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15.5話 面倒な男<side.アラン>
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「アラン様。お客様がお見えです」
最愛の妹に『不潔』発言をされてショックを受けたまま動かなくなった当家の次期当主に来客を告げたのはアラン付き秘書件執事見習いの少年ロアだった。
鉄色の肩甲骨までの針金のように真っ直ぐな髪をオールバックに撫で付け首の後ろで黒い紐で括り、銀縁の眼鏡を着けた同じ色の瞳は応接間の豪奢なソファに突っ伏したまま動かない主人を見下ろすと少年は小さく溜息を漏らす。
普段のアランは王宮騎士の副団長という役職を賜りその手腕は王宮だけでなく王都の市民にまで広まるくらい優秀で、その上次期公爵という肩書きにも拘らず驕る事もなく、貴賎の別もなく全ての民に平等に接する為貴族からも市民からも好かれるくらいの好青年だ。
王宮騎士というだけあり武芸に秀でているだけでなく頭も良い。
そしてそんなアランだからこそ女性だけでなく男性にも人気が高い。
なのに、その容姿端麗文武両道完全無欠という高スペックであるにも拘らず未だに恋人も婚約者もいないのはこの度の過ぎるシスコンのせいだと、グレイス家の使用人達は思っている。もちろんそれはロアも同じで。
来客を告げても動かない主人に舌打ちしたい気持ちが湧き上がるがロアの背後にいる来客のせいでそれは許されずどうしたものかと眼鏡を押し上げた。
「まーたアンリ嬢にいらないおせっかいでもして返り討ちにでもあったのか?」
今回が初めてではないその状態を見つつ苦笑を漏らしながら来客がロアに問う。
普通なら一介の使用人風情が会話をする事すら許されない相手だが『アランの友人』として来た相手に肯定の意味を込めて強く頷いた。
「申し訳ございません。ランディス様」
ロアは主の不躾を背後に立っていたランディスと呼んだ男に謝罪した。
「ロアが謝る事じゃないだろ。どうせアランの自業自得だろう?」
アランと長年の友人であるランディスは自分の肩より下にあるロアの頭をくしゃっと乱暴に一撫ですると突っ伏したままのアランの側に行きアランの背中に勢い良く腰を下ろした。小さく呻き声が上がったが誰も気にしない。
「退け…重い…」
「やっと戻ってきたか。いくら友人とは言え仮にも王族を自邸に呼び出し、あまつさえ退けとか…不敬にも程があるんじゃないか?」
言葉的には厳しい言葉ではあるが、その言葉を発した当人はニヤニヤと悪戯っ子のそれで笑っている。
ランディス・エンディライト・ブロムリア。
ブロムリア国王グリディスタ・エンディライト・ブロムリアと、その第二王妃ミランダ・エンディライト・ブロムリアとの嫡出子で次男。
女性が羨む程の艶やかさを持った燃えるような赤毛を右肩で緩く結び、髪と同じ色の色気を纏わせた赤い瞳にその右目の下にある泣き黒子は母妃ミランダの美貌をそのまま譲り受けた。
アランとは21歳と同い年で5歳の頃から交流があり、貴族の男児だけが入れられる学園では10歳から16歳までの6年の間ずっと同室だった為、王族と公爵家という間柄であっても気心の知れた友人関係だった。
もちろん公の場では二人とも自らの立場で対応してはいるが、友人達と一緒の時には堅苦しい関係ではなく対等の立場でいようと本人達が決めていた。そんな友人の間柄であるからこその軽口だった。
「すまん…本気で重いから退いてくれ…」
アランは仕事柄身体を鍛えてはいるが、それでも大の男に背中に乗られるのはきついようで、背中に乗り、あまつさえ全体重を掛ける様に背凭れには凭れずに優雅に足を組んでバランスを取っている友人に音を上げた。
