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金策の誤算③

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 ―――冒険者ギルド―――

「あれれ、ジェルさん。どうなされたのですか? そんな目立たない恰好をして」

 受付嬢は変装をしているつもりのジェルに声をかけた。

「静かに! 実は相談があって……」

「?」と訝しがる受付嬢にコカトリスを捕縛したことを告げた。

「なんと! それで逃げ出していたコカトリスは、今どこに?」

「連れ回すわけにもいかないので、町の外でシズクと一緒に待機させてある」

 あの後、ジェルたちは簡単な檻を作ってコカトリスを閉じ込めたのだ。

「けど、そこら辺に落ちてる木材で作った檻だ。いつ壊されるかわからない」

「わかりました。すぐに対処します」

 そう言って受付嬢は、資料を広げる。

 大量の資料に凄まじい速度で目を通すと、何か書きこみ始めた。

「これで完成です。すぐに上の者にこれを!」

 その後、魔物捕縛用の部隊が編制された。

 すぐさま、コカトリスは移動させられた持ち主の元に帰って行った。

 なお、二度と脱走しないように再調教となったが、調教師たちはコカトリスが従順になっていたことに驚いた。

「はい! ジェルさん」

「ん? これは」

「順番は逆になりましたが、ギルドの正式依頼を受注した証明書になります」

「もしかして、コカトリスの探索依頼を成功させたって事に……」

「はい!」と答えた受付嬢は、ジェルが複雑そうな表情をしているのが不思議そうだった。

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

 宿に戻ったジェルとシズクは話込んでいた。

「もう目立たずに、効率的な金策なんて無理だぜ?」とシズク。

「そうは言ってもなぁ。冒険者ギルドの評価が高まれば、難易度の高い依頼を振られる事になる。2人パーティじゃ限界が来るぞ」

「増やしたらいいだろ? 仲間を」

「いやいや、簡単に言うけど俺たちには絶対に知られたらまずい秘密がある」

『底辺冒険者』と言われていジェルを強者に押し上げた 古代魔道具《アーティファクト》の存在。

 それはシズクも一緒だ。

 彼女は『特別怪物』と言われる魔物だったが、人間に紛れ込んでもバレないのは、 古代魔道具《アーティファクト》にあった『魔族ガチャ』の効果。

「……いや待てよ」とジェルは、荷物から地図を取り出す。

 その地図は、世界中に存在しながら秘匿されている古代魔道具『自動販売機』の設置場所が書かれている。

「どうした、ジェル?」

「たしか、この地図には『自動販売機』の位置と一緒に開催されている『限定ガチャ』の内容も――――あった。これだ!」

 ジェルが指したのは、地図に書かれている『自動販売機』の横。

 そこには、こう書かれていた『復刻!期間限定! 魔族ガチャ』……と。

 それを見たシズクは――――

「まさか、お前……やらせるつもりなのか? 不死鳥フェニックスに魔族ガチャを?」

「うん、ダメかな?」

「いや、わからねぇ。 なんせ、伝説の魔物だからな。魔族になって弱くなったり……」

 そんな2人が指針が決まりそうになっていた時だった。

 コンコンと控えめなノックが響いた。

「すいません、冒険者ギルドの者です」   

 ドアを開けると、ギルドの受付嬢が立っていた。
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