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22、不安のこと ※

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色々積み重なった結果の回です。
普段ならもっと冷静に対処できたはずの両名。
本番は無いけど主にコンラッドへの性教育なR18です。ご注意ください。
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 使う部分だけを掃除したリビングは、なんとか使用に耐える状態になった。温かいお茶を淹れ、セルフで挟むタイプのサンドイッチを用意し「ピクニックですよー!」と誤魔化した。コンラッド様は気が付いたようだが、弟妹様たちは楽しんでくれたみたいなので良しとする。
 台所にネズミがいたから、きちんと掃除し終えるまであそこの道具を使いたくなくて……。

 それからはしゃぎ疲れて寝落ちた3人を、探検で見つけてくれた寝床へ移動。4人分あったが私の分のベッドは無いらしかった。あるいはジョン坊ちゃんとジェーンお嬢様が1台として数えられている。
 珍しくコンラッド様がねだってくれたので、私は1番大きいコンラッド様のベッドへお邪魔することにした。役得と思おうと思う。

 高い位置にある明かり取りの向こうはもう随分前に暗くなり、星さえ見えている。コンラッド様は今日だけ、と言いながらだらしなくベッドへ寝て、私が支度を終えるのを待っていた。

「お待たせしました」

「ん」

 温めておいたぞ、とばかりに掛け布団を捲るコンラッド様。疲れた顔でも暗い明かりに照らされていても、太陽のようで可愛らしい。いそいそとお邪魔して、ぽふりと2人で布団を被り、なんだか楽しくなってくすくす笑う。

「友達とお泊まりってこんな感じかな」

「もっと良いものですよ」

「もっと?」

「ええ」

 小さな体は暖かい。きかせて、とねだるコンラッド様を、お疲れでしょうと寝かし付ける。ふわふわ柔らかな金髪をゆっくり撫でれば、嫌ではないのかおとなしく目を閉じてくれた。

「そうだ、代わりの寝物語に塔の上の女の子の話をしましょう。長い髪が素敵な女の子の話ですよ」

「……うん」

 自慢じゃあないが、今世の娯楽よりは多彩な知識を取り揃えている自信がある。弟妹様たちにねだられてちゃんと思い出し直したのだ。レパートリーは豊富である。

 絹のような髪を撫でながら、天使にも似て整った寝顔を眺めるうち、私もいつの間にか寝入ってしまった。


 それから、控え目に名を呼ぶ声に目を覚ましたのは、おそらく数時間も経ち、夜明けの方が近い頃だったと思う。

「クロード、クロード……」

「どうかなさいましたか……?」

 肩を揺すられて覚醒する。あたりはまだ暗い。掛け布団が捲られて、少し肌寒かった。

「そ、その……」

 わざわざ私を起こしたわりに、コンラッド様はなんだか歯切れが悪い。もじもじと座った足を擦るのを見て、はて、粗相は随分前に卒業したはずだったのだけど、と内心眉を寄せる。だけど、どうも私の方に冷たい感触はない。あんなにくっついて寝たというのに。

「怒りませんから、言ってみてください、コンラッド様」

 安心させようと思って肩を撫でると、ぴくんと震えて力が入る。怯えているのか恥ずかしいのか、深い緑の瞳はなかなか私を見てくれない。

「へ、変だと思って起きたんだ。変な夢見て……それで、ぼく、漏らしたと思って……その……」

 股のところでぎゅっと握られていた片手が開く。ねと、と僅かに粘着質な液体が、指の間に糸を引く。…………あ、あー……なるほど。

「ど、どうしたらいいか分からなくて……僕、これ、病気とかじゃないよな……」

 咄嗟に答えられなかった私は、別に責められるべきではないと思う、ことここに限ってはだが。いや待ってくれ、前世はただの小市民だったのだ、そして生涯独り身で親戚筋の男子もいなかった。当然ながら性教育は専門外である。私ってどうやって知ったっけ? 保健体育か?

「クロード……」

「だ、大丈夫です、コンラッド様!」

 不安げに私の名を呼ぶ主を安心させようと、とにかく言葉を繋げる。肩を撫でて片手を取り、そろりと寄り添う。

「これはコンラッド様が大人になられた証ですよ、ほら、御子を為すのに必要な事は習いましたでしょう? 女性と子供を授かる準備が出来たのですよ」

 頼むから私の受けていない授業にその項目があってくれと、この時ほど真剣に願ったことはない。子を為す、と聞いて彼は僅かに表情を緩め、自分の手を見下ろした。

「習った……結婚した女の子と後継ぎを作るって……でもこれは知らない……」

Ohマジかよ……、し、失礼いたしました」

 頭を抱えなかっただけ褒めて欲しい。さてどうしようと必死に考えて、ともあれコンラッド様の名誉のために、弟妹様たちが起きる前に処理しなければと思い至る。

「ひとまず、肌着とズボンを取り替えましょう。洗えば平気ですからね、替えを取ってまいります」

「う、うん」

 ベッドから下り、コンラッド様の鞄から必要な物を取り出す。居心地悪そうに下を脱いだコンラッド様を振り返って、私はまたぎくりと固まった。

 ……いや、今更裸がどうのとは言うまい。なんなら一緒に風呂に入るし入浴時のお付きも私だ。見慣れていると言っても過言ではない。ただ、その……年相応に可愛らしい逸物が、ぴょんと上を向いていたらちょっと困る。いやだいぶ困る。コンラッド様が健康に育った良いプロポーションの美少年だから余計困る。目のやり場が無い。

「……と、りあえずこれで拭いてくださいね」

「うん……クロード……なんか、ちんちん変」

 咄嗟にアルフを思い浮かべてしまうあたり私はだいぶ毒されている。毒されているが……いや、あの、そう。私はお兄ちゃんなのだ。可愛い弟コンラッド様の、頼れるお兄ちゃんでなくてはならない。これしきの事で参っていては、きっとこの先コンラッド様が恋愛だのお見合いだの結婚だのをすることになった時にどうなるか分からない。

「大丈夫ですよ。きちんと教われれば良かったのですが……処理の仕方をお教えしますね」

 寝起きで頭が回っていなかったのかもしれない。あるいは疲れが取れていなかったのだ。私は変な覚悟を決めて、コンラッド様を手招いた。夢精で汚れた部分を拭き取っていた彼は、疑いもせずそろりと肩の触れる距離まで寄って来る。

「ココが大切な器官なのはご存知ですね? 女性とここで繋がって子を為すのです。良い子を為すには設計図が新鮮で正確でなければなりませんから、男性は時々こうして古い精子を外に出さねばならないのですよ」

 小さな子供の手を取って、ぴくんと震えるソコへ触れさせる。そっと握らせると、腰が引けるように逃げた。もう片手で体を抱き寄せる。

「ゆっくりいたしましょう。こうやって……気持ちの良いようになさってください」

「ふぁ……っ、ぁっ、クロード……」

「大丈夫ですからね、お上手ですよ」

 は、と息が荒くなるのが聞こえる。ひだまりのように愛らしい顔が朱に染まり、とろりとせつなげに蕩ける。私は少し促すだけのつもりだったのだけど、陰茎を擦る手は快感からなのかほとんど力が入っていない。もう片方の手は、私の服を強く握っている。

「あっ……あっ……こ、れぇ……きもち……ぁ、クロード……漏れ、そう……」

「大丈夫ですよ、そのまま続けて」

「ぅぁ……ぁ、あ…………っぁあ、ん……!」

 そっとタオルを用意して、崩れそうになる体を肩で支える。彼の手を持って動かし続ければ、いくらも経たないうち、ぎゅっと眉を寄せて背を反らした。ぴゅるっと出されたものを汚さないようタオルで受け止める。がくんと脱力してしまったコンラッド様が倒れないよう抱き寄せつつ、そっと座らせておく。


「上手に出来ましたね」

「…………気、持ち良かった……」

「良ぅございました。これからはお1人で処理出来ますか?」

「う、ん……」

 ぽやんと私を見上げるコンラッド様は、なんとも色っぽくて艶めかしい。ついさっきまでなんにも知らない天使様のようだったのに……と思わなくはない。が、なんにせよ成長は喜ばしいことだ。なんせ私は何がいけないのかまだ精通が来ていないので……。

 余韻惚けたコンラッド様を促して処理を進める間、きっとアルフのせいに違いない、と責任転嫁する所へ落ち着いた。

「まだ暗いですから、もうひと眠りいたしましょう」

「うん……一緒に」

「はい」

 疲れたのだろう、きゅっと私の寝間着を掴んでベッドへ招くコンラッド様と一緒に、もう一度ぬるくなった布団へ潜る。まだ日は昇らなかった。
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