「お前最近鈍っているんじゃないか?このくらいで耐えられないだなんて」
わざと呆れた物言いでアランを攻めるように言うとランディスはしょうがないとばかりに大きく溜息を付いてアランの上から退いた。
「俺が鍛えているのは身体であって肺ではないから。流石に肺の上に乗られたら苦しい」
開放され、押しつぶされていた肺に息を取り込むように大きく深呼吸をするアランを横目にアランの正面のソファにランディスは座り直した。
「で?本題は?」
『俺だって忙しいんだから』と言うようにランディスは今日呼ばれた訳を友人に急かすように聞いた。その手元にはロアが入れた紅茶が置かれている。
二人のじゃれ合いの間に優秀な秘書は二人分の紅茶を用意する余裕があったらしい。
「…お前…本当にいいのか?…」
深呼吸をして座りなおしたアランは若干足を開き、両肘を両膝に乗せるように前屈みになって両手を組んだ。
これはアランが真剣な話をする際の格好だと、昔からの友人であるランディスにはすぐに判っていた。
そしてアランの言葉も、主語を言わなくても何の事を言っているかも理解出来ていた。
「あぁ。いいんだ」
あっさりとした答え。
ランディスは肩に掛かる長い自分の髪に手を入れ首の後ろに触れる。
「良くないだろ。ずっと想ってきたんだろう?」
アランの言葉にランディスは触れていた首の後ろをグッと強く握った。
それはランディスが昔からする癖だと、長く友人でいたアランは知っていた。
ランディスが何か我慢をする時にする癖。首の後ろに爪を立て、その痛みで心の痛みを誤魔化そうとする悪い癖。
「お前なら、任せられると…任せてもいいと思っていたんだけどな」
深刻そうな二人の会話。主語が出ないその会話にロアは『自分が聞いてはいけない会話』だと判断し、そっと音を立てないように退出した。
ロアが出て行き完全に二人きりになった室内には沈黙が流れる。
「……どうしようもないだろ…キースとアンリ嬢との婚約は決められた事なんだから…」
その沈黙を破るように口を開いたのはランディスの方だった。
普段は軽く女性を口説く艶やかな声は掠れ、母妃譲りの美貌は歪み今にも泣きそうな表情になっている。
色々な女性と浮名を流してきた色男がこんな表情をするなんて恋とは偉大だなとアランは頭の隅で思う。けれどそれ以上にそれだけ愛されている俺の妹はもっと凄いと、そちらの思考の方が大きいのは妹馬鹿なせいか。
「王が求めている事は『王家と公爵家の絆の強化』のはずだ。それなら第一王子のキース殿下でなくても第二王子のお前でもいい話だろう」
国を磐石にする為に数世代毎に公爵家の息女とその世代の王・王子との婚姻をさせるという風習。本来ならば現王の世代でそれは成されるはずだった。
けれど19年前に起きたとある事件でその婚姻は成されなかった為、今世代の王子と今世代の公爵令嬢との婚姻は決定事項だった。
そして今世代の令嬢は、グレイス公爵家令嬢アンリエッタ・グレイス以外はいない為、アンリエッタの王家への嫁入りが決定事項とされた。
否。他の公爵家にも令嬢はいる事はいるのだが、まだ3歳や5歳、最年少は0歳と、丁度良い年頃の娘はアンリエッタしかいないというだけだった。
「公爵令嬢が第二王子と婚姻を結んだら周りの重鎮どもが黙っちゃいないだろ…アンリ嬢が婚姻を結ぶ相手イコール次期王扱いになる…王太子は第一王子であるキースだ…」
『だからアンリ嬢と婚姻を結ぶべきはキースなんだ』と、泣きそうに歪められた顔で微笑んだ。
貴族の中でも王族の次に高い地位を持つ『公爵』の地位。
その公爵家が王太子である第一王子以外に嫁いだ場合、力関係が一気に変動する。
