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始まったシズクの冒険者生活

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 今、初心者向け迷宮で何が起きているのか?

 知るよしもないジェルとシズクだったが、当の2人は……

「地味……だな」とシズクは、しゃがみ込むと薬草を採取する。

「あぁ、最初の依頼だからな。そんな高い危険度じゃないさ」

「なんでだよ! 普通は、お前のB級冒険者の依頼から始めるだろ!」

「そんな事を言われてもなぁ……冒険者ギルドの規定だから」

 シズクが冒険者となって、最初の依頼は薬草の採取だった。

 町から少し離れた場所。

 森で指定された薬草を見つけて、持ち帰る。それだけの依頼。

「やれやれ、これって本当に冒険者の仕事かよ」

「冒険者の仕事だよ」とジェルは断言する。

「普通の人は、魔物と戦う事を想定して武装しない。まして、全身を鉄の鎧や剣を身に付けて長時間歩けない。だから、俺たち冒険者が必要なんだ」

「ふ~ん、派手に強い魔物と戦えば良いと思ってたわ」

「……まぁ、そんなイメージだよな。実際、階級が上がれば魔物退治とか戦闘に特化した依頼が増えていくる」

「そうかい。まぁ、私は金になれば良いんだけどね」

 シズクの目的は金を稼ぐことだ。 冒険者は目的のためになったのだ。

 金を稼いで、自分を強化する。 強くなるために金を稼ぐ。

 ジェルは、疑問が浮かんだ。

(シズクは強くなって……その先は、どうするんだろ?)

 それを聞こうと口を開きかけるも――――

「おいっ、ジェル! いやがるぜ、でけぇ魔物がよ!」

 シズクは突然出現した巨大な魔物に向かって行った。

 いつの間にか、大剣を手にして――――

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「あの魔物、デカかったわりに弱かったなぁ」とシズクは帰宅中に気が抜けたように言う。

「初心者向けの依頼で、強い魔物がでたら困るだろ」

「それも、そうか……」

 そんな会話を交えながら、冒険者ギルドまで戻った2人。

 シズクがギルドに入ると冒険者たちは話を止めて、一斉に視線を逸らした。

 冒険者たちを全員倒した新人。 その噂は、あの場所にいた冒険者たち以外にも広がっている。

「アイツには近づかない方がいい。アイツの話を口に出すな」と共通認識。

 それはいつも通りなのだが……

「なんだか、今日は雰囲気が違うな」とジェル。

「いや、こんなもんじゃね?」

「なんて言うか……少し聞いてみるか」

 ジェルは受付嬢の元に行き、依頼達成の報告を行う。

 そのついでに――――

「みんな様子が変だけど、何かあったのかい?」

「わかりますか? 実は――――」と受付嬢は説明を始めた。   
  
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