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49、逃走のこと
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お外まで逃げ出す回です。
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見張りらしい人間はいなかった。ゆっくりゆっくり進み、下へ下る階段を見つけてはそろそろと下りる。4階分は下っただろうか。小さかった明り取りが若干大きくなり、窓と言えるくらいの大きさになった。まだ出られはしなさそうだけども、このまま下りていけば普通に窓から出られそうな気がする。
もちろん、弟妹様たちもいるから油断は禁物だ。咄嗟に動けない彼らを連れているのだから、警戒心を持つに越したことはない。1番の不確定要素は1番前で今も曲がり角の向こうを伺ってくれているが。
クリア、と合図をもらい、歩き出した大きな背に続いて進む。この旧砦は、さすが元々領地の境に設置された防衛施設であるだけあって内部構造も入り組んだ作りになっている。階段が2階以上続くことはないし、同じ作りの階層が並ぶこともない。おかげで1つ下るのにも随分時間がかかり、時刻はすっかり夜半を過ぎている。
もう随分と下りてきた。窓はまだ高く、私の背丈ではわずかに遠い。ディーンさんなら見えているだろうか? 何も言わないということは、ここからは出られないと判断しているのだろう、そう思いたい。
止まれ、と先頭で手が動く。角の向こうを覗くディーンさんの頭1つ下で、コンラッド様が同じように向こうを覗き込んでいる。くるり、と振り返った2人は、似たような動作で人がいる、と示した。
「……どうする」
ひそり、と、少し下がった位置で会議が始まった。どうやらここはもう随分地上に近くて、おそらくは見張りのいるあそこが出口なのだろうということだった。私もそっと確認しに行き、それが高い確率で正解であろうことを認める。
「白ネコたちは来られないでしょうし……突破するしかなさそうですね」
「いけるかな?」
「2人ならなんとかなるでしょう。2人ですよね?」
「……俺に聞くなよ。そうなんじゃねえか? ああいう見張りってだいたい左右に2人だろ」
建物に入る時はそのくらい見ておいてほしい。少々理不尽な思いをディーンさんへぶつけつつ、戦闘の出来る3人で戦略を練る。ただまあ、遮蔽物も何も無いので、出来るだけ近付いて正面突破、くらいしか言うことはない。
「……俺が真ん中な」
「おや」
心底嫌そうな顔をして棒を握り締めるディーンさんは、それが決定事項だと言うように私たちを見た。当然ながら、真ん中から突っ込めば被弾率が高いのはお察しである。仕方なかろう、と言いたげにぎろりとこちらを睨む彼は横暴そのものだったが、だからこそ、ことここにおいて裏切りはしないのだろうな、と思った。
「……行きましょう」
腰にはいていた剣を抜く。指にはめた指輪を確かめる。コンラッド様も同じく武器を確認していた。
ここでいるんですよ、と弟妹様たちへ言い置いて、そろりと曲がり角の先、出口の方へと足を進める。
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見張りらしい人間はいなかった。ゆっくりゆっくり進み、下へ下る階段を見つけてはそろそろと下りる。4階分は下っただろうか。小さかった明り取りが若干大きくなり、窓と言えるくらいの大きさになった。まだ出られはしなさそうだけども、このまま下りていけば普通に窓から出られそうな気がする。
もちろん、弟妹様たちもいるから油断は禁物だ。咄嗟に動けない彼らを連れているのだから、警戒心を持つに越したことはない。1番の不確定要素は1番前で今も曲がり角の向こうを伺ってくれているが。
クリア、と合図をもらい、歩き出した大きな背に続いて進む。この旧砦は、さすが元々領地の境に設置された防衛施設であるだけあって内部構造も入り組んだ作りになっている。階段が2階以上続くことはないし、同じ作りの階層が並ぶこともない。おかげで1つ下るのにも随分時間がかかり、時刻はすっかり夜半を過ぎている。
もう随分と下りてきた。窓はまだ高く、私の背丈ではわずかに遠い。ディーンさんなら見えているだろうか? 何も言わないということは、ここからは出られないと判断しているのだろう、そう思いたい。
止まれ、と先頭で手が動く。角の向こうを覗くディーンさんの頭1つ下で、コンラッド様が同じように向こうを覗き込んでいる。くるり、と振り返った2人は、似たような動作で人がいる、と示した。
「……どうする」
ひそり、と、少し下がった位置で会議が始まった。どうやらここはもう随分地上に近くて、おそらくは見張りのいるあそこが出口なのだろうということだった。私もそっと確認しに行き、それが高い確率で正解であろうことを認める。
「白ネコたちは来られないでしょうし……突破するしかなさそうですね」
「いけるかな?」
「2人ならなんとかなるでしょう。2人ですよね?」
「……俺に聞くなよ。そうなんじゃねえか? ああいう見張りってだいたい左右に2人だろ」
建物に入る時はそのくらい見ておいてほしい。少々理不尽な思いをディーンさんへぶつけつつ、戦闘の出来る3人で戦略を練る。ただまあ、遮蔽物も何も無いので、出来るだけ近付いて正面突破、くらいしか言うことはない。
「……俺が真ん中な」
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心底嫌そうな顔をして棒を握り締めるディーンさんは、それが決定事項だと言うように私たちを見た。当然ながら、真ん中から突っ込めば被弾率が高いのはお察しである。仕方なかろう、と言いたげにぎろりとこちらを睨む彼は横暴そのものだったが、だからこそ、ことここにおいて裏切りはしないのだろうな、と思った。
「……行きましょう」
腰にはいていた剣を抜く。指にはめた指輪を確かめる。コンラッド様も同じく武器を確認していた。
ここでいるんですよ、と弟妹様たちへ言い置いて、そろりと曲がり角の先、出口の方へと足を進める。
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