第一王子が公爵令嬢以外を娶り、他の王子…例えば第二王子が公爵令嬢を娶った場合、第二王子の妻の方が第一王子よりも高い地位になり、立場が第一王子よりも第二王子の方が高くなってしまう。
その為、結果的に王太子の地位が『公爵令嬢』と婚姻を結んだ第二王子に移動するのだ。そしてそれは本人が望んでいなくても強制的に。
それを阻止する方法もある事にはあるのだが、それには第一王子が他国の王女等の公爵令嬢よりも上の地位の娘を妻にするという方法で。
けれど周囲の国の王女の中で未婚の女性がいないという現状ではそれもできない事だった。
だからこそランディスは13年間という長い片思いに終止符を打つ事を決めた。王家のごたごたに巻き込まない為にも、アンリエッタの為にも第一王子の妃となるのが一番だと自分に思い込ませて。
「………もし…もし万が一キース殿下がアンリとの婚約を破棄したり、アンリがキース殿下でなくお前を選んだとしたら、俺はお前を支持して、お前の為に動いてやる」
だから安心しろ、とアランは自らの首筋に爪を立てている目の前の友人に優しく微笑んだ。
アンリエッタとキース王子の破局。そんな未来はきっとないだろう。
けれど、自分を傷付けてまで最愛の女性を諦めようとしている友人に掛けられる言葉はそのくらいしかなかった。
「…ありがとう…」
小さく掠れた声でランディスは礼を言うと首筋から手を離した。
赤髪の奥深くに付いた爪跡はその長い髪で見えなくなる。
アランはランディスの爪をチラリと見る。その爪に血の跡はない。血が出るまでは食い込ませなかったようだと、ランディスにわからないように小さく息を吐き出した。
長年の友人はメンタルが弱くて困る。
どの夜会に出ても女性が群がる程の美貌で女性の扱いにも長けている。
一夜限りの関係だって何度も持ってきているだろうその男は、8歳の頃に出会った少女をずっと思い続けているくらい一途で。
あぁ、面倒臭い男と友人になったもんだ。と、アランは心の中で独り言ちた。
最愛の妹に『不潔』発言をされてショックを受けたまま動かなくなった当家の次期当主に来客を告げたのはアラン付き秘書件執事見習いの少年ロアだった。
鉄色の肩甲骨までの針金のように真っ直ぐな髪をオールバックに撫で付け首の後ろで黒い紐で括り、銀縁の眼鏡を着けた同じ色の瞳は応接間の豪奢なソファに突っ伏したまま動かない主人を見下ろすと少年は小さく溜息を漏らす。
普段のアランは王宮騎士の副団長という役職を賜りその手腕は王宮だけでなく王都の市民にまで広まるくらい優秀で、その上次期公爵という肩書きにも拘らず驕る事もなく、貴賎の別もなく全ての民に平等に接する為貴族からも市民からも好かれるくらいの好青年だ。
王宮騎士というだけあり武芸に秀でているだけでなく頭も良い。
そしてそんなアランだからこそ女性だけでなく男性にも人気が高い。
なのに、その容姿端麗文武両道完全無欠という高スペックであるにも拘らず未だに恋人も婚約者もいないのはこの度の過ぎるシスコンのせいだと、グレイス家の使用人達は思っている。もちろんそれはロアも同じで。
来客を告げても動かない主人に舌打ちしたい気持ちが湧き上がるがロアの背後にいる来客のせいでそれは許されずどうしたものかと眼鏡を押し上げた。
「まーたアンリ嬢にいらないおせっかいでもして返り討ちにでもあったのか?」
今回が初めてではないその状態を見つつ苦笑を漏らしながら来客がロアに問う。
普通なら一介の使用人風情が会話をする事すら許されない相手だが『アランの友人』として来た相手に肯定の意味を込めて強く頷いた。
「申し訳ございません。ランディス様」
ロアは主の不躾を背後に立っていたランディスと呼んだ男に謝罪した。
「ロアが謝る事じゃないだろ。どうせアランの自業自得だろう?」
