16 / 16
番外編 カズちゃんとマナ 2
しおりを挟むそして約束の日。
約束の場所に10分前に着いた。
初めてカズちゃんとデートするから、すっごくワクワクする。
まだカズちゃんは来てないみたい。
約束の時間になっても、カズちゃんは来ない。
遅れてくるところもカズちゃんっぽいなぁ。ていうかデートの約束、覚えてるかな?
LINEを入れて返信を待ってみる。
五分後。
『悪い。寝てた。今すぐ行く。』
・・・ほんっと、カズちゃんっぽいなぁ。怒るべきところなんだろうけど、それも何だか可愛く思えてしまうあたしは重症なのかな?
それから15分ほど経って、カズちゃんが走って来た。
「すまん。・・・遅れた。」
「ううん、いいよ別に。」
だって今までずっとこの時を待っていたんだから。数十分くらいヨユーだし!
「どこに行きたいんだ?」
「え~、考えてくれてないの?」
冗談交じりに聞いてみると頭をポリポリ掻きながら、困ったように
「こんなことしたことないから、よくわからん。」
って言った。やばい、やっぱ可愛い!カズちゃん可愛いよ!
口にすると怒られそうだから言わないけど。
「じゃあ、あたし行きたかったお店があるの~」
最近出来たパンケーキ屋さん。甘いものが大好きなあたしは目をつけていたんだ。
カズちゃんの手を引っ張ってその場所へと案内する。・・・ハッ、あたし普通に手握っちゃってる!デートで!手を!
手を離すべきか離さないべきか悶々と考えていると目的の場所に着いて結局離すことになった。
「・・・ここか。」
「そう!美味しそうなのいっぱいでしょ~?」
「・・・女ばっかりだな。」
そう、このお店はパンケーキ屋さんだから、女子の客が多い。なので女の子受けを狙って、店内はピンクやらフリフリやらでデコレーションされて、女子~な感じのお店だった。
そんなお店にカズちゃんが入る・・・考えるだけでも笑えちゃう。ギャップ萌えってやつだよね。
「・・・ヤだった?」
「・・・別に。行くぞ。」
やっぱり優しい!素敵!
ちょっと不服そうにしながらもお店にずんずん入って行くカズちゃん可愛い!
店内にいるお客さんが、カズちゃんを見てびっくりしたような顔をして目をそらす。
もうちょっとその表情隠しなよ~
とは思うけど口に出さない。タダでさえ見た目が不良だからね。そんなこと言って損するのはあたし達。
「いらっしゃいませ~・・・え、えっとご注文はお決まりになりましたでしょうか?」
おいおい、店員さんももう少しくらいその顔何とかしなって~。
一応お客さんだから。アタシ達。
「えっと、このクリームたっぷり☆ふわふわパンケーキ下さい~。・・・カズちゃんは~?」
「・・・ホットコーヒー。」
あれ、カズちゃん甘いもの苦手だったっけ?昔は食べれたような気がするんだけどな・・・。
「ご注文確認致します。クリームたっぷり☆ふわふわパンケーキがおひとつと、森のくまさんがいれたホットコーヒーがおひとつでよろしかったでしょうか?」
「はい~」
ここのコーヒーはクマさんがいれてるのか・・・。衛生面的に大丈夫かな?
そんなことは口には出しません。あたしは分かってる。これが可愛い雰囲気を少しでも出そうとした店の作戦だっていうことが!
店員さんがどこかに行って、疲れたように机に伏せるカズちゃん。
「疲れちゃった?」
「・・・いや、こんな所は慣れなくて。」
疲れてても相手を気遣うカズちゃん可愛いよ~!
ちょっと時間が経って、パンケーキとホットコーヒーが運ばれてきた。
美味しそうにコーヒーを飲むカズちゃん。わぁ、大人だなぁ。ミルクも砂糖も入れずに飲んでる。
「カズちゃんって甘いの苦手だったっけ~?」
「いや、別に。」
「じゃあ、これはい。あ~ん」
冗談のつもりで差し出したフォークをカズちゃんはなんの躊躇いもなく口にいれた。
「んま。」
「えへへ、そぉ?…ほんとだ。おいしい~」
カズちゃんはあたしの行きたい所、全てに付き合ってくれた。でも、絶対自分の行きたい場所は言ってくれなかった。
「カズちゃんはどこ行きたいの~?」
「お前の行きたい所でいい。」
それが優しさなのか、ただめんどくさいだけなのか分かんなかった。あたしは、カズちゃんがデートに来てくれるだけで奇跡だって思ってたはずなのに、いつの間にかカズちゃんも楽しんでほしいって欲張った。
0
お気に入りに追加
9
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う
まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。
新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!!
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
嘔吐依存
()
BL
⚠️
・嘔吐表現あり
・リョナあり
・汚い
ー何でもOKな方、ご覧ください。
小説初作成なのでクオリティが低いです。
おかしな点があるかもしれませんが温かい目で見逃してください。ー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる