけれど、わたくしの分はリリアンヌに切り分けられて赤ん坊の手の半分の大きさでしたし、毒見をしてからだから冷えて固くなったお肉しか出なかった。

でもこれはすごく大きくて温かい。
毒見を必要としていないからかしら。すぐ提供されたのね。

「ちゃんと毒見は済んでおりますよ」

わたくしの心の声を聞いたかのように微笑んで答えられた。

「ゆっくりお召し上がりください」

微笑む彼女の言葉にふと皿を見ると、すでに半分以上が消えていた。
わたくしったら、気付かぬうちにがっついて食べていたのね。
少し恥ずかしくなりながら頬に触れると熱を持っていた。多分今頃顔は真っ赤ね。
今日はお化粧も断ったから、頬の色も隠せないわ。
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