アランと長年の友人であるランディスは自分の肩より下にあるロアの頭をくしゃっと乱暴に一撫ですると突っ伏したままのアランの側に行きアランの背中に勢い良く腰を下ろした。小さく呻き声が上がったが誰も気にしない。
「退け…重い…」
「やっと戻ってきたか。いくら友人とは言え仮にも王族を自邸に呼び出し、あまつさえ退けとか…不敬にも程があるんじゃないか?」
言葉的には厳しい言葉ではあるが、その言葉を発した当人はニヤニヤと悪戯っ子のそれで笑っている。
ランディス・エンディライト・ブロムリア。
ブロムリア国王グリディスタ・エンディライト・ブロムリアと、その第二王妃ミランダ・エンディライト・ブロムリアとの嫡出子で次男。
女性が羨む程の艶やかさを持った燃えるような赤毛を右肩で緩く結び、髪と同じ色の色気を纏わせた赤い瞳にその右目の下にある泣き黒子は母妃ミランダの美貌をそのまま譲り受けた。
アランとは21歳と同い年で5歳の頃から交流があり、貴族の男児だけが入れられる学園では10歳から16歳までの6年の間ずっと同室だった為、王族と公爵家という間柄であっても気心の知れた友人関係だった。
もちろん公の場では二人とも自らの立場で対応してはいるが、友人達と一緒の時には堅苦しい関係ではなく対等の立場でいようと本人達が決めていた。そんな友人の間柄であるからこその軽口だった。
「すまん…本気で重いから退いてくれ…」
アランは仕事柄身体を鍛えてはいるが、それでも大の男に背中に乗られるのはきついようで、背中に乗り、あまつさえ全体重を掛ける様に背凭れには凭れずに優雅に足を組んでバランスを取っている友人に音を上げた。
「お前最近鈍っているんじゃないか?このくらいで耐えられないだなんて」
わざと呆れた物言いでアランを攻めるように言うとランディスはしょうがないとばかりに大きく溜息を付いてアランの上から退いた。
「俺が鍛えているのは身体であって肺ではないから。流石に肺の上に乗られたら苦しい」
開放され、押しつぶされていた肺に息を取り込むように大きく深呼吸をするアランを横目にアランの正面のソファにランディスは座り直した。
「で?本題は?」
『俺だって忙しいんだから』と言うようにランディスは今日呼ばれた訳を友人に急かすように聞いた。その手元にはロアが入れた紅茶が置かれている。
二人のじゃれ合いの間に優秀な秘書は二人分の紅茶を用意する余裕があったらしい。
「…お前…本当にいいのか?…」
深呼吸をして座りなおしたアランは若干足を開き、両肘を両膝に乗せるように前屈みになって両手を組んだ。
これはアランが真剣な話をする際の格好だと、昔からの友人であるランディスにはすぐに判っていた。
そしてアランの言葉も、主語を言わなくても何の事を言っているかも理解出来ていた。
「あぁ。いいんだ」
あっさりとした答え。
ランディスは肩に掛かる長い自分の髪に手を入れ首の後ろに触れる。
「良くないだろ。ずっと想ってきたんだろう?」
アランの言葉にランディスは触れていた首の後ろをグッと強く握った。
それはランディスが昔からする癖だと、長く友人でいたアランは知っていた。
ランディスが何か我慢をする時にする癖。首の後ろに爪を立て、その痛みで心の痛みを誤魔化そうとする悪い癖。
「お前なら、任せられると…任せてもいいと思っていたんだけどな」
深刻そうな二人の会話。主語が出ないその会話にロアは『自分が聞いてはいけない会話』だと判断し、そっと音を立てないように退出した。
ロアが出て行き完全に二人きりになった室内には沈黙が流れる。
「……どうしようもないだろ…キースとアンリ嬢との婚約は決められた事なんだから…」
その沈黙を破るように口を開いたのはランディスの方だった。
普段は軽く女性を口説く艶やかな声は掠れ、母妃譲りの美貌は歪み今にも泣きそうな表情になっている。
色々な女性と浮名を流してきた色男がこんな表情をするなんて恋とは偉大だなとアランは頭の隅で思う。けれどそれ以上にそれだけ愛されている俺の妹はもっと凄いと、そちらの思考の方が大きいのは妹馬鹿なせいか。
「王が求めている事は『王家と公爵家の絆の強化』のはずだ。それなら第一王子のキース殿下でなくても第二王子のお前でもいい話だろう」
国を磐石にする為に数世代毎に公爵家の息女とその世代の王・王子との婚姻をさせるという風習。本来ならば現王の世代でそれは成されるはずだった。
けれど19年前に起きたとある事件でその婚姻は成されなかった為、今世代の王子と今世代の公爵令嬢との婚姻は決定事項だった。
そして今世代の令嬢は、グレイス公爵家令嬢アンリエッタ・グレイス以外はいない為、アンリエッタの王家への嫁入りが決定事項とされた。
否。他の公爵家にも令嬢はいる事はいるのだが、まだ3歳や5歳、最年少は0歳と、丁度良い年頃の娘はアンリエッタしかいないというだけだった。
「公爵令嬢が第二王子と婚姻を結んだら周りの重鎮どもが黙っちゃいないだろ…アンリ嬢が婚姻を結ぶ相手イコール次期王扱いになる…王太子は第一王子であるキースだ…」
『だからアンリ嬢と婚姻を結ぶべきはキースなんだ』と、泣きそうに歪められた顔で微笑んだ。
貴族の中でも王族の次に高い地位を持つ『公爵』の地位。
その公爵家が王太子である第一王子以外に嫁いだ場合、力関係が一気に変動する。
第一王子が公爵令嬢以外を娶り、他の王子…例えば第二王子が公爵令嬢を娶った場合、第二王子の妻の方が第一王子よりも高い地位になり、立場が第一王子よりも第二王子の方が高くなってしまう。
その為、結果的に王太子の地位が『公爵令嬢』と婚姻を結んだ第二王子に移動するのだ。そしてそれは本人が望んでいなくても強制的に。
それを阻止する方法もある事にはあるのだが、それには第一王子が他国の王女等の公爵令嬢よりも上の地位の娘を妻にするという方法で。
けれど周囲の国の王女の中で未婚の女性がいないという現状ではそれもできない事だった。
だからこそランディスは13年間という長い片思いに終止符を打つ事を決めた。王家のごたごたに巻き込まない為にも、アンリエッタの為にも第一王子の妃となるのが一番だと自分に思い込ませて。
「………もし…もし万が一キース殿下がアンリとの婚約を破棄したり、アンリがキース殿下でなくお前を選んだとしたら、俺はお前を支持して、お前の為に動いてやる」
だから安心しろ、とアランは自らの首筋に爪を立てている目の前の友人に優しく微笑んだ。
アンリエッタとキース王子の破局。そんな未来はきっとないだろう。
けれど、自分を傷付けてまで最愛の女性を諦めようとしている友人に掛けられる言葉はそのくらいしかなかった。
「…ありがとう…」
小さく掠れた声でランディスは礼を言うと首筋から手を離した。
赤髪の奥深くに付いた爪跡はその長い髪で見えなくなる。
アランはランディスの爪をチラリと見る。その爪に血の跡はない。血が出るまでは食い込ませなかったようだと、ランディスにわからないように小さく息を吐き出した。
長年の友人はメンタルが弱くて困る。
どの夜会に出ても女性が群がる程の美貌で女性の扱いにも長けている。
一夜限りの関係だって何度も持ってきているだろうその男は、8歳の頃に出会った少女をずっと思い続けているくらい一途で。
あぁ、面倒臭い男と友人になったもんだ。と、アランは心の中で独り言ちた。
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