後輩と先輩

清楚系女子

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番外編 カズちゃんとマナ 2

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そして約束の日。
約束の場所に10分前に着いた。

初めてカズちゃんとデートするから、すっごくワクワクする。
まだカズちゃんは来てないみたい。

約束の時間になっても、カズちゃんは来ない。
遅れてくるところもカズちゃんっぽいなぁ。ていうかデートの約束、覚えてるかな?

LINEを入れて返信を待ってみる。
五分後。

『悪い。寝てた。今すぐ行く。』

・・・ほんっと、カズちゃんっぽいなぁ。怒るべきところなんだろうけど、それも何だか可愛く思えてしまうあたしは重症なのかな?
それから15分ほど経って、カズちゃんが走って来た。

「すまん。・・・遅れた。」

「ううん、いいよ別に。」

だって今までずっとこの時を待っていたんだから。数十分くらいヨユーだし!

「どこに行きたいんだ?」

「え~、考えてくれてないの?」

冗談交じりに聞いてみると頭をポリポリ掻きながら、困ったように

「こんなことしたことないから、よくわからん。」

って言った。やばい、やっぱ可愛い!カズちゃん可愛いよ!
口にすると怒られそうだから言わないけど。

「じゃあ、あたし行きたかったお店があるの~」

最近出来たパンケーキ屋さん。甘いものが大好きなあたしは目をつけていたんだ。
カズちゃんの手を引っ張ってその場所へと案内する。・・・ハッ、あたし普通に手握っちゃってる!デートで!手を!
手を離すべきか離さないべきか悶々と考えていると目的の場所に着いて結局離すことになった。

「・・・ここか。」

「そう!美味しそうなのいっぱいでしょ~?」

「・・・女ばっかりだな。」

そう、このお店はパンケーキ屋さんだから、女子の客が多い。なので女の子受けを狙って、店内はピンクやらフリフリやらでデコレーションされて、女子~な感じのお店だった。
そんなお店にカズちゃんが入る・・・考えるだけでも笑えちゃう。ギャップ萌えってやつだよね。

「・・・ヤだった?」

「・・・別に。行くぞ。」

やっぱり優しい!素敵!
ちょっと不服そうにしながらもお店にずんずん入って行くカズちゃん可愛い!

店内にいるお客さんが、カズちゃんを見てびっくりしたような顔をして目をそらす。
もうちょっとその表情隠しなよ~
とは思うけど口に出さない。タダでさえ見た目が不良だからね。そんなこと言って損するのはあたし達。

「いらっしゃいませ~・・・え、えっとご注文はお決まりになりましたでしょうか?」

おいおい、店員さんももう少しくらいその顔何とかしなって~。
一応お客さんだから。アタシ達。

「えっと、このクリームたっぷり☆ふわふわパンケーキ下さい~。・・・カズちゃんは~?」

「・・・ホットコーヒー。」

あれ、カズちゃん甘いもの苦手だったっけ?昔は食べれたような気がするんだけどな・・・。

「ご注文確認致します。クリームたっぷり☆ふわふわパンケーキがおひとつと、森のくまさんがいれたホットコーヒーがおひとつでよろしかったでしょうか?」

「はい~」

ここのコーヒーはクマさんがいれてるのか・・・。衛生面的に大丈夫かな?
そんなことは口には出しません。あたしは分かってる。これが可愛い雰囲気を少しでも出そうとした店の作戦だっていうことが!

店員さんがどこかに行って、疲れたように机に伏せるカズちゃん。

「疲れちゃった?」

「・・・いや、こんな所は慣れなくて。」

疲れてても相手を気遣うカズちゃん可愛いよ~!

ちょっと時間が経って、パンケーキとホットコーヒーが運ばれてきた。
美味しそうにコーヒーを飲むカズちゃん。わぁ、大人だなぁ。ミルクも砂糖も入れずに飲んでる。

「カズちゃんって甘いの苦手だったっけ~?」

「いや、別に。」

「じゃあ、これはい。あ~ん」

冗談のつもりで差し出したフォークをカズちゃんはなんの躊躇いもなく口にいれた。

「んま。」

「えへへ、そぉ?…ほんとだ。おいしい~」






 カズちゃんはあたしの行きたい所、全てに付き合ってくれた。でも、絶対自分の行きたい場所は言ってくれなかった。

「カズちゃんはどこ行きたいの~?」

「お前の行きたい所でいい。」

それが優しさなのか、ただめんどくさいだけなのか分かんなかった。あたしは、カズちゃんがデートに来てくれるだけで奇跡だって思ってたはずなのに、いつの間にかカズちゃんも楽しんでほしいって欲張った。
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